お散歩三輪車

(ベビーカーに乗せるより、かなりゆっくりだなあ)

そう思いながら通い慣れた散歩道を、娘の乗った三輪車を押しながら歩いていく。
厳しい暑さの夏もやっと終わった。
外で運動するのをずっと待ちかねた人達が、平日16時にもかかわらず集まっている。

犬の散歩をしている人。
ゆっくりウォーキングを行うお年寄りたち。
黙々と何周もランニングをしている青年。

多種多様の人たちがいる。

その中で一際ゆっくり私と娘は三輪車で散歩を楽しんでいた。
本来ならベビーカーに乗せたい所ではあるが、この頃拒否反応が激しい。
きっとベルトで固定されるのが嫌なのだろう。

三輪車も安全ベルトがついているがそれは腰のみで、上半身が好きに動かせるのが楽しいのか大人しく乗っていた。
娘はときおり犬が通り過ぎるのを眺めてはきゃあきゃあと歓声をあげている。

その光景を見ながらふと一年前のことが頭によぎった。

はじめてのお散歩は夫と2人で、おっかなびっくりしながら娘をベビーカーに乗せていた。
この世に誕生して1ヶ月の娘は、景色に喜ぶことも無い。

でも今はこんなに全力で外の世界を満喫している。
今はただ三輪車に乗っているだけだが、もう少し経つと1人で歩き回ったり走ったりする姿が見れるのだろう。

1年後の娘の成長を楽しみにしつつ、今はこのゆっくりと進む速度を満喫するのだった。

#散歩日記