ブラザーフッド(2004)
今では懐かしい韓流四天王の2人の貴重な共演
戦場で引き裂かれた兄弟の絆を描く感動作
サスペンスアクション『シュリ』('99年)で韓国映画の実力をアジアに知らしめたカン・ジェギュ監督が、本作では祖国の悲劇、朝鮮戦争について伝えました。
2004年の公開当時の日本は韓流ブーム真っただ中、勢いのある韓国映画らしい力強く激しい映像の中に、痛々しいまでに互いを思いやる兄弟が放り込まれました。
韓流四天王と呼ばれ、絶大な人気を誇ったチャン・ドンゴンとウォンビンが兄弟役を演じています。
冒頭、1本のアイスキャンディーを分け合う微笑ましいエピソードで、兄弟の絆の固さを物語るシーンが素晴らしいです。じゃれあう2人の表情をつぶさに捉えるスピーディーなキャメラワーク。まるで2人の輝かしい瞬間を逃すまいとしているかのようで胸に迫ります。
列車の外で兄弟を探す母とヨンシン、列車の中から2人に無事を知らせるジンテとジンソク。図らずも兄弟2人が軍用列車で去っていくシーンでは、列車越しの別れによる、鮮やかな第一幕の幕切れに早くも涙してしまいますが、悲劇のドラマはこれからです。
ジンテはジンソクの除隊を認めてもらうため、戦場で活躍し勲章を手に入れようとしますが、兄を心配するジンソクは兄の無謀さを非難します。それでも次々に危険な任務を遂行するジンテはついに勲章を手に入れ、弟の除隊を許可されます。
しかし、優しい心を失い、殺人マシンと化した兄にジンソクは反発し、みずからの意志で軍隊に残るのです。
戦場で互いのことを思いながらも、反目し合う兄弟の姿を通して伝えられるのは、朝鮮戦争の悲劇。オーソドックスなテーマをカン・ジェギュ監督はドラマチックな演出で盛り上げました。
ただ、素人兵士のジンテが戦場で見事な活躍を遂げたり、弟のためだけに戦ったりと、感動をあおるためにご都合主義的な側面もちらほら。
また、『プライベート・ライアン』('99年)で使われた〈イメージ・シェーカー〉を使用した戦闘シーンは激しいだけで真実味に欠けます。
脚本を手がけたのもカン・ジェギュ監督。悲劇が連鎖するストーリーは表層的ですが、辛い歴史を懸命に伝えようとした熱い思いは伝わります。
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【チャン・ドンゴンの最新主演映画が1月17日より公開】
裕福な家族に降りかかる悲劇