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ちょっぴり読書感想vol.7

映画館と観客の文化史
加藤幹郎

今回は、映画館と観客の文化史という本を読了しましたので、綴っていきたいと思います。

この本は、題名に心を惹かれて手に取った本です。
というのも、ここ最近、映画館で映画を鑑賞することにハマっている私。しかも、ニッチで比較的小さめの映画館で。だから、この本を手に取ったのでしょう。読み終えた後、私がハマってる映画鑑賞に、何かしらの裏付けが取れたような気がしました。

この本の何が面白かったかというと、1番は視点ではないでしょうか。映画の歴史って、1番に語られるのは、作品や俳優ベースな感じがします。主役はあくまで作品や俳優なんですよね。でも、この本は、映画館という器と観客が主体なんですよね。映画館と観客の文化史というより社会学みたいな要素が強くて面白かったです。

映画館の元祖に値するパノラマ館たるものからスタートするのですが、初めて知る情報でまさに目から鱗でした。映画館と観客の在り方が時代によって変わる様が面白く、社会的背景と結び付いて変化していく様が、やはり文化だなと感じさせられました。今では映画館や観客の当たり前が、草創期には逆だったり、日本独自の発展の仕方もあったり、映画そのものの役割が時代よって異なったり、面白い内容でした。

終盤では、70年代以降の映画館と観客についても書かれているのですが、あの有名な映画であるジョーズを例に出し、今日当たり前に存在する郊外のショッピングモールなんかにあるような映画館、シネマコンプレックスについて書いてあります。そこでは、均質化というものがキーポイントとして出てきます。というのも、簡単に言うと万人ウケするものを莫大な資金で制作し、広告にもお金をかけ、その分めちゃくちゃ稼ぐというものなんですが、それが今日のオーソドックスな映画館と観客の在り方の基本でもあると私は解釈しました。
私が冒頭で書いた、ニッチで比較的小さな映画館で映画を鑑賞することにハマっているというのは、この均質化の枠からはみ出している楽しみ方だからハマっているのかと思いました。私の性格的に。笑

読み終えての感想は、映画館と観客というものを主体に、社会情勢や時代背景を感じることができる、とても興味深い書籍でした。

また、次回。

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