今週読んだ海外記事と雑感(2019.10.19)
今週もNewsPicksでピックしたニュースとコメントを転記してまとめておきます。
有料部分では、その週に読んだ記事を総合して考えたことや個人的な雑感などを書いていきます。
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「ブランドバッグ」の凋落
ハンドバッグの売上がたった3年で20%も減少しているというのは驚き。特に10代がバッグにかける年間総額がピークである2006年の$197から$90と半分以下になったというデータから、若者にとってもはやバッグは必需品ではなくなり、他のものにお金をかけはじめているということがわかります。
その理由として記事では、バッグ以外のステータスシンボルが増えたからと考察していますが、個人的にはライフスタイルの変化が一番大きな要因だろうなと思っています。
一昔前であればあれもこれも持ち歩く必要があったのが、今ではスマホさえあれば財布すらも必要な時代です。どのファッション誌をみてもバッグは小型化しており、サコッシュやボディバッグの流行も単にアスレジャー流行の一環ではなく、そもそも持ち歩くべきものが極端に減ったという変化が根底にあるはず。
さらにいえば、今後財布もほぼ必要なくなっていくはずで、バッグや財布、カードケース、キーケースなどの革小物は機能性だけを見ればどんどん縮小していく市場なのだろうなと思います。
D2Cブランドの批評サービス「Thingtesting」とは
ロンドンでD2Cブランドを中立的に批評するサービス「Thingtesting」が誕生。ブランドから一切お金をもらわず辛口批評するスタンスはさながらロンドン版「LDK」といったところでしょうか。日本でもLDKが絶大な支持を受けて部数を伸ばしていますが。モノも情報も溢れる時代だからこそ「絞り込んでくれる」というところに価値がでるのだろうなと思います。
実際、Thingtestingはまだ4月に立ち上がったばかりにも関わらず4万フォロワーを突破。さらに9月から開始した有料コミュニティはwaiting list対応となっており、「本音を知るため」にお金を払う時代であることを改めて感じます。
また本質的には小売店も今後こうした役割を担う必要があり、ブランドからだけではなく顧客側に課金してもらう仕組みづくりが必要となっていくのだろうなと思います。
「店舗」を次のステップへ推し進める──小売サービス企業の差別化戦略
b8taがLAでD2Cに向けた新たな店舗を11月にローンチするもよう。RFIDの活用によってどの商品が試着を誘発したかを計測し、そのデータをもとにデジタル広告でプッシュするアイテムを決めるなどデータドリブンな店舗運営の考え方が今っぽい。ブランドとしても、今やフォロワー数十万のブランドでも10人前後で運営しているところが多いため、運営をほぼまるっと委託することができる上に毎月決まった固定費を払えば追加料金は必要ないという点はありがたさを感じるところが多いのでは。
これまで卸を含む小売への出店はデータがメーカー側にかえってこないことがネックでしたが、今後はb8taのようにいかにオンラインでも活用できるデータをメーカーにバックできるかがいいブランドを集めるためのポイントになっていくのではないかと思います。
大きく変わるインフルエンサーとブランドの関係値
これまではブランドの広告塔として活躍してきたスポーツ選手や芸能人たちが軒並み自分のブランドを立ち上げ始めた現象について、ものづくりの参入障壁が低くなったことに加え「ファンに誠実である」ためには企業側の指示ではなく自分の好みや思想を優先させる必要がでてきた、という背景はかなり納得。
特にアメリカを中心に売れているインフルエンサーブランドはどれも名義貸しではなく本人が本気で作り発信しているものばかりで、とりあえず作ったものは消費者にも見抜かれる時代なのだなと思います。
私自身もTwitterのフォロワー数がそこそこの数なのでたまに「これを紹介してもらえませんか」といったDMがきてうんざりさせられますが、インフルエンサーの発信力を活用するには「作る」ところから関わってもらわなければ発信の「authenticity」が弱く誰も幸福にならない、という点はもっと広く周知されるべきだなと思います。
「ミレニアル世代向けサービス」バブルの終焉
