【大手は本当に変化がない?】日本の業界トップ企業の成長率を調べてみた
"生々しいリアルなビジネス情報を覗く"『ぷりべん!』編集部です。
今回取り扱うリアルは「企業の成長率」です。
よく聞くところで、「大手企業は企業自体が成長していないから、成長したいならベンチャー企業に入るのがいい」という言い伝えがあります。今回の記事では、それが本当なのかを、大企業の成長率を見ることで明らかにしていきます。
成長したいけどいきなりベンチャーは怖いかも、、と感じている方は、是非最後までお読み頂けると嬉しいです!
1.今回の大手企業の定義
今回の議題を考えていくうえで、まず大事になってくるのは、大企業の定義かと思います。皆さんはどんな会社が大企業に分類されると思いますか?売り上げが〇億円を超えている、社員数が何人以上、上場しているかどうか、、、等いろいろあると思います。
実際には「大企業」を表す定義はありません。ただし、中小企業を表す定義は存在するため、大企業を「中小企業の定義を超える規模の企業」と捉えることができます。
では、中小企業とはどのような企業を指すのでしょうか?中小企業は、中小企業法が資本金、従業員規模、業種の三点によって定義しています。
『中小企業・小規模企業者の定義』中小企業庁より引用
上記の基準を超える規模の企業を「大企業」と定義して話を進めていきたいと思いますます。また、今回はそれに加えて業界シェアかつ、東証一部上場という観点も定義に含みたいと思います。
2.今注目の5業界とそれぞれのTOP3
それでは、本題にはいっていきたと思います。まずは、筆者の独断と偏見で選んだ「今伸びていて面白い」業界を5つと、その業界のTOP3企業について見ていきましょう。
(1)IT業界
今の世の中で「IT」「DX」といった言葉を、一度も聞いたことがないという人はごく少数だと思います。ここ数年で勢いが一番強いといっても過言ではない業界でしょう。
過去推移を見ると、2013年以降、業界売上高は年々上昇しており、経済産業省の特定サービス産業動態統計調査によると、2020年のインターネット附随サービスの売上高は1兆9,256億円でした。これは、前年比+10.1%の大幅増加となっています。
出典:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成
この業界のTOP3企業は、下記の3企業となっています。
1位 株式会社楽天グループ
・従業員数:2.6万人
・売上高:1兆4555億円
2位 Zホールディングス株式会社
・従業員数:5500人
・売上高:1兆2058億円
3位 株式会社リクルートホールディングス
・従業員数:4.6万人
・売上高:1兆844億円
※人数は2020年、売上は2020-2021
この3社の2020年の業績は、楽天が前年比14.8%増、リクルートが12.6%増、Zホールディングスは10.3%増と、3社そろって増収となっております。コロナの影響を受けつつも、上場企業の平均と言われる成長率4%を大幅に上回る成長率を誇っています。
(2)ネット広告業界
続いて、こちらもhotな業界であるネット広告業界を見ていきましょう。この業界の推移も2013年から現在に至るまで増加傾向にあります。
経済産業省によると、2020年のネット広告費は前年比31.9%増の1兆1,008億円、前年に比べて2,664億円の増加となりました。ネット広告においては調査開始以降、15年連続で増加を記録しています。
出典:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成
ほかの主要マスメディア4媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)は年々減少にあるなか、ネット広告は拡大し続け、業界を牽引しています。この業界のTOP3は、下記の企業となっています。
1位 株式会社サイバーエージェント
・従業員数:1587人
・売上高:2514億円
2位 株式会社デジタルホールディングス
・従業員数:1500人
・売上高:827億円
3位 株式会社アドウェイズ
