女の朝パート11
5月15日水曜日。時刻は間もなく10時40分。
ここは八王子駅の駅ビルOPA三階にあるスタバである。
窓の外では小さい頃に見た事があるような絵本の中の青い空が拡がっている。
しかし、窓の中では違う。
老若男女様々な人達がスタバの椅子に座り、それぞれの時間をそれぞれに過ごしている。
誰かの邪魔をすることも、自分の我が儘をすることも、ここではしてはいけないと思った。
そして春夏秋冬、四季折々を楽しめる事が出来る国に住み着いているけれど、今日みたいな天気が年がら年中続いてもいいとも正直思った。
この時ばかりは。
暗転。
スタバの椅子に座った時、
スマートウォッチが示した歩数は12536だった。
心拍数は66と通常より高い。
ワタシの心臓は、この場所に来ると早くなるらしい。
当然のことよと、思いながら、決して言葉には発しないけれど、
この時ばかりはちょっとした優越感に自尊心が満たされ、昨夜の反省は忘れられた。
暗転
心臓は、身体全体に血液を送り出す為にポンプです。
1分間で60~80回の拍動を繰り返し、
1回の拍動で50ml、血液の量にして3、4リットルもの液体が身体中を駆け巡ってるのです。
ってことは、スタバに来て拍動が速くなるあなたは、膨大なエネルギーが使われ、生産されているのです。
エネルギーとは、能力なのですよ!
能力とは才能なのですよ!
才能とは続ける努力なのですよ!
暗転。
女は、買ってきた根菜チキンのサラダラップとアイスコーヒーにスマフォを向けると、どうやら写メを撮った模様。
食べるものを記録するアレは、レコーディングダイエットってやつだろうか?
知る人ぞ知るってやつで、レコーディングダイエットが何かについて、最早言う必要はなかろう。
それよりも、毎回写メを撮り、何年ものあいだ記録を残す女が、ダイエットしているとは、到底思えない。
だって、以前より、、、、。
それよりもダイエットって何?
暗転。
『美味しいなぁ、やっぱりスタバの珈琲は美味しいなぁ』
完