見出し画像

ノベルゲームを作ろうと思ったら15年かかった話【第14話】エターナル編①迷走始まる? 〜個人事業主への道〜

これは、サウンドノベルの持つ魅力に取り憑かれ、「自分でもノベルゲームを作ってみたい」という思いを抱き、終わりのないゲーム制作に足を踏み入れた1人の個人ゲーム制作者の物語である。


Nscripter
で人生初のノベルゲーム作りを始めた落柿(らくし)。数年作業をしても完成が見えないと思った落柿はあることを決めた。それは、


自営業に、俺はなる!


ということだった。こうして落柿は同人ゲームで身を立てるためにゲームサークルを立ちあげた……訳ではない。


落柿は当時していた仕事とは別に趣味を持っていた。その趣味を仕事にして独立すれば、今の仕事よりも時間をコントロールすることができるようになり、ゲーム制作をする時間も増やせるだろうという計画を立てたのである。


幸い、その分野の勉強は以前からやってきている。
よっしゃ! これを機に自営業をやるぞ! めざせ個人事業主
そしてライフワークバランスを整えるのだ!

「おいおい待てよ……自営業ってそんな甘いもんじゃねぇだろ?」


いつものことながら、もう1人の自分がやってきて囁きかける。


「そんな甘い考えで個人事業主になって、本当に売上があげられると思ってんのか? 世の中舐めすぎだろ?」


フフ……そんなことわかってるさ。
もちろん個人で仕事を取るってのはそんなに甘いことじゃない。
だからおそらく2年ぐらいは軌道に乗るまでかかるだろ?


……つまりその間はヒマってこと。

だったらそのヒマな時間を使ってゲーム作り切れるじゃねーか!



こ、こいつ……独立自営業だなんだといって、ただ自由な時間が欲しいだけじゃないのか?

もう1人の自分は呆れつつもこう問いかける。


ま、まあわかった。だけどその2年は貯金を削りつつでもなんとかするとして、2年経っても自営業が軌道に乗ってなかったらどうするんだ?


ん?
そうだな。

…………。
…………。
…………。

そのときはバイトでもするよ!



(ええ……)

ちなみに落柿がこのとき自営でやろうとしている仕事はゲーム制作にもライター系にも1ミリも関係がない業界である。これがノベルゲーム制作において遠回りではなく近道のように思えていたのだから我ながら「脳内ハッピーセットかよ」と煽りたくもなろうというものだ。


こうして無計画という名の落柿の自営業計画は始まった。現在の仕事を続けながら講習会等に行きその業種の勉強をする。だがそれだけでは不十分だ。個人事業主としてすべて1人でやっていくためには簿記税金の知識も必要となってくるだろうから、その学習も並行して進めなければならない。


うう……。だけど正直数字とか経理とか、そっちの分野は苦手意識があるんだよな。しかし個人事業主になるならこれは超えなければいけない



ならば!

ニンテンドーDSと漫画で楽しく学んだろ!!


(ええ……)


今でこそ任天堂といえばSwitchだが、当時はニンテンドーDSの全盛期。タッチペンでの操作と相性が良かったのか、特に学習系ソフトは一世を風靡した感がある。作者も「脳トレ」(脳を鍛える大人のDSトレーニング)「えいご漬け」にはどっぷりハマり、その時期だけはこれらの能力が向上した(ちなみに今やったらさっぱりできないと思われる)。


こうして着々と準備を進め基盤を作った(言うほど作れたか?)落柿は、仕事を辞める。長く続けた職場ではあったが元々「向いてないな」と思っていたし、業界的にも先行き不透明だったので未練はなかった。


その後は開業したい業界関連で働き1年半ほど経験を積んだ。その間に開業関連の知識も詰み、準備を整えた。その職場も退職し、いよいよ開業に向かって動き出す。


さあ、これでしばらく自由な時間が取れるはず。
今しかできないことに踏み出そう。


もう1人の自分がうなずきながら問いかける。
「うんうん、そうだね。これでやっとゲーム制作に集中できるね?」


落柿は考えた。



えーっと、まず。
直近でやりたいこと、それは。


普通自動車免許の取得ハワイ旅行だな!


……は?




そんな作者が15年かけて作ったゲームはこちら。

DLsite版は9/10まで50%オフセール中!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?