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探検隊の気分で地元を歩いてみる

こんにちは、おにくまです。

40代後半になって、自分が生まれ育った町の雰囲気が好きになりました。

私のふるさとは漁業が盛んな港町です。
町の中には標高56mほどの山があり、山頂には奈良時代以前に創建されたといわれる神社が鎮座しています。

神社とふもとをつなぐのは、およそ200段の石段。上りきると、ちょっとトレーニングをした後のような心地よい疲れを感じます(膝は小刻みに震えます)。
神社の敷地内には視界を遮るものがないため、遠くには港や魚市場が一望でき、かすかに潮の香りを感じることも。


そして、神社のふもとには本町もとまちと呼ばれる商店街があります。

味噌屋や酒屋など100年以上続く老舗から、地元の特産品である藻塩もしおを使用したチョコレート専門店や果物屋が営むジェラート専門店、古民家を改装したカフェなど新しい店までさまざま。
古き良き重厚感のある佇まいから、今どきのカジュアルな雰囲気まで揃っている本町は、歩いているだけでも楽しい。

かつて同じ場所にはデパートやスーパーがあり、たくさんの人でにぎわいを見せていました。
しかし、年月とともに開かないシャッターが増え、一時いっときは「このまま町がなくなっちゃうんじゃないか」と不安を覚えるくらい人の気配を感じない時期もありました。

今では新旧が共存して軒を連ね、かつてのにぎわいほどではないけれど常に人の存在を感じ、温かみのある空気感を醸し出している本町。

思い入れのある場所だけれど、その変わりゆく風景に対して「好き」や「嫌い」の感情を抱いたことはありません。

地元を「好きだなぁ」と思うようになったきっかけは、現在はレギュラー番組を終了してしまった『ブラタモリ』でした。

『ブラタモリ』は建物や地形などから歴史の痕跡こんせきを辿りつつ町歩きをする、というマニアックな内容の番組で、私の地元でもロケをされていたようです。

地元に訪れた際の放送を観たのですが、自分がよく知っている場所なのに、他の町のことを言っているのか?と疑ってしまうほど知らないことだらけ。
”おもしろい”を飛び越えてカルチャーショックを受けたのを覚えています。

なんの変哲もない場所にも歴史が詰まっているという事実。
自分が生まれ育った町はどんな歴史を経て今に至ったんだろう?という疑問。

この2つがきっかけで、むくむくと湧き上がった私の中の探究心。
「そうだ、探検する感覚で地元の町歩きをしてみよう」
そう思い立ち、MAPを片手にバスレンタル自転車で町巡りを始めました。

『ブラタモリ』までマニアックにはなれないけれど、これまで入ったことがない路地や気になっていたけど上ったことがない階段など、見慣れた風景の一歩奥に入り込むような町歩きは、まさに探検隊になった気分でワクワクドキドキしっぱなし。地元なのに。

うっそうとした森林の先や大きな建物の後ろなど、表からは見えない場所にも歴史が遺っていること、なにげなく通り過ぎていた一軒家が、実は日本を代表する実業家が遺した歴史的建造物だったこと...

有形(建物)だけを見て「あぁ、あそこもなくなったなぁ。寂しいなぁ」と憂うのではなく、無形(歴史など町の背景)にも目を向けてみる。

町歩きを通じて自分の地元の奥深さを再発見した私は、離れてから初めて「この町、好きだな」と実感しました。

とはいえ、まだまだ知らないことが多そうなので探検はしばらく続きそうです。


#この街がすき

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