ノベルゲームを作ろうと思ったら15年かかった話【第18話】再開編①〜データをサルベージせよ〜「このゲームを作った奴、出てこいや!」
これは、サウンドノベルの持つ魅力に取り憑かれ、「自分でもノベルゲームを作ってみたい」という思いを抱き、終わりのないゲーム制作に足を踏み入れた1人の個人ゲーム制作者の物語である。
Nscripterで人生初のノベルゲーム作りを始めた落柿(らくし)。忙しい日常に追われゲーム制作への情熱をすっかり失っていた。そんな中、コロナ禍で仕事も趣味も強制ストップ。部屋の整理をしていた落柿はPCの中に7年前作っていたノベルゲームのフォルダを見つける。
「うわー、懐かしい! そういや作ってたなー、ノベルゲーム!」
「akairomansion」フォルダを開き、中身を確認する落柿。
「おお、割としっかり作ってあるじゃん!」
7年の時を経て、自作に対する記憶をまるっとなくした落柿。
タイムカプセルでも開けるかのようにワクワクした気持ちでフォルダ内を見ていく。
「よし! Windowsのデスクトップに戻って、ゲームを起動してみよう!」
「動いたーーーーー!!」
ちゃんとゲームになってる! すげぇな、過去の自分。ブラボー!
こんなんどうやって作ったんだ? よっしゃちょっとやってみっか!
「ん? この選択肢は制作中? そういや、メインルートを先に作っておく計画だったっけ。えーと、シナリオを先に進める選択肢はどれだ?」
「なんやこいつら……。登場人物のクセ強すぎんか? しかしホラーなのにほのぼのとしてんなぁ」
「キ、キター! 最初の犠牲者! 15年前の殺人事件? 何それ、めっちゃ好きなやつ!」
「よっしゃ、住民の死の真相と、怪異の謎に迫るぜ! いざ捜査! なんだか興奮してきたな?」
…………。
…………。
…………。
って、そこまでしか作ってないんかーーーーい!!
どうなんの? この後どうなんの?
え? なんなん? なんなのこれ? さすがに投げっぱなし過ぎない?
「ま、待て。ゲームはここまでしか作っていなくてもテキストファイルがある。シナリオはもう少し先まで書いてあるんじゃないか?」
期待を胸にテキストファイルを開く落柿。
…………。
…………。
…………。
ってやっぱ事件解決までは書いてないやんけーーーーー!!
「……ま、待て。まだあわてるような時間じゃない。シナリオがなくても、さすがにプロットのようなものぐらいは存在するのでは?
はい。
ここで連載12話を思いだしてみましょう。
そそそそうだったーーーー!!
何してくれてんだ、このバカ作者!!!
12話の伏線回収(ドヤァ)じゃねーんだよーーー!!
怒りを発露させた後、頭を抱えて落柿は呻いた。
「う……ううううう、続き……続きが気になるよぅ。だって、だってこのゲームさあ……」
すげー面白くて自分好みなんだが!?
※注 自分で作ったので当然です。
ええと、制作者は今すぐここに来て土下座してくんない?
そして続きを作って? むしろ作ってください、お願いします……。
安西先生……続き、続きが……遊びたいですぅぅぅぅ!!
落柿は床に這いつくばり頭をかきむしり叫んだ(というイメージ)。
助けて! むしろボスケテ!!
しかし落柿は薄々気づいていた。
……続きをプレイするには、自分で作るしかない、と。
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