【必見】Dtx(デジタルセラピューティクス)について!医療の課題をテクノロジーで解決!?世界の医療を牽引するデジタルセラピューティクスのポイントとは!
こんにちは!Preventure編集部です!
今回の記事のテーマはDtx(デジタルセラピューティクスです。現代においてさまざまなものがデジタル化されています。医療もその例外ではありません。医療現場は現在人員不足が嘆かれており、効率的な医療体制が求められます。そんな医療業界に革命を起こすデジタルセラピューティクスについて、記事を読むことで理解を深めていきましょう!
Dtxとは
記事の最初に、今回のテーマであるDtxとは一体どのようなものなのかについて説明します。Dtx(デジタルセラピューティクス)とは、特定の病状を予防、管理、治療するために臨床的に検証され、公式に規制された製品のことを意味します。Dtxは新しい治療法となりうるため、患者が従来の薬や処置に頼るだけの状態から脱するための方法として用いられます。
Dtxサービスは、医療機関に導入されるだけに留まらず、法人での福利厚生や、社会保障制度として行政単位での導入も進んでいます
Dtxと他の医療DXサービスの違いは主に3つです。
一つ目は、治療効果の有効性についての医療的なエビデンスや根拠が必要とされる点です。言い換えれば、ある程度の治療効果は保証されていると言えます。
二つ目は、臨床試験や査定などを通じて保険適用が判断されるという点です。保険が適用されることで患者の負担を減らし、より多くの人がDtxサービスを利用することができます。
三つ目は、新薬に比べると短期間で審査が完了することです。新薬は通常審査を終えるまでに長い時間がかかりますが、Dtxは審査が比較的短期で終了します。
これらの利点があるDtxですが、一方で多くのプロダクトにおいてスマホやパソコンなどのデジタル機器を必要とします。それによって導入に際してデジタル機器を購入する費用や手間が発生してしまいます。また高齢患者にとって一つのハードルとなりうるでしょう。
また、国内外とも認知度の低さに問題があります。いかにして認知度を拡大していくかも今後の課題です。
ヘルスケア市場の急拡大
Dtxはヘルスケアの領域に含まれます。そこで、改めてヘルスケア市場について確認しましょう。ヘルスケア市場も今注目されている市場の一つです。
国内ヘルスケア市場
経済省の発表によると、日本国内のヘルスケア産業の市場規模は2016年で約25兆円であり、日本再興戦略によると2025年には33兆円になると予想されています。これらのことから、非常に伸び率の高い市場であることがわかります。これはジェネリック医薬品の普及やロボット、AI、IoTなどのテクノロジーの発達などさまざまな要因によるものです。
医療には予防から診断、治療と過程が細分化されており、高度な専門的知識が必要なため多くの企業が参入しています。また、医療品や医療機器だけでなく、フィットネス事業やサプリメント開発なども医療に深く関わっています。現代では健康寿命が長くなっており、かつての医療とは求められることも変わりつつあります。加えて、医療現場のDX化が進み、労働環境の改善などDtxが活躍する場は多く存在しています。
特に我が国では高齢化の進行が顕著であり、労働者人口の割合も減少しています。そのため少ない人数でも効率的に、効果的に治療を行う必要があります。
Dtxのサービスとしての強み
ここではDtxとしてのサービスの特徴・強みをご紹介します。
①人の目では見えないことが可視化できる
テクノロジーを利用した診察によって、医師の目では判断できない事象を可視化することが可能になります。それによって診察の質の向上を図ることができ、症状を見逃すことなく早期の治療を可能にします。
②デジタルデータを蓄積管理できる
診察を通じて、患者にまつわるデータをデジタルで蓄積・管理することができます。それによって過去の診察などを参考にすることができます。そして、患者のデータを元にして、それ自体の機能を向上させることができます。これにより更なる効率的な治療が可能になります。
③投資コストを抑えることができる
他の医療品と比較して、開発から提供までの時間が短く済みます。そのため、市場に投入するまでにかかる研究費用、設備費用など開発にかかる、投資コストを抑えることができます。またすぐに市場での実証実験を行うことができます。
④行政の規制緩和が進む
デジタル医療に関する規制が緩和される傾向にあります。そのため、サービスを次々と展開できます。それも現在のDtxの市場の成長を後押ししています。
サービスを展開していくうえで行政の規制が無いか、法律の抵触しないかは非常に重要です。行政が規制を緩和する背景には社会保障費の負担を軽減する狙いがあります。
今後もDtx市場には積極的に投資されると思われます。
Dtxの海外普及
Dtxは海外においてより普及しています。その理由として承認プロセスの違いが挙げられます。2021年時点で承認された商品は日本で一つしかないのに対して、アメリカで23、欧州で21となっています。
アメリカにおけるDtxの動向
アメリカでは日本よりもDtxが浸透しています。
特にアメリカのDtxを盛んにしている要因として考えられるのが事前承認制度です。
