見出し画像

とにかく売れればいいのであれば、ブランディングなんてやらないほうがいい|ブランディングと商売

 

ブランドにする必要がない商品やサービスもあります。マーケティングとブランディング、どちらを使って販売していくかは、最初から決めて取り組んだほうがうまくいきやすいです。

Voicy No.0333 2023年7月5日放送
本文を音声で聴きたい方はこちらからどうぞ
(倍速なら5分で聴けます)


本心は「ブランドをつくりたい」のではなかった


実際にあった相談を題材にしますが、特定しきれないような言い方で話すので、少しもやっとしたケーススタディーになるのをご了承ください。

日本じゃない国で、めちゃくちゃ売れていたある機械を日本で売りたいと思っている企業があり、日本で展開してみたら全くうまくいかなかった。これはブランディングからやり直さなきゃダメだ、というご相談がありました。

こういうケースは結構あります。

本国では売れているが、日本では大苦戦している。その日本での展開に、一部販路として関わっている会社が困って、俺と接点のある仕事を昔やって、めちゃ売れたことがあったので、紹介で来てくださったのです。

ブランドオーナーは「ブランドをつくっていきたい」と言っていますが、よくよく聞いてみると、売れれば何でもいいと思っているようでした。

マーケティングで売るのが正解な場合も


それが悪いと言いたいのではなくて、商売はどっちのやり方でもいいんです。

マーケティングでお客様がお金を払ってくれる瞬間だけをつくってくれればいいなら、ブランドにならなくていい。

そのとき売れそうなことをやればいいわけです。

ブランドはスタイル、哲学、主張、ブランドコンセプトにファンを付けていくことだから、ブランドになりたいならそこを中心に置いて、発言や露出やPR、マーケティング、出店戦略等を、ブランドポリシーに基づいて全部連動させることです。

ブランドになろうと思ったら、ブランドのコアなところ(スタイル・センス・哲学)をはっきりしなきゃいけません。

「豪華=富裕層イメージ」ではない


そのブランドオーナーに、何々というブランドがどんなものか聞きますと、「これこれで、豪華な、美しい」という感じのことをしゃべります。

でも今の時代、先進国では高度成長がほぼ終わっています。昔みたいに家や車が大きくなる。シャンデリアや猫足のヨーロピアン家具がある派手な生活をするのが、豪華じゃなくなっています。

「豪華=富裕層を狙いたい」というのは、たくさんあるご相談です。
しかし、富裕層って自転車に乗っているのです。

富裕層は今、平屋の小さな家を建てたりするし、富裕層といってもスタイルがある。

どういうスタイルの方に、好きになってもらおうとしているんでしょうか。

ブランドは花と一緒で、パンジーなのか、チューリップなのか、タンポポなのか、みたいなところです。自分の色と形、佇まいをどうするかという話なので、「いやいや、豪華な花といったらバラ一択でしょう」という古い考えでは、ブランドづくりはダメなのです。

「俺の言っている美しさというのは、ラグジュアリーブランドが結構やっているだろう。だから、そういうデザイン会社を引っ張ってきて、いろいろやっているんだ」という感じのことを英語で言っていました。

マーケティングが正解な場合もある


TikTokをマーケティング策で連動するときがありますが、それを間に入ってくれた人の会社のときは、トータルでやりました。その話も聞きたがっていたので、「有効じゃないですかね」という話をしたら、「どういうのがバズるんだ」と質問されました。

その商品は多分、全然TtikTok向けじゃないんです。そこでヒアリングを終え、紹介に入っていただいた方だけと打ち合わせをしました。

「コテツさん、どう思いましたか」と聞かれたので、「ブランドにならないで、とにかく焼き畑農業的に売りまくって、一時期の需要を刈り取って終わりにするのであれば、売れそうなことを全部やればいい。今売れそうなことを全部やって、ファンとの関係を特に考えず、一般消費者がただ買ってくれたらいいのであればやり方はあります。それならそれで、誰々さんが紹介くださっていることなので、やりましょうか」と答えます。

ただ、ブランドになりたいのか、ウケればなんでもいいのかの2択では、出だしが全く違います。北極行くか南極行くかぐらい、出す足が北になるか南になるかぐらい第一歩が違うので、「どっち中心なのか聞いてみてください」と話しました。

「ウケれば何でもいい」のが悪いのではありません。

ウケて最後、何かが見えてきたらいいし、それで息切れしたり、商品が飽きられたり、消費者心理をコントロールして買っていただいてお金が入るのでいいなら、そう思ってやったほうがいいということです。

これはテーマと結び付いてきますが、「売れるためにブランディングをする」「売れ続けるためにブランディングをする」「ファンの方と関係を深めるためにブランディングをする」わけです。

だから、売れるためだけにブランディングするなら「ブランディングする」と言わないで、「マーケティングとPRで売りまくる」と言ったほうが、やりやすい。無理してブランディングって言わないほうがいいと思います。

サムネイルで釣る


YouTubeのサムネイルに釣られることって、ありますよね。
あと、1回どこかではやったら、みんながやる企画もあります。

数年前までは架空請求業者と戦うのとか、突然切れるどっきりとか、歩いていたらやからに囲まれたら、どんな対応をするのかというのがありました。

「あなたのスタイルに合っているものがブランディング」です。
「ウケれば何でもいい」というやり方では、ファンとの関係が続かないですよね。

上品にやれということではありません。自分のスタイルがそれならやればいい。でも、スタイルと関係ないことをやったらダメで、「つぎはぎ」になってしまいます。

コラボが上手なラグジュアリーブランド


ラグジュアリーブランドはこの辺がすごく上手で、昔から大事にしているスタイル・哲学・ポリシーを持ちつつ、コラボをしています。

グッチなら職人をイタリアのある村に住まわせて、品質を保ちクラフトマンシップを守りつつ、新規のお客様に接点を持つために一部ドラえもんとコラボをする。ただ、それにもポリシーがあって、何でもかんでもはコラボしないわけ。

ただウケればいい、売れればいいと「つぎはぎ」でやっていると、自分の哲学・主義主張・スタイルに自信がないと思われて、一生懸命付いてきたファンががっかりしかねません。どっちがいいのか考えてみたほうがいいでしょう。

コテツでした。

=================

上の文章は
Voicy放送をさかのぼり文章化したものです。
最新のVoicyは、こちらで更新中!!



【コテツのソーシャルメディア】


Instagram 

久々野智 小哲津(@q.kotetsu)

X(Twitter)

公式LINE 久々野智小哲津の日記的な

いいなと思ったら応援しよう!