俳句のいさらゐ ∮⦿∮ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十二。「松島や鶴に身をかれほととぎす」(曽良)
この俳句の「ほととぎす」の受け止め方には、異なる次の解釈が出来る。
一。 聞き止めたその声の美しさに旅の愁いを慰められて、松島の広さに行き渉るように、鶴と化して舞い、その声を大景に響かせてくれないものだろうか、という気持ちを詠んだ。土地褒めの意味合いが強い。
二。 「ほととぎす」に、不如帰の当て字を暗に連想させていて、〈帰るに如かず(帰りたい)〉という気持ち — つまり心弱り ( 里心 ) に、一瞬包まれたことをその字にしのばせた。
しかし、まだ旅は続くのだから、そんな心