「君が本当に娘にふさわしいか試すために7つの質問をしようじゃないか」【心底願う生き方が見つかるショートショート】
僕と彼女は田舎道を抜け、ようやく彼女の実家の玄関前にたどり着いた。
緊張と不安が胸を締め付け、心臓がドキドキと音を立て、息が浅くなる。
彼女はその微かな変化に気づいたのだろう、やわらかく微笑んで言った。
「大丈夫? ちょっとだけ深呼吸して。」
彼女は僕の肩に軽く手を置き、優しさを添えてくれる。
その仕草に、少しだけ気持ちが楽になった。
彼女の実家は、まるで時代が止まったかのような家だ。
白壁に赤い瓦屋根、窓枠の細工、庭には色とりどりの花々が美しく咲き誇っている。
整然としたその美しさに、僕は圧倒され、思わず口をついて出た。
「すごい家だね…。」
彼女が少し恥ずかしそうに笑いながら答える。
「うん、ちょっと田舎っぽいけど、ここが家族の大事な場所だから。」
その言葉を聞いて、僕は無意識に胸を張った。
だが、次の瞬間、彼女の父親がこの家の主であると考えると、僕の胸は再び締め付けられた。
「私が一緒にいるから、何も心配しなくていいよ。お父さんは最初は怖いかもしれないけど、ちゃんと話せばわかってくれるよ。」
「うん…でも、君のお父さんって体育教師なんだよね? 僕、運動はあまり得意じゃないし…」
「大丈夫、大丈夫。お父さんは無理にスポーツの話なんてしないよ。むしろ、お父さんが一番重んじるのは、物事に真摯に取り組む姿勢だから。あなたがどれだけ私のことを大切に思っているか、きっとわかってくれると思うよ。」
その言葉に、ほんの少しだけ安心感が広がった。
心の中で深呼吸をし、彼女と一緒に玄関の扉を開けると、そこには彼女の父親が立っていた。
背筋がピンと伸び、自然と頭を下げる。
厳格そうな表情のその男は、まさに体育教師そのものだった。
「初めまして、僕はてんまめと申します。あずきさんとお付き合いさせていただいております。」僕の声はかすかに震えていた。
彼女の父親はしばらく無言で僕を見つめていたが、やがて目を細め、ゆっくりと笑った。
「ああ、君がそうか。あずきの彼氏ね。」
「はい、そうです。彼女のことを大切に思っています。」
彼女の父親は少し考え込むような顔をしながらも、やがて「まぁ、緊張するな」と言い、僕を部屋へと迎え入れた。
「さあ、座りなさい。お茶でも飲んで、ゆっくり話そう。」
その言葉に、ようやく僕は肩の力を抜いた。
リラックスした表情で、彼女は「ありがとう、お父さん。」と微笑み、僕に軽くうなずいた。
そして、静かな時が流れた。
僕はこの一瞬を、これからの人生に対する覚悟を決める瞬間として感じ取っていた。
「今日は、あずきさんと結婚させていただきたく、ごあいさつに伺いました。あずきさんのおおらかさと芯の強さに引かれ、ぜひこれからの人生を一緒に歩みたいと考えました。」僕は少し声を震わせながらも、真剣に言い切った。
その瞬間、彼女の父親が手で次の言葉を制した。
そして冷静に、しかし鋭い眼差しで僕を見据えながら、ゆっくりと口を開いた。
「結婚の申し出に来たということは聞いている。」
「はい。」
「さて、君が本当に娘にふさわしいかどうか、最後に君の覚悟を試すために、いくつか質問をしよう。」
その一言に、僕の胸は再びぎゅっと締め付けられた。
彼女の父親は、まるで企業のトップが部下に厳しい質問を投げかけるように、僕に次々と問うた。
まるで一つ一つの問いが、僕の人生に対する経営的な問いかけであるかのように、冷徹で、しかし本質的な力を持っていた。
「質問は七つだ。一つでも曖昧な答えをしたら、今日は終わりだ。」
続きは思いもよらぬ展開になっていきます。