#143 ルールに従う人と現状を疑い自分で考え直す力 24/4/17
みなさん、こんにちは。
今日は、現状を是としないマインドセットを考えてみます。
先日、人は好調なときには、自分自身の考えや今のやり方を変えるインセンティブが働きづらい、とエントリーしました。その話とも関係します。
考えるきっかけは、ある事業部門の評価キャリブレーション会議の一場面からインスピレーションを得たことです。
先に、わたしがどんな危機意識を持ったか、です。
それは、抽象化すると、課長・部長のミドルマネージャー層が、
・自分で考えて判断していない。
・かなり同質である。
・言っていること(ビジョン)と、やっていること(判断行動)が違う。
では、なぜそう感じたのか、です。
ある従業員Aさんはプロジェクトリーダーとして1つのプロジェクトを担っていました。所々で生じる問題に対して改善案を企画していました。そのひとつとして進捗管理や事務的なタスクの効率化を図ろうと自動化ソリューションの導入を進めていました。そしてその承認を得るべく、Aさんの上長である課長や、プロジェクトマネージャーに提案や相談を持ち込みました。
しかし、度々突き返され、企画が承認されることはなかったそうです。そして、Aさんは「自分にはプロジェクトリーダーが務まらない。自分は能力不足」と思うようになり、「PLを外して欲しい」と申し出るに至りました。なお、このAさんは、PLとしては標準的にパフォーマンスできる従業員です。
さて、もしかしたら上長たちの判断どおり、Aさんの企画=課題設定は、端にも棒にもかからなかったレベルなのかもしれません。仮にそうだったとしても、1度でなく改善案を進めようとするAさんは、上長のプロジェクトマネージャーや課長に、一緒に改善策を立案してほしい、あるいは進めるためのヒントや示唆の支援が欲しいところだったのではないか、と想像します。
上長たちからの支援がなく、企画を進められないことで、Aさんのチームにいるメンバーからも不満が出てしまったようです。そうして、上も下も八方ふさがりになれば、Aさんに限らず、自分がその役割を果たすにふさわしくない、と自責の念に駆られることは想像に難くありません。
こうした経緯を評価キャリブレーション会議で確認しました。その経緯をほかの課の課長、Aさんの所属する部の部長ともに聞いてもなお、今回の人事考課でAさんを降格とする課長の判断に疑問を持つ人は現れません。
「この処遇の仕方に、少しでも違和感を覚える課長はいませんか?」
とわたしは投げかけました。
ですが、「思わない」「適切だ」の返答が複数名から返ってきました。
「わたしは、本当にこれでいいのか相当疑問に思います。部長、部門長とも別の場で少し話をさせてもらいたいと思います」とその場のやりとりを締めました。
課長や部長からすれば、プロジェクトリーダーはこの等級、年収水準である、メンバーはこの等級、年収水準で処遇する、とある程度部門内で枠組みを決めているから、初期段階で疑問に思わないのは適切な判断と思います。
一方、詳細な経緯やAさんのPLとしての標準的評価を聞いてもなおそうであれば、わたしは組織として拙い兆候が見られるな、と感じました。
ルールやガイドに忠実に従っていることは、ある側面では適正な行動ではあります。法律・コンプライアンス順守に該当しない事案は、部門内のそのときのルールどおりに倣うことが適切なのか、ここにはもう一拍の余白があってもよいのではないかと、わたしは考えます。
さらに、別の、ビジョンや価値観、事業運営方針の角度から考えても同様です。従業員が働きたい事業にする、をビジョンに掲げていることから考えて、その処遇はゼロベースで考えたときに、より適切な判断、行動なのか、ここにも一拍の余白をもって、改めて自分で考えることをできるとベターな行動と考えます。
なお最後に、当社の人事基幹制度はジョブ型、職務等級型ではありません。その意味においても、やや行き過ぎた処遇運用でもあり、判断と考えます。
さて、みなさんは、法律やコンプライアンス以外の、順守度がある程度任意のルールやガイドラインに対して、どんな判断をされていますか。
それでは、また。