高校生の探究学習に何を求めるのか？
こんにちは。探究学習と進路選択を繋ぐサービス Qareer を運営している平田と申します。私は、普段慶應義塾大学環境情報学部に在籍し、興味の赴くままに学んでいます。
また、自分自身が高校での探究学習から将来学びたいことが明確になったため、探究学習が将来像を描く機会になる高校生が１人でも増えればよいなと願い、Qareerというサービスを開発しました。
さて、本日は少し前にある高校の課題研究発表会に参加したときに生じた違和感をもとに記載します。
発表会後の、大人たちによる振り返り会にて…
参加した課題研究発表会は、某県の公立高校で開催されたものです。その県の中では、なかなかの進学校として知られている学校です。１年生の発表だったため、まだまだこれからとも言えたのですが、どの生徒も自分たちなりの問題意識や興味を元に、探究学習に取り組んでいました。
発表会の終了後、その学校の先生や見学した外部の人たちが集まり、振り返り会をすることになっており、混ぜてもらいました。そこで出た意見は例えば下記のような意見がありました。
「問いの設定が甘い」
「取り組みに新規性がない」
「課題解決策の提案がよくありがち」
「発表にインパクトがない」
「もっと共感させるプレゼンにしないと」
「もっと外に出て当事者とやりとりした方が良い」
生徒にどこまでを求めるか？
もちろん、言わんとすることはよくわかるのです。たしかにどのご指摘も、もっともです。そして、それができたらより素晴らしい探究学習になることも間違い無いでしょう。ただ、現実的にどこまでできるでしょうか。例えば、大学生や社会人でも、共感を引き出す魅力的なプレゼンができる人がどれだけいるでしょうか。探究学習は際限なく進めることができるからこそ、なんとでも指摘ができてしまうように感じました。
そう考えたとき、「学校として、生徒に何をどこまで求めるか？」は重要な視点だと思うのです。前述の通り、探究学習は際限なく進めることができるもの。だからこそ、あくまで「学校の教育活動として取り組む探究学習（いわゆる総合的な探探究の時間とか）」は求めるものや、そのレベル感をある程度定めた方が良いと考えます。
もちろん、生徒の取り組み次第では、学校が求めるものと異なるものが出てくることも多々あるでしょう。ただ、そうしたものに対しても、学校が求めるものやレベル感が定まっている方が、フィードバックもしやすいと考えます。あるいは学校の想像を超えた魅力的な探究学習であれば、カリキュラムを改善するヒントになるとも思うのです。
求めるべきは「成果物」より「成長」
もう１点、気になることがあります。それは、問いや取り組み、発表の"質"についてたくさんの指摘がなされていました。その対象は、当日の発表。いわゆる探究学習の「成果物」に対してでした。探究学習による一人一人の成長はどうだったか？それを大きくするためにはどうすればよいのか？という議論はほぼありませんでした。
当然、良い成果物（発表とか資料とか）が出来ていれば、探究学習による成長が大きい傾向はあると思います。しかし、探究学習はあくまで手段であり、目的は一人一人の成長。探究学習ならではの成長を期待するから、各学校がカリキュラムに含めているはずです。
だからこそ、探究学習でどんな成長を期待するのか？そのためにどのような学習プロセスを期待するのか？どのような成果物を期待するのか？といったことを、学校として定めることが大切に思いました。
これまで、Qareerでは探究学習の取り組みとキャリアの展望をテキストで提出する仕組みを取っていました。これに加え、直近のシステム改訂では希望する生徒は成果物をファイルで提出できるようにもする予定です。ただQareerが返すフィードバックは、成果物の質はあくまで参考に、これまでも大切にしてきた"各生徒の学びを大きくすること"にフォーカスしていこうと今一度思う機会となりました。
本日も、ご覧いただきありがとうございました。最近は、ご縁をいただいた学校の先生方とやりとりする機会を多くいただいており刺激的です。頑張っていきますので、是非フォロー、いいねして頂けると嬉しいです。