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ぶつかり合い
学生の頃に、講師の方と話す機会がありました。
その方はCM業界から一線を退き、映像関係の講師になったという経歴でした。
その理由について、本音とも愚痴ともつかないことをぽろっと漏らしていました。
「自分のアイデアをパクった先輩がCMの賞を獲ったことがあって、そういう業界かと幻滅してやめた。」
この人はまだ燃え尽きていない。
くすぶり続けているんだ。そう思いました。
CMの世界はアイデアが命と言っても過言ではないほど、とにかく新しいアイデアが求められる。
人を惹きつけたり、話題性を生むアイデアをどれだけ繰り出せるか。
なので、本来なら人のアイデアを盗むというのは絶対にあってはいけないことです。
プライドがあるのなら、人が考えたアイデアを、さも自分が考えたアイデアのように世に出すのは耐えられないはずです。
その先輩が、本当に人のアイデアをパクったのかどうかは分かりません。
パクった意識があるのか、ないのか、どこか別のモノからインスパイアされたアイデアがたまたま同じようなモノになってしまったのか、そこを追っていたら切りがありません。
言えることは、綺麗事だけではないのが人間社会。
そして、そんなしょうもない理由で才能が流出してしまうような現実。
これに怒りを覚えているわけではないです。
ただ、そういう現象が目の前で起きている。
自分の情熱とは関係のないことを理由に、夢を追うことをやめてしまった。
くすぶりながらも別の人生を歩んでいく。
それもまた人間の素晴らしい一つの形だと思います。
みんな、必死に生きている。
突然ルールが崩れるような、幻滅してしまうような理不尽なことも起きる。
それでもみんな、必死に生きていく。
卑怯に映ることもある、非情に映ることもある、人それぞれの必死があって、ぶつかり合っているのだから。
そして人間には、それ以上の助け合いがあると、そんな綺麗事を信じてみたいです。