【読んだ本の話】「エフスタイルの仕事」を読みながら。仕事の形に思いを馳せる
上記の「また旅。」を読んでいたら(これは編集者の岡本仁さんが日本全国を回って、ちょっとディープな観光をした記録をまとめたもの)、新潟の紹介ページで「エフスタイル」さんが登場した。
「エフスタイル」とは女性2人のユニット。
大学でデザインを学んだ2人が、新卒後すぐから始めた仕事はユニーク。地元で頑張っている伝統産業と手を組み、商品開発からパッケージデザイン、販路までプロデュースする。デザイン料はもらわず、「売れたら報酬が発生」する仕組み。
彼女たちは20年以上、そのスタイルを続けている。
大変興味深くて、いつか「ここの商品を買ってみたい」と思うのだった。
で、先日山梨まで日帰りでお出かけしたとき(目的はルバーブを買いたかった。毎年ジャムを煮ている)。
リゾナーレ小淵沢に立ち寄り、ふらっと敷地内の本屋に入った。
(ブックカフェに厳選された暮らしまわりの本が並んでいる。大変私好みだった)
そこで見つけたこの本。
「エフスタイルさんのことが学べる!」と即買いして、実は「また旅」をまだ読み切っていないうちに、こちらを先に読了。
エフスタイルのおふたりは、産業としてはかなり縮小してしまった伝統的なもの(例えば曲げわっぱなどの曲物、織物)や、下火となった下請け工場(靴下工場、繊維工場)とタッグを組み、そこだけの魅力を引き出すことを仕事にしている。
時は商品開発から携わり。
パッケージを考え。
売り先まで模索する。
在庫管理も行う(事務所にある和室で)。
商品撮影をして、コピーを考える。
作り手には「生産」だけを心を込めて行ってもらい、その先のすべてを自分たちで担う。
デザイン。
という言葉ではくくれない仕事。
どういうふうに梱包したら「小売店に届いたときに、お店の人が喜ぶか?」から始まり、手に取った人の感じ方、使い続けることで生まれるもの、未来に残せるもの。モノを多角的に見て、魅力を引き出しながらも、消えゆく産業が「ずっとあるように」知恵を絞って、売り続ける。
これは2008年ごろ発売の本。
なのに、その頃生まれた「エフスタイル」の商品が今も定番品として売られている。その持続性の凄みが胸を打つ。
2人が生産地に足を運び、一緒に商品を作ったことで、それらが生き生きと生産され続け、販路に乗り、売れてきた軌跡。
時を経ても変わらず魅力を放つものを作る、それこそが価値ある行動。
で。
私は興味を持ったらすぐ試したいので、オンラインで「エフスタイル」の商品を物色中(まだ買っていない)。
ゴムを使っていない、足が浮腫まない靴下を履いてみたいし。
羽越しな布のカバンもとても気になる(ただこれは手に入れるのは大変そう)。
あとは亀田縞の風呂敷。
何を買おうか迷いながら、この世に無数にある「名前のない仕事」に思いを馳せる。
自分だけの仕事の形があってもいいんだな。肩書きは必要なくて。屋号がそのまま仕事の名前になるような、たった一つの仕事を見つけられたら幸せだなと思う。
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