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【全て蟹になる】プロダクトの模倣(パクリ)について考える


プロダクト開発のさまざまなお話の中には、パクリ/パクられ論争というキーワードがあると思います。

前の職場でも、作ったサービスのUIと極めて似ているUIのサービスが後発で出てきて、しかもその会社が展示会で隣り合わせになったこともあります笑

なんかお互いを睨み合いながらの展示会。
気まずい也

そんなパクリ/パクられ論争について、私なりの考察を以下に述べてみたいと思います。

前提:(勝手に)パクってはならないもの

議論を簡略化するために、まずは前提の整理として、
「いや、それはパクっちゃダメでしょ」の領域に触れたいと思います。
まず想起されるのは、著作権、翻案権などに代表される法律として定められている領域でしょう。言わずもがな。

あと、プロダクト開発やPMとして間接視野に常に入れておきたいのは、特許や商標に代表されるライセンス部分になると思います。

こういった、正しい手順を踏んでパクられることを予防している事象、もしくはそうした権利を利用することで利益享受できる事象については今回論じません。

本題:パクリ=収斂進化と視る

簡単ですが議論領域のセッティングができたところで、本題です。

突然ですが、カニ化(carcinization|カーシニゼーション)という言葉をご存知でしょうか。

詳しくはWiki見てほしいです笑


専門的なことはともかく


要するに、蟹化というものは、進化はどんどん多様化していくのが主流にも関わらず、もともとカニの祖先とかけ離れた別の甲殻類が、時間が経つにつれカニのような見た目に近づいていくということです。
それらを収斂進化といい、形態のバリエーションが徐々にとある点に落ち着いていくという流れの進化というわけです。

なぜそうした事象が起きているのかは専門的な部分になりますが、

置かれた環境で生き残るための最適解としての形態を自然選択した

という部分に関しては、プロダクトを取り巻くビジネスという生態系でも同様のことが観測できないか?とふと思ったのがこの記事にカニを混ぜ込んだ理由です。

言い換えると、他社とプロダクトが似ているその理由の一つとして、

この市場においての最適解として自然選択される形態の一つだった。

と言えるのではないでしょうか。

具体的な例で言うと、リール動画のUIとかはどうでしょうか?
短い動画を、縦スクロールの通常動画のサムネイルの間にカルーセル(じゃないやつもあるけど)として差し込むUIは、インスタグラムとかで最初見た気がしますが、今となっては以下のようなさまざまなアプリに観察されると言えます。

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多くの記事や、人間中心設計、HCI(Human-Computer Interaction)領域で論じれらているように、インターフェースとしてのUIをどう存在感を無くして、実際に達成したいタスクそのものへ人間を接続させることができるのか。
と言う点で見ても、進化の方向性は発散的に散っていくだけではなく、徐々に収斂していくだろうと私自身は考えております。

私個人の経験、意見でも同意です。

個人的にはパクられた!って感覚よりも、
「もしかしたら、この流れで良いのかな」って感覚の方が近しいです。

民主化、普遍化、元の鞘に戻った、、、、

パクリの限界点

じゃあ、パクリに関して安易に肯定できるのかどうかという点をば。

仮に全く同じプロダクトが後発からパクられたらどうするのでしょうか。

パクられる!となった部分を消去法的に削っていき、最終的に浮き上がるのが、きっとパクリの限界点(限界の輪郭線)となると考えた私は、今の担当プロダクトを実際にパクられたとしていくつか整理してみました。

①運用・プライシング・営業領域含めたビジネスモデル

プロダクトは全く同じでも、売り方や値段設定で市場から全く異なる評価になると思います。そうしたプロダクト周辺領域については完全に模倣することは難しいでしょう。

②蓄積されたデータ

UIが全く同じでも、私たちが今まで長年蓄積してきたプロダクト内の利用データに関してはパクれません。(それは盗用になる)
つまり、現時点では同じUIになったとしても、次に提供すべき価値がなんなのかの意思決定のための定量的な素材には差異があると言うことです。

③作っている人間(やっぱり一番大事)

①も②も、結局そのプロダクトを作っている会社のメンバーみんなが意思決定や遂行をした上で表層化された事象です。
月並みな結論ですが人間が一番模倣難易度が高いのではないでしょうか。
あとはエモややる気とかの問題も(ここは論じない)

仮に同じポケモンのバシャーモLv.100を持っていても、技が同じでも、他のポケモンを繰り出す順番(①)や相手の癖(②)を理解していれば、トレーナーの力量(③)によって全然異なる結果になると言う意味合いです。

※ちなみになぜバシャーモかというと、小学生の時にAくんに勝手に通信交換でスバメ(Lv.12)と交換されてパクられたからです。


まとめ


パクられること自体は、私たちがターゲットとしているビジネス環境の一種の最適解に近づいた可能性を示唆するものである。
肯定すべきかどうかは、そのプロダクト以外の私たちが有する資産が、果たして他社に対して優位になるのかどうかによって変化する。

蟹で言うと、旨味とかでしょうか?

読んでいただきありがとうございます!!

近しい記事/併せて参考にもさせていただきました。

(↑勉強中のやつ)

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