・従業員数:760人
・売上高:417億円
この3社の2020年の業績は、サイバーエージェントが前期比8.6%増の2,481億円、アドウェイズは10.6%減の330億円でした。また、デジタルHDはTOP3にランクインしていませんでしたが、この1年で2位、3位に上がってきています。凄まじい成長率ですね。。
(3)玩具業界
3つ目は、コロナによる「巣ごもり需要」を最強の追い風にした玩具業界です。経済産業省の生産動態統計によると、2020年の玩具販売金額は前年比24.2%増の657億5千万円でした。
出典:経済産業省、グラフは業界動向サーチが作成
ここ数年、横ばいが続いていましたが、任天堂による「ニンテンドースイッチ」や、ソニーの「PlayStation5」による新作発表に加え、コロナウィルスによる影響が完全にプラスに出た業界の代表と言えるでしょう。
前年から大幅な増加で600億円を突破し、10年連続のプラスで推移しています。このいま、一番伸びているゲーム業界(玩具業界)のTOP3は下の3企業です。ソニーは音楽領域でも売上を伸ばしているため、他社に約2倍の差をつけた圧倒的首位を獲得しています。
1位 ソニーグループ株式会社
・従業員数:2688人
・売上高:2兆6047億円
2位 任天堂株式会社
・従業員数:2395人
・売上高:1兆7589億円
3位 株式会社バンダイナムコホールディングス
・従業員数:1.8万人
・売上高:7409億円
(4)アパレル業界
次は、コロナウィルスによってマイナスの影響が大きかったといわれているアパレル業界を見てきましょう。
出典:総務省統計局「家計調査」、グラフは業界動向サーチが作成
この資料からわかる通り、ファッションにかけるお金というのは、ここ10数年でずっとマイナス傾向にあります。また、コロナの巣ごもり需要が逆風になり、さらなる低下も見込まれています。
1位 株式会社ファーストリテイリング
・従業員数:5.7万人
・売上高:2兆2905億円
2位 株式会社しまむら
・従業員数:1.7万人
・売上高:5219億円
3位 株式会社オンワードホールディングス
・従業員数:3821人
・売上高:2482億円
2019年の上位アパレル企業3社の業績を見ていくと、売上高前年比はファーストリテイリングが7.5%増、しまむらが4.4%減、オンワードHDが3.2%増となっています。主要アパレル企業55社の中、27社が増収および横ばい、28社が減収を記録しました。
業界としてはマイナス傾向ですが、苦しい状況でも成長する企業はあり、ファーストリテイリングのように上場企業平均以上での成長率を記録する企業も存在します。
(5)リサイクル業界
近年、フリマアプリやネットオークションが浸透し、より身近なものとなったリサイクル業界。しかし、リサイクル市場は新たな業態参入により業界規模が拡大する一方、激しい競争下にあります。
なかでも、店頭取引を主流とした企業は、フリマアプリやネットオークション勢に押され、厳しい状況が続いています。
業界動向サーチより引用
業界全体として、2007年から19年まで緩やかな増加傾向にあることが上図より分かります。そんなリサイクル業界TOP3は、下記3企業です。
1位 株式会社ゲオホールディングス
・従業員数:5500人
・売上高:1兆307億円
2位 株式会社メルカリ
・従業員数:1090人
・売上高:1兆61億円
3位 ブックオフコーポレーション株式会社
・従業員数:1.1万人
・売上高:935億円
2019年から20年のリサイクル業界上位3社の業績は、ゲオHD(リユース事業)が前年比14.7%増の1,223億円、ブックオフが同4.5%増の843億円、メルカリが47.7%増の762億円となっています。主要リサイクル会社23社中17社が、対前年比で増加を記録しています。
先日一兆円企業になったメルカリも含め、かなり高い成長率の企業が多く、大企業でも大きく成長している業界と言えます。
3.今キテいる大企業をピックアップ!
ここまで、各業界のTOP3を見てきましたが、ここからは筆者が独断と偏見で選んだ各業界の今キテいる企業を見てきたいと思います!
