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言語化し説明できるから、わかっているわけでも、できるわけでもない。

Voicy No.0265 2023年1月16日放送 
本文を音声で聴きたい方は、こちらからどうぞ!

ビジネスにおいて論理的な説明は重要ですが、それだけでは捉えきれないニュアンスや、なんかズレているという感覚も大切です。言語化や再現性だけでなく、経営には感性も大事にしていきましょう。


勉強会に通い詰めた時代


会社を始めたときは26歳で、それ以前のオレはサラリーマンでした。

営業力はあるけれど経営の勉強なんてしたことがなかったので、起業して会社が大きくなってなかなかの勢いになると、経営者の通う勉強会などに経営を勉強しに行っていました。

当時は今以上にアメリカの経営学修士(MBA)がブームで、大手商社は毎年のように優秀な人を海外のMBAに出します。

2000年より前ですから結構アメリカ的経営がいいと言われていて、オレもそういうものの影響を受けてしまいました。もともと勉強もしなくて頭も良くないのに、MBA的な経営を理解したほうがいいと思い込んでMBAのスクール的なところにも行って、小理屈をこね始めたのです。

今思えば、それっぽい感じのことをやりたがっただけで、経営者としての実力実績にダイレクトにつながったかはわかりません。

アメリカの経営学修士(MBA)はアカデミックに経営を捉えるやり方で、要素還元的に必要なことを切り分けていきます。

マーケティングにおける4Pといって、こういう要素でこういうビジネスは構成されていると分けて説明して学んでいき、理屈としてわかるようにしていました。

でも今思えば、外資コンサルティング会社の人とか、そもそもオレより勉強もちゃんとしてきて頭のいい方と勉強会でやり合ってみたら、どれだけそういう能力を付けたところで、オレにはあまり意味がなかったのです。

それ以降、ビジネスを見てきちんと説明できたほうがいいと思っている時期も長かったし、今もX(Twitter)とかFacebookのような文字コンテンツはSNSでも多いです。

ビジネス書も昔はめちゃくちゃ読みましたが、ビジネスを追及している人たちは、すごく理屈っぽくなっていきます。

オレは1周回ってそうなっていけないな、もともとの頭の構造や性能がそういう方と違うと思いました。トップ中のトップと話したら、自分の能力がわかってしまったんですよね。

トップ中のトップというのは、論理的に物事を進めていく本当のプロ集団。

まさにマッキンゼーとかボストンコンサルティングを出られた方を経営していた1つ目の会社のあるプロジェクトの分析で依頼したら、すごく優秀でびっくりしました。


「なんかズレている」という感覚


今でもビジネスで言語化とか再現性という言葉をよく聞きます。この2つは違うことなので、言語化と再現性を一緒に語るつもりはありません。

再現性については、また別なときにきちっと話したいです。

言語化・仕組み化・再現性みたいなことを、ビジネスですごく言います。

物を売っていきたいとか、ファンの方に支持されたいという話ばかり一日中やっていると、言語化できないけれども、なんかズレていることがあります。

世の中に出してみたら全然売れないという状況に対して分析的なことをやると、単純に何かがズレていると感じることもあります。

言語化しろ、数値化しろといって取り組むのはいいですが、「そもそもニュアンスとして、大枠の感触としてズレているよね」「これ、ダメだね」みたいなことは1周どころか、5周ぐらい回ってみて最近思ったことです。

言語化して説明してくれると、言葉のキャッチボール上の納得感はありますが、それではわかっていないんです。

言語化の限界



わかったような気になりたいから「言語化してほしい」ということはありませんか。

家族が大病したときに、お医者さんから症状や手術について説明を受けます。家族の大病でこちらは感情的に「どうにかしてほしい」となっているから、一生懸命質問を聴きます。

お医者様が専門家として事細かに言語化して説明してくださいますが、言葉としてはわかるけれど、本当にわかったかというと、やっぱりわからない。

最後は「お任せします」しかないことがあります。

商売もそう。

売れた理由、売れない原因、説明しきれることもあれば、説明しきれないことも山ほどあると認めないと、始まらないと思います。


モテる方法


YouTubeにモテコンテンツがあります。

「こうやったら女の子を落とせる」みたいな内容は、オレの学生時代は本でありました。

今はネットにもそういう情報があって、返信が来やすくなるLINEの送り方とか、そういうモテコンテンツがたくさんあるのです。

そもそも、理屈でモテるように人はなるのでしょうか。

言語化とか再現性といって、モテている人がやっていることを理屈で説明されて、「それができるようになるとモテるのか」という、大いなる矛盾があります。

だから言語化して説明をすることを放棄もしなければ、これからもやり続けていく仕事だし、そもそもおまえのVoicyが言語化して伝えるコンテンツだろうと言われれば、その通りです。

ただ、これではつかみきれないニュアンスみたいなものを、どうお互いに共有していくかは大事かなと思います。

「モテるコンテンツ」の矛盾点と一緒で、言語化してくれたら言葉は理解できますが、だからできるわけでもないし、完全に言語化できたらモテるようになるわけでもない。

これも痛い話だけれど、女性のいう「キモい」を言語化したところで、改善できるでしょうか。

セクシーさとか色気もそうですが、言語化と抽象的な感覚的な捉え方は両方必要だよね、というお話でした。

本文は
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った内容を
文章化し加筆したものです。
Voicyアプリをダウンロードして『コテツ』で検索、無料で聴けます。
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久々野智小哲津
二十数年にわたり、のべ7社ほど(8社目準備中)会社を経営。ITの会社を大きく成長させた後、新規事業でさまざまな事業を立ち上げ、フランス、イタリアを中心にヨーロッパからブランドを日本に持ってきたことをきっかけに、ブランドづくりができるようになった。
海外ブランドの日本進出や、日本国内の会社、サービス、商品、人(タレントさん、議員さん、スポーツ選手など)のブランドプロデュースにも関わっている。
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