これは製品そのものではなく、開発をしている企業に対して検査を行い、事前に承認を与えることで当該企業の製品に対し、より迅速で効率的な規則監視を可能にしています。また、承認ガイドライン自体の柔軟性にも日本との相違点が存在します。アメリカでは、デジタル医療において単体で医療機器として機能するソフトウェアを従来の医療機器と明確に区別しているようです。
そんなアメリカにおいてDtxを用いたサービスを運営する世界初のDtxベンチャー企業があります。それはWellDoc社のBluestarです。これは2型糖尿病患者向けのアプリであり、モバイルヘルス業界の先駆け的存在です。これは患者が自宅で血糖値を入力するための機能に加えて、入力した情報に応じて疾患指導や生活習慣・モチベーション維持に関するアドバイスを得ることができます。また、専門家に直接質問することも可能です。
もう一つDtxを用いたサービスを紹介します。その名もPropellerです。Propellerは喘息や慢性閉塞性肺疾患の患者を対象に開発されたデジタル治療アプリであり、個々の患者に最適化された服薬リマインドや症状コントロールの提言を行っています。
ここからはアメリカでなぜDtxが浸透するのか、その背景について紹介します。アメリカでは患者が治療を受けようとすると高額な医療費を払わなければなりません。そのため、日本以上に予防・未防の意識が根付いています。それに加えて先ほども紹介した通り、Dtx専用の承認プロセスが存在しており、より短い期間でスムーズに審査が行われます。また政府によるガイドラインがあることにより、制度も整備されていることが伺われます。
イギリスの様子
イギリスでは国立医療技術評価機構(NICE)がより多くの情報に基づいてエビデンスを有効性と経済的インパクトの両面から定義づけを行っています。さらにそのガイドラインを細分化して医療技術の評価基準を確立する取り組みを行っています。
ドイツの様子
ドイツでは治療用アプリの従来に比べ簡易で迅速な手続きを可能にする制度であるFast Track制度を採用しています。登録要件を満たすことができれば、申請から3ヶ月以内に処方可能な治療用アプリとして国のデータベースに登録され、保険も適用されます。
日本の様子
日本でもDtxは盛んになりつつあります。実際に、市場規模は成長しています。社会保障費や、少子高齢化の問題もあり、今後需要はますます増えていくと考えられます。
しかし現時点ではアメリカや欧州に比べると普及していないません。
ガイドラインが整備されていない
その要因として日本の承認ガイドラインはデジタル医療の製品を従来の医療機器と同様の審査基準を設けていることが挙げられそうです。
一方、効率的な承認システムの導入に日本も取り組んでいます。向上的な性能が変化し改良が見込まれる医療機器についての承認事項の一部の変更を認めるIDATEN制度を取り入れています。
IDATE制度とは、AIを活用したソフトウェア医療機器等、製造販売承認取得後に性能向上等が予定されている医療機器等に対し、性能の変更(アップデートなど)に関する事前承認システムです。独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)が事前に承認することで、申請するだけで完結し、費用などは発生しません。
従来の方法はその都度申請する必要があり、審査機関や費用が掛かっていました。
政府による取り組み以外にもDtxの普及を目指す取り組みを行う団体があります。デジタルヘルス・アライアンスはそのうちの一つです。これは国内デジタル治療開発推進企業7社によって設立されたものです。
今後日本でも普及するためにはいくつかの壁を乗り越えなければならないように感じます。その中でもアメリカと大きく異なるガイドラインや承認プロセスの在り方を見直すべきです。具体的には承認にかかる時間や手間を省くための修正や、わかりやすい制度制定が求められます。また、国内においての認知度自体も現時点では高くありません。医療費の負担額が安くなったり、新しい治療法が見つかったりと患者にとってのメリットは計り知れないものなのでこの辺りの周知も重要になるでしょう。
日本のDtxスタートアップ企業
日本でもDtxを扱うベンチャー企業があります。
株式会社CureApp
一つ目は、CureApp社によるCureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカーです。これは世界でも初めてのニコチン依存症治療アプリであり、保険適用で医師によるアプリの処方が行われています。
株式会社リモハブ
次に、株式会社リモハブが提供するRemohabというサービスです。同社が手がけているサービスは世界の死亡原因1位である心疾患の遠隔医療をサポートしています。またウェアラブル心電計を装着すれば万一の不整脈の発生時でも遠隔で対応することが可能です。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回の記事ではデジタルセラピューティクスと、それを手掛けるベンチャー企業について紹介しました。医療業界はコロナウイルスの蔓延による医療崩壊や少子高齢化による労働人口の減少などの問題と直面しており、医療のあり方は見直さなければならない段階に近づいていると言えるでしょう。その際には今回取り上げたDtxは一つの有効な解決策になりうるのではないでしょうか。今後ともDtxから目を離すことはできなさそうです!
最後に。。。
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