(1)エムスリー株式会社
・売上:1691億円(2020-2021)
・従業員数:約7000名(連結)
インターネット業界で、いま最も注目すべき企業の1つです!非常に事業規模が大きな企業ではありますが、名前を聞いたことがある人が少ない印象です。エムスリーは国内の医師の90%が登録する医者や薬剤師向けの医療ポータルサイト「m3.com」を運営している会社です。
他にも治験支援サービスや医師・薬剤師の求人支援サービスなどを展開しています。コロナの影響もあり、サイトへのアクセスは伸びています。
売上、利益ともに増収増益で事業面だけで見ると、前年比60%超の伸びを見せています。株価は2019年頃まで2,000円台にありましたが、新型コロナウィルスを追い風に、今では4倍以上の9,000円台を推移しております。(※2020年11月)
競合他社としてはメドピアや日経メディカルが挙げられますが、登録医師はエムスリーが圧倒的で、二倍以上の差が開いています。この圧倒的なプラットフォーム力により、エムスリーは上述したその他のサービス展開が可能になっています。
また今注目を集めている遠隔医療としての分野でどのような動向を見せていくのかが注目されます。米Forbesの「世界で最も革新的な成長企業」でも5位に選抜されているといった、世界からも注目されている企業となっています。
(2)株式会社カプコン
・売上:953億円(2020-2021)
・従業員数:約2700名
玩具業界で筆者が注目している企業です。2021年3月期第1四半期の連結業績は、前年同期比で売上高32.2%増、営業利益39.1%増と増収増益となっています。
カプコンはデジタルコンテンツ事業とアミューズメント事業、その他事業の3つの事業を行っています。ゲーム開発・販売を行うデジタルコンテンツ事業がカプコンの主力事業ですあり、「モスターハンター」「バイオハザード」などが主力商品です。
アミューズメント事業では、 カプコンが直営するアミューズメント施設を日本全国で展開していて、ゲームセンターのメダルゲームやパチンコなどの機種も開発製造販売をしています。
その他事業としては、ライセンス・映像とeスポーツの展開などがあります。国内のゲームコンテンツ市場、クラウドゲーム市場共に増加し続けていますが、やはり競合他社はたくさんいます。しかし、コロナにより巣ごもり需要が増えた中で、長年愛され続けたヒット商品が再び脚光を浴び、上に書いたような増収増益が起きたと考えられます。
(3)株式会社ワークマン
・売上:990億円(2021年3月期)
・従業員数:約330名
アパレル業界で直近最も成長している上場企業はワークマンと言っても過言ではないでしょう。上述の売上高は前期比7.3%増であり、営業利益は14.0%増の218億円、純利益は16.2%増の155億円となっています。
これにより、10期連続での最高益更新が見通しされています。第二章での説明では、アパレル業界は年々売り上げが下がり続け、コロナの影響がネガティブに出た業界でした。その中で、ワークマンは大躍進を遂げています。
なぜここまで伸び続けているのでしょうか?きっかけは2018年9月に始まった「ワークマンプラス」という一般向けのアウトドア商品も扱う新業態による影響が大きいと言われています。
元々はプロ向けの作業服が中心でしたが、この新業態に変わったことにより、緊急事態宣言が発令された4月もプラスを維持し、5月は19.4%、6月は37.2%増と驚異的な伸びを記録してきました。これは圧倒的シェアを誇っていた作業服業界から飛び出してきて、新たな業界で勝負をするといった向上心により生まれた増収と言って間違いないです。
(4)シュッピン株式会社
・売上:339億円
・従業員数:約200名
リサイクル業界で筆者が注目している企業はシュッピンです。
シュッピンはカメラや時計などの新品・中古品の販売をしている会社です。シュッピンは趣味性の高い商品を専門的に扱っており、他社にない価値を提供しているので、今伸びてきているリサイクル業界でこの会社をピックアウトしました。
今の世の中、生活必需品などは価格競争の激化により、昔よりかなり安い値段で買いそろえることができます。そんな時代に人々がお金をかけていくのが趣味・嗜好品です。そのため、シュッピンの「カメラ・時計・筆記具・ロードバイク」に特化している事業形態が、これから流れが来そうな事業形態にマッチしており、注目株として挙げました。
まとめ
非常に長い読み物でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。今回の記事で、「大手=成長していない」というある種のステレオタイプは払拭できたのかなと感じています。
どの業界にも伸びしろはまだまだあるし、新しいことをやろうとしている大企業もたくさんあるので、もし気になった方はこの記事をきっかけにぜひ自分で調べてみてもらえると嬉しいです!
成長している企業に入りたいなら、大きな企業という選択肢もあるということを、この記事から感じていただけたら幸いです。
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今回は大企業向けでしたが、いくつかメガベンチャーも登場していました。あなたがメガベンチャーに転職する際、どのような志向性の企業に行くべきかを知ることができます!今回の記事に登場した企業に適性があるか調べてみませんか?
参考記事