見出し画像

今週読んだ海外記事と雑感(2019.11.23)

今週もNewsPicksでピックしたニュースとコメントを転記してまとめておきます。

有料部分では、その週に読んだ記事を総合して考えたことや個人的な雑感などを書いていきます。

▼私のNewsPicksアカウント

TikTokが『ソーシャルコマース化』に向けたテストを開始

TikTokが投稿からECサイトへ直接遷移できる機能をテスト開始。ソーシャルコマース分野でインスタとがっぷりよつになりそうです。報道によればすでに一部ユーザーに機能を実装済みで、プロフィールからの遷移と投稿からの遷移の二つが新しく加わる見込み。
すでにソーシャルコマース大国となりつつある中国生まれのTikTokだけに、ここからさらに加速していきそう。インスタをもつFacebookはもちろん、ソーシャルコマースの行末に気を揉むGoogleも気が気ではない状況でしょう。

Rent the RunwayのアイテムがNodstromで返品可能に

Rent the RunwayとNodstromが提携し、Nordstromの各店舗でRent the Runwayのレンタル品が返却できるように。RTRにとっては利便性の向上、Nordstromにとっては客数の増加とゆくゆくは顧客データの統合も目指しているようです。
RTRは返却場所としてWeWorkとも提携しており、リアルな顧客接点の場を増やしていっている印象なので、今後小売店とのこうした契約が増えていきそう。
ただ、出店料として別途お金を払っているのかどうなのか、お金周りの契約形態も気になるところ。

Amazonから撤退したNikeがTmallに倍額投資する理由

Amazonからの撤退を発表したNikeですが、逆にTmallには倍額投資をしているもよう。記事の最後にあるようにTmallとNikeは共同でデータドリブンマーケのプロジェクトを行なっており、利益を刈り取るためではなくデータ取得のためにTmallを使うのがNikeの戦略のもよう?そう考えると、Amazonは徹底して自社データをブランドには渡さない姿勢のためにNikeの離反を招いたのかもしれません。
オンラインに限らず、今後はリアル店舗もいかにブランドにデータを提供していけるかが選ばれるポイントになっていくのではないかと思います。

Burberryのロイヤルカスタマー向け新サービス『R message』とは?

BurberryがAppleと提携してロイヤルカスタマー向けサービス「R message」をローンチ。完全招待制で、顧客はスタッフと直接メッセージをやりとりして買い物ができるだけでなくオンラインとオフラインの購買データをつなぎ、パーソナライズされたおすすめも表示されるもよう。
日本の百貨店が伝統的に行ってきた外商システムを効率化したイメージでしょうか。
今後ブランドがコミュニティドリブンになっていく中で、こうしたロイヤルカスタマー向けの施策はますます盛り上がっていくのではないかと思います。

Brownsがエコファッション都市・ベルリンで成功した理由

英国老舗セレクトショップ「Browns」のポップアップイベント第三弾はベルリンで開催。記事冒頭の「ベルリンは“poor but sexy”な街で、みなスポーツウェアや古着を着ているのでラグジュアリーブランドが根付かないと言われる」という説明がユニーク。しかしハイブランドを中心に扱うBrownsがそんなベルリンでポップアップを行ったのは、ラグジュアリーの意味が変わりつつあることを示唆しているような気がします。
自分の服を3着まで持ち込んでその場でデザイナーがリメイクしてくれるコーナーを儲けたり、売場の装飾品はすべて過去に使った資材を活用したものだったりと徹底して「エコ」に寄り添い、環境先進都市・ベルリンらしいイベントに。またBrownsではエコを意識した洋服作りを推進するデザイナーを支援していくとのこと。
いい素材を使うこと、考え抜かれたデザインであること、丁寧なつくりであることなどがこれまでのラグジュアリーの価値観であり、それ自体はこれからも揺らぐことはないはずですが、これからはそこに「エコ」や「エシカル」の概念が入り、モノを売買するだけではなくいかに持続的な消費を作れるかを提案するのがラグジュアリーブランドの役割になっていきそうです。

