DeepL翻訳 と みらい翻訳
DeepL ProはまさにSaaSの成功モデルに思える。高性能あるいは高精度と言われ話題だった翻訳サービス、DeepLの有料プランであるDeepL Proが日本でも今週解禁にになってTwitterでも話題に弾みがついていた。
DeepLとは
DeepLはドイツのAIテクノロジー企業で、同社が翻訳サービスのことだ。翻訳対応言語は2020年6月時点で日本語、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、オランダ語、ポーランド語、ロシア語、中国語となっている。
彼らのリリースによれば、ブラインドテストによってGoogle、Amazon,Micorosoftが提供する翻訳サービスの出力結果と比較して、訳文の評価が圧倒的に高いと豪語している。
筆者もDeepLが当初話題になったころから便利に使っているが、ふと思い出したサービスが「みらい翻訳」だ。
みらい翻訳とは
みらい翻訳は株式会社ドコモが50.9%、NTTコミュニケーションズ株式会社:22.1%の株式を保有する「株式会社みらい翻訳」が提供しているTOEIC960点レベルと標榜しているの機械翻訳サービスMirai Translatorのことだ。
ビジネスモデルとして企業向けしか設定されていないが、お試し翻訳サービスが公開されておりこれが以前精度が高い、ということで話題になっていたように思う。
企業向けしか想定しないにしても、いまどきのSaaSとして機能しているDeepLと比べると、そのイノベーティブさはウェブ上には生かされてないように感じる。
DeepLとみらい翻訳のトレンド調査
ここでDeepLとみらい翻訳の検索トレンドを、Googleトレンドによって調べてみた。結果は以下の様に歴然の差が出ていた。
過去12ヵ月のグラフにおいて、昨年6月時点から今に至るまではみらい翻訳は比較的一定のボリュームにあるようだ。DeepLは昨年時点、というより今年3月になるまでは日本国内での検索人気は無かったようだ。しかしその3月から怒涛の勢いだ。少し上回ったなどというものではなく、それはもう圧倒的な形でその存在感を示している。
DeepLとみらい翻訳のAhrefs調査
具体的にはどの程度検索からの流入に差があるのかも調査した。2020年6月時点では以下のようになっている。
なおDeepLは国内ディレクトリについてだ。これによれば「みらい翻訳」についても月間で約20万の流入があるので、BtoBのサイトであるということを考えれば通常ではなかなか到達できない流入がある。対するDeepLは月間やく40万の流入。およそ倍の数字だ。しかもトレンドはまだ伸びを見せているし、そもそも2020年3月からスタートした数字がこれであるので、その瞬発力は圧倒的だといえる。
両サイトともに最も流入を生んでいるキーワードは「翻訳」である。検索ボリュームは月間でおよそ14,990,000のこのキーワード、DeepLがいま4位、みらい翻訳は7位のようだ。
キーワードのバリエーションでも対応言語の部分などを含めて、DeepLのほうが多い。しかし実際には「翻訳、ほんやく、honnyaku、英語 翻訳」などのいわゆるトランザクショナルなキーワードばかりである。筆者としては翻訳が気軽にできることによって広がる楽しみ方などを打ち出せる幅がまだあるのではと感じた。
翻訳ニーズの周辺
PC版のNetfilixで英語学習をしたいというニーズが多いせいか話題になるサービスの一つにChrome拡張機能のLLNというのがある。
これはNetfilixは通常、選択した言語の字幕しかでないが(当たり前だ) 、この拡張機能を使うと例えば英語字幕と日本語字幕を同時に表示することができる。さらには単語ごとの意味も即座に調べられる優れものだ。
これは別に翻訳をしたいニーズではない、英語学習をしたい等と思うニーズとどうせなら楽しみながらといった気持ち、翻訳をするにしてもプロが翻訳したものを見ることができるなどいろいろなメリットがある、ということで人気を博している。
インターネットは当然、日本語以外の言語で作成されたページのほうが多い。インターネット上の主要言語トップ10とその他、という表において上から3つは英語は25.9%、中国語は19.4%、スペイン語が7.9%となっており、そこから大きく下って日本語は全体に対してわずか2.6%である。
我々が(少なくとも日本語で)見ていないコンテンツがまだ無数にある、それらを見たい、知りたいニーズはあるかもしれないが別に翻訳をしてまでみようというのは少数だろう。だからこそ翻訳したサービスが色々成り立っているのもあるだろうが、そろそろテクノロジーによってその辺のアクセス容易性が高まってもいいのかもしれない。
翻訳といえばのあの2サイト
最後に「翻訳」のキーワードで1位、2位であるところを確認しておこう。1位はGoogle翻訳、流入は月間約125万、2位は往年のエキサイト翻訳で月間約62万件のようだ。エキサイト翻訳の赴きある翻訳はいまだ健在なのだろうか?それともすっかり賢いのだろうか?なんとなく昔の思い出のままの精度であってほしいと望んでしまうなと思ったところで今回は終わりとする。
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