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ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還(2003)

旅の終わりで見せたキャラクターたちの底力
最も過酷で、最も胸を打つシリーズ最終章

 
世界を滅ぼす魔力の宿る指輪を捨てるという使命を託されたホビット族のフロドと、彼を守ると決めた仲間たち。彼らの旅がすごいことになっています!

J・R・R・トールキン原作のファンタジー叙事詩を、ピーター・ジャクソン監督が映画化した『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ3部作の最終章は、まるで戦争映画です。

しかし、ファンタジーの中の戦いはあくまで状況設定に過ぎず、〈欲望を捨てること〉〈誰かを守ること〉というシンプルだけど、人間的なメッセージをただひたすら発信しています。

【ストーリー】
ゴラム(アンディ・サーキス)の道案内で滅びの山をめざすホビット族のフロド(イライジャ・ウッド)とサム(ショーン・アスティン)。疲れとひもじさの中で体力も気力も限界に達したフロドをサムが懸命に励ましていました。しかし、何よりフロドを苦しめていたのは指輪の魔力を望む心でした。
一方、アラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン)ら一行は冥王サウロン率いる40万のオーク軍との戦争に突入します。

本作で描かれるのは、大きな試練を与えられたキャラクターたちの姿。指輪の魔力に取りつかれたフロド、ゴラムの策略にはまり、フロドとの友情を壊されるサム。王の威厳を取り戻そうとする、さすらい人アラゴルン、もちろん劣勢の戦場へ赴くほかのキャラクターたちも過酷な試練に立ち向かいます。

指輪をめぐる戦いは2人のホビットに試練を与えます。欲望と正義との戦いとも言うべき、滅びの山でのエピソードはフルCGキャラクターのゴラムを含めた3人の俳優の熱演が見ものです。

とくに邪悪なゴラムの策略にはまり、フロドと仲違いさせられても、なお忠誠心を持ち続けるサムの姿にはお涙ちょうだい的な匂いがしても心を打たれます。

一方、ヘルム峡谷の戦いを終えたアラゴルン、レゴラス(オーランド・ブルーム)、ギムリ(ジョン・リス=デイヴィス)、ガンダルフ(イアン・マッケラン)はアイゼンガルドでホビット族のメリー(ドミニク・モナハン)やピピン(ビリー・ボイド)と合流します。

しかし、再会を喜んだのもつかの間、彼らは冥王サウロンに狙われた人間の国ゴンドールの救援に向かい、ついに中つ国の存亡をかけた戦いの火蓋がきって落とされます。

空からは黒の乗り手ナズグルが、地上からはおびただしい数のオーク軍が、さらに新種のクリーチャーまで現われる戦闘シーンの迫力は、前2作の比ではありません。

劣勢にもかかわらず戦場へ赴くゴンドール勢の合言葉は「愛する者のために命をかける」。初めはこのヒロイックな言葉の連呼に押し付けがましさを感じたものの、戦いに至るまでの序盤でキャラクターそれぞれのドラマをじっくりと描いたことが功を奏します。

彼らは葛藤や迷いに直面した末、この言葉の意味を自分なりに咀嚼します。その固い決心の前に余計な詮索は無用であり、信念を貫き最後まで戦い抜く姿には素直に心を揺さぶられます。

前2作までは高度な視覚効果技術による壮大な映像に目を奪われましたが、本作では強い意志で目の前の試練を克服しようとする、ひたむきで真摯なキャラクターたちにすっかり心を奪われました。

真実の愛と勇気を持った彼らとの時間をもっともっと共有したい。私はこれほど完結するのが残念に思われた作品は他にありません。

本作は、米アカデミー賞で全11部門受賞の快挙を達成。スクリーンの中で勇敢に戦った仲間たちに、ファンタジー映画初のアカデミー作品賞受賞という栄誉が与えられました。

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【『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ最新作が12月27日より公開】

シリーズ第4作はなんとアニメーションで登場

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【『ロード・オブ・ザ・リング』映画シリーズなら、こちら👇もどうぞ】

第2作も素晴らしいです!


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