摂食障害①
始まりはダイエットだった。
中3の夏、部活引退をきっかけに運動不足解消とダイエットを試みた。
身長155cmにして当時の体重は50kg。目標は46kgだった。
今考えると決して重くはないのだが、思春期真っ最中の私にとって、50kgを超える体重というのは恥ずかしくてたまらなかった。48kgの美容体重よりも痩せたいと漠然と思い、科学的根拠も明確な理由も無しに、46kgを目標に設定した。
設定したのは体重だけではない。
足首やふくらはぎ、太もも、腰周り、二の腕それぞれの太さを計算し、目標を設定した。
今日の体重は○○kg、足首○○cm、太もも○○cm、ウエスト○○cm、二の腕○○cm
記録をつけるのが日課となりつつあった。
健康的に痩せよう
まずは運動で痩せることを決めた。
インターネットで調べたり、母のダイエット本を参考にして、様々なことに取り組んだ。
腹筋×30回を1日3セット
エア縄跳び×5分を1日3セット
腕立て×10回を1日3セット
脚パカソーラン節etr……書き足りないくらい色々なことにがむしゃらに取り組んだ。
早く効果が出て欲しくて、毎日のように体重計に乗って、毎日のように体の太さを測って、毎日鏡で自分の体を確認した。
でもそう簡単に痩せることは無かった。
醜い私。
隙間のない太ももと太ももの間。
浮腫みまくった足首。
ぷるぷる震える二の腕。
二重あご寸前、脂肪のつきまくった丸い顔。
つまめるほどのお腹。
全てが嫌だった。醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い醜い太っている太っている太っている太っている太っている太っている太っている太っている可愛くない可愛くない可愛くない可愛くない可愛くない可愛くない可愛くない可愛くない可愛くない可愛くない可愛くない死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい
鏡を見る度に苦しくなった。
早く綺麗になりたい。ゆっくり効果を待つなんてできない。こんなに醜いなんて耐えられない。外を歩くのが恥ずかしい。
健康的に痩せたかったから、食事制限には極力手を出したくなかった。そこで私はふと思った。
あ、おやつを減らせばいいじゃん
おやつは嗜好品であって、栄養価が高い訳では無い。食べなくても不健康にはならないし、むしろ食べる方が不健康とも言える。そう考え、その日からおやつの量を制限するようになった。
早く痩せたかった理由の1つに“ 推し”の存在があった。
新型コロナウイルスの流行により延期となった握手会が、振替としてお話会という名目となって開催されることになったのだ。幸せと笑顔を与えてくれた大好きで大切な推しに会うことができる。人生で1番可愛い姿で愛と感謝を伝えたかった。
そのために、なんとしても痩せる必要があった。
お話会までの約2ヶ月間、おやつを制限しながら必死になって運動ダイエットに取り組んだ。
結果として、2ヶ月で1~2kgの減量に成功した。