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【今日の臨床】人工膝関節全置換術後で退院1か月後に痛みが出現した理由は? 理学療法士
今日は人工膝関節全置換術後の対象者で退院後1か月で痛みが見られたため、理学療法を実施した方についてまとめていきます。
その対象者は術後2か月程度でここ数週で痛みが出てきて、痛みの出るタイミングは座位や臥位姿勢後に床に足を付けた際に出現し、場所は膝内側や外側に広く指していました。
また、退院時はこのような痛みはなく、ここ数週間で出てきたことや反対側の人工膝関節全置換術後ではこのような症状がなかったことから不安になり、理学療法で対応をさせていただきました。
話を聞いていると週5回40分程度プールで運動されており、それが現在のリハビリ方法だとお話されていました。
膝関節の機能的な部分としては、可動域が膝関節伸展-10°屈曲85°で制限が見られ、パテラ周辺も浮腫、創部の滑走制限もありました。
臥位姿勢では、膝関節が床に付かない分、脊柱を伸展させて膝を押し付けるようにしてハムストリングスに過緊張が姿勢時筋緊張としてありました。
このような膝関節の状態で荷重下の運動を繰り返すことは膝関節周囲組織に圧縮や伸張負荷を過剰にかけやすいことが考えられ、運動自体が逆効果となっている可能性が考えられました。
治療では創部やパテラ周囲組織の滑走性を改善することや半膜様筋、薄筋の滑走性を改善することで膝関節可動域が拡大し、足を床につけた際の疼痛が消失しました。
そのため、セルフマッサージ方法の指導と非荷重下で自分自身の誘導で膝関節の自動介助運動を指導し、プールの運動量を減らすことを提案しました。
今回のように対象者自身が正しいと思ってやっていることが病期や身体機能の状態とマッチしないことで逆にストレスになってしまうことは結構あると思います。
このようなケースは真面目で意識の高い対象者で多いように感じており、そういった場合は丁寧な説明と同意が必要であるため、今回も時間をかけて行いました。
また、次回以降の疼痛と身体機能の状況次第ではありますが、症状としては臥位や座位など姿勢保持をした後に出現するため、膝以外の部位にも荷重下で膝に負担をかけてしまう要素がある可能性が高いと思うので全体像もしっかりと評価していきたいと思います。
世の中にはこのように退院後などに悩まれている方が多くいるのかもしれないと思うともっと理学療法が手の近いところにあれば良いのにと思ってしまいます。
ご意見ありましたらコメントしていただければと思います。
※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。