WeWork、Uberと期待のユニコーンが相次いで失脚しつつある中、ミレニアル世代向けサービスともてはやされてきた企業の不健康なマーケティング偏重主義と持続性のなさに警報を鳴らすDEREK THOMPSONの考察。(個人的に彼の冷静な批評性にはいつも感銘を受けています)
顧客1人あたりの平均LTV以上にマーケティングコストを使うスタートアップの不健全な成長性については以前からあらゆるところで指摘されてきましたが、最近「サスティナビリティ」への意識が高まってきたことで、より「このやり方で何十年後も存続できるのか?」という問いに企業が直面するようになったのかもしれないな、と個人的には見ています。
特にD2Cをはじめとするブランドビジネスはプラットフォームとは異なりゼロサムではないため、マーケ費用を突っ込めばのちのち勝者総取りできるものでもなく、何を出口とするかが不透明になった瞬間、不安が広がり始めるようになったのかなと。
またここ5年ほどに台頭してきたスタートアップをまとめて「 Millennial Lifestyle Sponsorship」と表現しているのは言いえて妙。VCの資本をもとに顧客に無料同然で商品やサービスを提供してきたスタートアップは、懐事情の厳しいミレニアル世代への福利厚生だったのかもしれない、というのは痛烈な皮肉です。
最近アメリカのPodcast番組でも「急成長より長く続くブランドを」というテーマのトークが増え、風向きが変わりつつあることを感じます。
AppleやGoogleが新作発表会を行う本当の理由
AppleやGoogleが毎年新作発表を行う理由は、単に商品を紹介するためではなく「自分たちを主人公にして語る機会だから」という話は納得。今年はファッションショーの存在価値についてもあちこちのメディアで語られていましたが、商品の情報自体は一瞬で世界に共有されるものなので、大事なのはいかに「そこでの感動を語り継いでもらうか」なのだろうと思います。
そしてそのためにはモノについて語るのではなく、世界と自分たちとの接点を語る必要がある。
製品発表会であれファッションショーであれ、モノを通して語られること、それが聞き手を介して伝わり「神話」になっていくことが現代における目的なのだろうなとこの記事を読んで改めて思いました。
SnapChatがダイナミックアドの提供を開始
SnapChatが小売事業者向けにダイナミックアドを提供開始。閲覧履歴をもとに顧客最適化された広告を配信するのはすでにFBやInstagramが先んじていますが、すでに高騰しているインスタアドに比べると1/8という価格がSnapChatの強みのもよう。一方で最近はアメリカでもTikTokが勢いを増しているので、「ティーンのエンゲージメントが高い」という売り文句だけで今後どこまで広告入札額を伸ばしていけるのか、という点はきになるところでもあります。
Nordstromが旗艦店のコスメフロアを増床
Nordstromが10/24にオープンするNYの旗艦店はコスメフロアが拡張され、ボトックスやフェイシャルサロンなどのその場で体験するサービスも充実させているとのこと。その決断の裏には「店内に30分以上滞在してもらえる体験を作る」という考え方があるようです。
個人的にはこの記事の中で驚きだったのは、すでにNordstromの売上全体の30%をオンライン売上が占めているということ。Nordstrom Localのようにその場で売らずにオンラインに流す施策を進めていることも要因のひとつにありそうですが、伝統的な百貨店の中でここまでEC化を推し進めている企業はなかなかないのではと思います。顧客の平均年齢が43歳とほかの百貨店より10歳も若いことも影響していそうですが、彼らの積極的なデジタルシフトには学ぶところが多いです。
今回の旗艦店も、単にその場にくる顧客を増やすだけではなく、いかにオンラインに誘導しリピート購入を促す仕組みを作っているのかが気になるところです。
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この2、3ヶ月の変化として感じるのは、D2Cを含むミレニアル世代向けブランド/サービスへの風向きが変わりつつある、ということ。
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