「ブランドのD2C化は怖くない」ECプラットフォームの視点

「東のAmazon」ことイスタンブール発のECプラットフォーム「Hepsiburada」創業者は、NikeのD2Cへの動きに対して「1つのブランドが(私たちのように)月に1億人もの人を集めることは不可能」とバッサリ。特にほとんどの企業はNikeほどのサイズでファンを持っていないので、すべてがD2C化することは不可能と考えているもよう。
私もこの考えに賛成で、かたちこそ今のモデルとは変わる可能性が高いとはいえ、見本市としての市場やオンラインマーケットプレイス、キュレーターとしてのセレクトショップや百貨店の役割がなくなることはないのではないかと考えています。
昨日ピックした記事にもあったとおり、今回のNikeの決定はどちらかというと「データを渡してくれないAmazonとの決別」であり、Tmallとはしっかり組んでいるので完全にD2Cに移行するという話でもないのかなと。(もちろんその比率を高めるつもりではあるのでしょうが)
これからはブランドであれプラットフォームであれ、いかに人通りを創出できるかがすべてであり、その流通力を他社に分け与えられるほどリッチに持っている企業がプラットフォーム化していく流れなのかもしれないな、と思ったりします。

Vougueの元エディターが立ち上げた新たなECのビジネスモデル

VOGUEの元エディターが新たにセレクトECをローンチ。ハイ&ロー織り交ぜたセレクトもユニークですが、何より自分たちでは在庫を持たず、ブランドのECに誘導することでアフィリエイト収入を得るモデルなのがファッション誌出身らしい発想で面白いポイントです。個人的には、これにプラスして別途お金を払えばパーソナルスタイリングしてもらえるサービスなども付帯すれば、在庫を持たない「移動型セレクトショップ」として新しい可能性が開そう。
日本でも雑誌がECに力を入れ始めていますが、ひとつのやり方として参考になりそうだなと思います。

Etsyがホリデーシーズンにあわせて「ギフトホットライン」を設置

Etsyがホリデーシーズンに向けてギフト選びのコンシェルジュサービスを開始。電話でEtsyのスタッフに個別に相談ができ、そのまま購入にいたった場合は送料が無料になるとのこと。コンシェルジュサービスは実は本人の買い物よりもギフトの方が相談ニーズが高く、ゆくゆくチャットボットなども導入可能性が高い分野なのではないかと個人的には思っています。

メンズソックスからレディスアパレルへ──大変身を遂げた「Richer Poorer」の秘密

メンズ向け靴下のD2Cブランドだった「Richer Poorer」が女性向けアパレル商品にラインナップを広げた結果、たった2年で売り上げの大半が女性向けアパレルになり、倒産を免れるどころか今や百貨店から引っ張りだこになった、という話。この事例の面白いポイントは、彼らのアパレル製品のコンセプトが「職場から寝室まで使えるリラックスウェア」であること。アスレジャーブームのベースにある「快適さ」「オンオフの融合」がここにも表れているのだなと思いました。
D2Cブランドマーケットが成熟してきたことで各ブランドとも商品レンジを広げようと躍起になっていますが、Richer Poorerがここまで成長したのはあくまで商品力であり、靴下のバックグラウンドがなくてもレディースアパレル自体は伸びたんじゃないだろうか、という気はします。
あとインタビューの中でCEOが「複数の商品ラインナップを持つことで顧客接点を増やし、直接声を聞いて商品にいかすことが大事」という趣旨の話をしており、たしかにコミュニティ化を考えると一本足打法ではなく複数のラインを持っておくことで設置面を増やすのがD2Cの次のステップなのかもしれないなと思います。

ポスト・ポップアップ──新たな出店方法を模索するブランドたち

D2Cブランドの盛り上がりとともに注目されてきたポップアップストアですが、この2年ほどでD2Cのメガブランドたち自身が店舗を構えるようになったことで「ショップインショップ」が盛り上がりはじめているもよう。特に面白かったのが家具のD2Cブランド「Burrow」。初期はコーヒーショップやシェアオフィスに商品を置いて試してもらっていたものの、「マフィンを買いに来たついでにソファを買おうと思う人はいない」と気づき、顧客体験デザインを考えた結果自分たちの店舗をオープン。一方で、インテリアショップにしょっちゅう訪れる顧客はいないと考え、人気のD2Cブランドのポップアップを店舗内につくり、新たな顧客獲得につなげているとのこと。
見方によっては従来のブランドがやってきたことを一周まわってまたやっていると言えなくもないですが、ファンを多く抱えるブランドは店舗をメディアとして運用し、物販以外のビジネスにもつなげられる可能性を感じます。

今週のニュースを振り返ってみておもうのは、『もはやプラットフォームとブランドを分けて議論することに意味がなくなりつつあるのでは?』ということ。

ここから先は

542字

¥ 200

サポートからコメントをいただくのがいちばんの励みです。いつもありがとうございます!