チャーリーとチョコレート工場(2005)
悪い子どもたちにはしっかりお仕置き!
大人も童心に返って楽しめるファンタジー映画
2005年に、ジョニー・デップ主演で映画化された本作は、とびきり楽しい映画です!
正体不明の天才菓子発明家ウィリー・ウォンカの経営する謎の巨大チョコレート工場で4人の子どもたちがひとりひとり消えていき……。
子どものときに絶対読んでほしい児童書といえば、ロアルド・ダール原作の『チョコレート工場の秘密』があげられます。ホラーめいたくだりは、心根の悪い子たちに取っておきのお仕置きをした結果のこと。悪い子はどうなるかという、いかにも児童書らしい訓話が、皮肉とブラックユーモアたっぷりに語られます。
たとえ子どもだろうと容赦はしない! 多少、大人げなくもあるこの物語の精神を映像化できるのは、子どもじみた遊び心とひねた視点を併せ持つティム・バートン監督をおいてほかにはいません。
いかにも子どもの国のようなカラフルで楽しげな舞台が一転、悪い子への見せしめの場と化す展開は、殺人鬼の出てくるホラー映画よりある意味、残酷かもしれません。奇想天外な設定のなかで、人間のあるべき姿を示す辛口ファンタジーです。
純粋無垢なチャーリーとは対象的に、4人の子どもたちの憎たらしさと言ったらありません。ぐうたら、強欲、野心家、知ったかぶり――、ウォンカならずとも性根を叩き直したくなます。
シルクハットにおかっぱ頭、顔は異様に白いが服装はド派手なウォンカ。心身のバランスがちょっと危ういエキセントリックなキャラクターを愛すべき男に仕上げたジョニー・デップもさることながら、憎まれっ子に成りきった子どもたちの熱演がなければこの物語は成立しないでしょう。
チョコレートの川で溺死寸前、ローラーに巻かれてぺったんこ、などなど……。ひどいお仕置きも当然と思える子どもたちのおかげで、お仕置きシーンの気持ちよいこと。さらにミニミニオヤジのウンパルンパが、すまし顔で子どもたちの傷口に塩を塗り込むような歌を歌い踊ると、爽快感は絶頂に達します。
最後は取って付けたようなメッセージを残し、良いお話になってしまいましたが、だれの周囲にも4人の子どもたちのような大人はいるはず。健全にストレス解消したい大人には持って来いの作品です!
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ちなみに、1971年に公開された『チョコレート工場の秘密』初の映画版もとてもおもしろいです。
時代的に特殊効果に高が知れている本作は、言い得て妙のシュールなセリフでストーリーの精神を見事に表現しています。
5枚の金券を巡る世界中の狂乱ぶりを皮肉たっぷりに捉え、悪い子に対するウォンカの言動は毒気が効きすぎて怖いくらい。
ファンタジー色の濃いバートン版に比べると見映えはしませんが、チープな映像とブラックな味付けの中に生まれたラストの夢は、大きな感動を呼びます。
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【2023年12月8日より、『チャーリーとチョコレート工場』の新作が公開!】
謎の工場長ウォンカの若き日を描く前日譚
ウンパルンパに扮するのは、ヒュー・グラント!
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