鍵盤の上をかえるが跳ねる音
シリーズ・現代川柳と短文 016
(写真でラジオポトフ川柳104)
知人の着ている服について「ピアノの鍵盤にかかってる赤い布みたいな素材だね」と言ったり思ったりした記憶が何度かある。特定のひとりの特定の一着に対してではなく、だいたい5年に1度くらいのペースでそういう服を着た人と交流することがあるのだ。比喩表現だと「水晶玉の下に敷いてある小さい座布団みたいだ」というのも何度か使った覚えがあるが、なにに対して使ったのかは完全に忘れてしまった。服に、ではない。なんだろう。おそらく9年に1度くらいの使用頻度だと思う。具体的な対象の記憶は消えて比喩だけが残っている。なにか独特なノスタルジーを感じる。
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