理想を理想のままにするな
理想の人、理想の生活、理想の仕事、理想の結婚生活、我々は様々な理想と共に生きている。
もちろん理想を持つことは悪い事ではない。
しかし、理想は理想のまま置いておくと自分を苦しめる物になる。
多くの人が自分の理想を空想の中だけで描き、それが現実になる事はない。
そこを目指して頑張っているつもりでも決してたどり着かない。
それは、決して彼らの能力や実力、努力不足の話をしているのではなく、理想というのは決してたどり着かない虚像である。
さらに、我々人間はその理想に「判断」され、「評価」される。
我々が理想を持つという事は、常にその理想に今の自分を判断されるという事である。
そして、その理想がたどり着くことのできない虚像である限り、我々はその理想によって自分の「不十分さ」を痛感させられる。
自分には何が欠けていて何が足りないのか、またどのような面で劣っているのか、常に突き付けられる。
だから、理想と現実の乖離によって失望感や劣等感に襲われる。
人は自分の劣等感をひた隠し見ないようにする事で心の平穏を保とうとする。
その劣等感に向き合い打ち勝った時に初めて強くなるのは100も承知だが、ほとんどの場合それは出来ない。
劣等感を見ないようにする方が楽なのである。
そんな人間が理想を持つことで自分の劣等性を突き付けられる。
そんな状態に耐えられるはずがない。
しかし、人は理想を持たずにはいられない。
特に、昨今ではSNSの普及により他人との比較が容易になった。
そのせいで我々の中の理想という虚像は常に形を変えながら我々から遠ざかっているように感じる。
では、理想を理想のまま持ち続け、自分自身の不十分さや未熟さを突きつけられて終わらないためにどうすれば良いのか?
それはその理想を目標にする事である。
理想という名の虚像を目標という名の実像にする事が大切である。
そもそも理想と目標の区別すらついていない人も多い。
目標に向かって歩いていくように、理想という虚像の闇に迷い込む人は多い。
まずは理想と目標をきちんと区別しなければならない。
その上でその虚像を目で見える、体で触れられる実像にまで落とし込んで、それからそこに向かい始める必要がある。
じゃなければ、ゴールがあるようなマラソンに見えて、永久にゴールの見えないマラソンを走り続けることになる。
どれだけ走ってもゴールに近づいている感覚すら持てずに。
「理想の生活は?」と聞かれた時と「あなたの人生の目標は?」と聞かれた時に、違う答えが出てくるだろうか?
理想という名の虚像に縛られてはいけない。あなたを評価させてはいけない。
理想を理想のままにするな。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?