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星空の下で
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北アルプス縦走の途中。この日は雲ノ平で野営し、次の目的地に向かって未明に起床。太陽が昇る遥か前、午前2時に起床。テントをたたみ、ヘッドライトを装着してナイトハイクスタート。
南北アルプスの峰々は街の光が全く届かないので、ナイトハイクは文字通り漆黒の闇夜を歩くことになります。
ですが、この日は秋分の日。空にはまんまるの、中秋の名月。闇夜に目がなれたのと、月明かりで周囲がぼんやり照らされて、足元の危険は少しばかりやわらぎます。
でも、月明かりは空を大きく明るく照らすので、天に瞬く星をかき消してしまいます。
人間の都合など一顧だにしない剥き出しの自然の中では、明るさは安全安心そのもの。ですが、せっかくの星空が…などと、お月様には罰当たりなことを考えてしまいます。
でも、この日は違いました。月明かりに負けず、主役は譲らないと言わんばかりの、満天の星空。あまりにももったいなかったので、まわりがひらけたトレイルで、ヘッドライトを消して地面に仰向けに寝そべって、心満ちるまで星空を見つめました。