意外とやっていませんか?今までの指導は間違っていた!?「考えさせるスタンス」では人は育たないケース3選!
今までの経験で、マネージャーが考えさせるばかりで、”マネージャーが考える答え”をなかなか言ってくれなくて困ったという状況に直面した経験はありませんか?
メンバーの成長を考える時によくあるマネージャーのスタンスとして、「考えさせて自分で答えにたどり着かせること大事なので、答えは絶対に教えずに気づかせる。」というものがあります。
勿論、自ら考えトライアンドエラーをし、結論に至るというプロセスは必要ですし、大変重要であることは間違いありません。
一方で、このスタンスを使うことで成長のスピードを阻害したり、モチベーションを劇的に下げてしまうケースも多くあります。この記事では、”考えさせるスタンス”が有効に作用しない3つのパターンをご紹介し、そこからどのような状況であれば有効なのかを考察していきます。
パターン1:考える側のメンバーが考える為の知識経験足りず、自ら実行と改善を自らやっていけるレベルになっていない
考えて自分の答えを出すための引き出しが自分の中にないフェーズで考えさせるのは、ストレスばかりかかり筋の良い方法ではありません。
考えるにあたっての拠り所となる知識などをまずインプットしてあげないことには、筋の良いアイデアは出てきません。0から何かを生み出すことは非常に難しく、戦略系コンサルタントであればそのような環境下でも答えを出すことを求められるかもしれません。しかし、それは本当に一握りの方に当てはまる話で、世の中の多くは適切なインプットや経験無しに考えさせられても、アウトプットを出せません。
こういった話をすると「何も教えないで考えてもらったほうが新しい発想が生まれるかもしれない!」と言う方もいます。でも、このタイミングで本当に新しい発想を求めてますか? ある程度こうした方が良いという最適解があるのであれば、早くインプットしてそれをもとにアクションを取ってもらった方が時間も短縮できますし、学びにつながるともいます。このフェーズで考えさせても時間がかかるだけですし、インプットしたからと言って考えられない人になるわけでは決してないです。むしろ、インプットし経験を経ることで、その経験を元に自分のアイデアを発想できるようになると思います。
一方、上記に近い懸念点として「インプットをもらう癖がついて考えなくなる」ということがあげられます。この点に関しては、メンバーの成長のフェーズによって、アプローチを変え習慣を変えてもらうことはできます。メンバーのフェーズが上がりある程度インプットなくても考えられるようになった時に、問いかけの方法を変えていけば良いのです。例えば、通常インプットをしていたケースであえて「前にやった経験からどうするのがベストだと思う?」と聞くことで、聞かれた側も考える材料をもとに自分の答えを導き出せるようになります。
パターン2:お願いする仕事で”正解”のアクションがある程度見えている場合
すでに何度も実施している業務で、ある意味”正解”だと思えるアクションがあった場合、あえて若手に考えさせるスタンスをとるとデメリットが大きいです。正解を教えずに気づかせることは大事ですが、ある意味正解があるのであれば、正解を出すために考えさせることに時間を投下するのではなく、一度正解だと思うことをやってもらったうえで、もっと良いやり方がないか考えてもらったほうが時間的な生産性が高まります。
考えさせられる方も、正解がありそうなのは薄々感づいているので、その正解を当てに行くというアプローチになり、決して期待していたレベルの思考にはなりません。
ある程度の正解がある仕事に対しては、わざわざ時間をかけて考えさせ、正解にたどり着くまでの経験をさせるよりも、正解を提示してその正解をより良くできないか?というアプローチでコミュニケーションしたほうが仕事も早く進みますし、建設的な議論ができるようになると思います。
パターン3:アウトプットの期限が短く、試行錯誤に対してかける時間が長くない
プロジェクトやその他期限のある仕事がほとんどだと思います。膨大な時間をかけたとしても、自ら結論を出す素地があり「自ら考えて結論に至る」という経験自体が大事なパターンであれば、考えさせるスタンスは有効に作用します。具体期な例をあげると、期間が1年ある工場の生産性改善プロジェクトにおいては、自ら施策を考え何度かトライアンドエラーをしながら生産性を向上させていくということが可能です。成果測定まで1年という時間があるので、トライアンドエラーを何周かすることが可能ですし、生産の責任者や若手の考える力を養うという趣旨であれば焦りもなく積極的にトライし、チャレンジの過程から学ぶことができると思います。
しかし、アウトプットまでの期限が短い場合はトライアンドエラーの回数を回すことができず、考えた結果の初手で筋の悪い案だった場合、リカバリーがきかなくなってしまいます。そして、納期が迫ってくると焦りの気持ちが積み重なってしまい、筋の悪い案をやり続けるといった悪循環にもなりかねません。なので、アウトプットの期限に余裕がない場合は考えることを優先させるよりも、筋の良い案を出すために一緒にブレストをして方向性を一緒に決めるといったアプローチが良いと思います。
この3つのポイントから言えるととして、メンバーの成長に向けて「考えさせるスタンスを取るかどうか?」の判断の軸としては
メンバーの前提知識・経験 X 成長のスピード X 与えたい学習の深さ
の3つの軸があると思います。
考えさせることで自ら答えを出しつつ、トライアンドエラーをすることで深い学習効果を得られることは確かです。しかし、そのトライアンドエラーをするためには、前提となる知識と経験が必要になります。また、トライアンドエラーを許容するということは、成長のスピードに関しては何度かアクションをして経験を蓄積していかないといけないので時間がかかります。もし、前提の知識・経験がない場合は時間だけかかって、深い学習の成果が得られずに、メンバーにとっても大きなストレスが貯まることが起こり得てしまいます。
メンバーが20代であれば、やっている仕事も答えが出しやすいものが比較的多いと思いますので、あえて考えさせるよりもヒントやときには答えを教えながらそれをなぞってもらうほうが必要な経験を積め、スピード感をもって仕事をある程度までに伸ばすことができると思います。そのほうが本人にとっても成長実感があると思います。
武道や茶道では「守・破・離」という考え方があります。
・流派や師匠の教えを”守”るフェーズ
・他流派や他の師匠の教えも取り入れ良いものに昇華(”破”)するフェーズ
・自ら新しいもの(流派)を作ってもとの流派から”離”れるフェーズ
この流れに乗っ取ると、守のフェーズではしっかりと教えて関与すべきです。自分で何が良いか考えられる破のフェーズで考えさせるのがベストで、そこでは逆に教えすぎることもよくありません。
マネージャーはメンバーの居る”フェーズ”を正確に見極めて、適切に導いてあげる必要があると思います。
いかがだったでしょうか?
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