ラクトバチルス菌がそもそも少ない方でも大建中湯は効果があるのか?
今日も「大建中湯」の続きの続きです。
昨日のコラムで、マウスの腸内にいるラクトバチルス菌が大建中湯をエサにすることで、最終的にプロピオン酸が作られ、免疫機能が高まるというシナリオでした。
ただ、人の腸内には、実際にはラクトバチルス菌がいる方は少なく(少なくとも私たちの腸内細菌検査においては、所有率がゼロの方が多い)、統計的にも日本人には乳酸菌がいる確率が少ない、欧米人にはいる、そのような結果が出ております。
これは、ビフィズス菌のところでも触れましたが、欧米人は乳糖を処理する能力が高く、大腸まで乳糖がいかないので乳糖をエサにするビフィズス菌は少ないのです。反対に日本人は乳糖不耐症の人が多いため、乳糖がそのまま大腸にいきビフィズス菌が育ちやすい環境にあるため、ビフィズス菌が多いと言うことです。
少しビフィズス菌は余談でしたが、乳酸菌に関しては欧米人は多く所有しているといいます。
日本人には少ない乳酸菌ですが、プロピオン酸を作る酪酸菌は多くの方が所有しています。例えば、フィーカリバクテリウムも酪酸を産生しますが、同時に同じ短鎖脂肪酸である酢酸やプロピオン酸も産生するので、最終的に大建中湯を投与し食品から摂取した乳酸菌が最終的にプロピオン酸に形を変えても不思議はありません。
プロバイオティクスとプレバイオティクスを同時に摂取するシンバイオティクスを実践することなります。
いずれにしても、過敏性腸症候群など腸の疾病を抱え、腸の環境が悪い方は別にして、大建中湯が何らかの効果をもたらすことは考えられるかなと思います。
画像はプロピオン酸の化学式です