俳句のいさらゐ ◬👁◬ 松尾芭蕉『奥の細道』その十六。「涼しさを我宿にしてねまる也」
今回は、尾花沢での芭蕉と曽良の俳句を解釈する。
先ず、芭蕉の最初の俳句「涼しさを我宿にして ねまる也」の「涼しさ」は、宿を提供してくれた人物の名、清風に通わせた言辞である。あなたの名のとおりのすがすがしい宿です、と感謝の意をこめた。芭蕉は、人や土地の名を、俳句の中に生かすという意識が大いにあったと言えるだろう。
例を挙げれば芭蕉の『更科紀行』中の俳句に、
「いざよひもまださらしなの郡( こおり )哉」
があり、その「さらしな」は更科の地名に、去らじな ( 未だ去らず )