後藤美月が描く『くまの子ウーフ』ーー大人の読書感想画展#2
第2回目は、鮮やかな色彩と、力強く想像力をかきたてる表現が魅力的な後藤美月さん! 書籍装画や新聞雑誌の挿絵、webイラストレーション、絵本などのお仕事を多数、手掛けられています。
上2点 過去の発表作品
『おなみだぽいぽい』後藤美月・著、2017年、ミシマ社
『空よ!』内田麟太郎・詩 後藤美月・絵、2021年、アリス館
そんな後藤さんが選んだのは、『くまの子ウーフ』(神沢利子/作 井上洋介/絵)。どんな読書感想画になるのでしょうか?
まずは、この本についてご紹介します。
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遊ぶこと、食べること、考えることが大すきな、くまの子ウーフ。
ウーフはある日、朝ごはんの目玉焼きを見て思いました。
「(たまごを)ぽんとわったら、いつもきまったものが出てくるんだ。ぼくなら、なんでもよくまちがえるのにねえ。ちっともまちがえないね。」
たまごからは必ず、たまごが出てくることに感心したウーフ。
そして、たまごは黄みと白みでできている。おさじはステンレス。パンはこむぎこ。そうお父さんに教えてもらうと、得意になってきつねのツネタくんに教えにいきました。
その途中、めんどりさんに会ったウーフは思います。たまごを毎日たくさん産んでくれるめんどりさんの体は、たまごでできているんだ!
さっそくその発見を、ツネタに伝えると……? (「ウーフはおしっこでできてるか??」より。)
そのほか、全9編のお話が入った童話集。
左/童話集2巻目『こんにちはウーフ』
右/童話集3巻目『ウーフとツネタとミミちゃんと』
ウーフのともだち、きつねのツネタとうさぎのミミもいます。
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ひとつひとつの出来事にたいして、なんでだろう? どうしてだろう? と真剣に考えるウーフ。
後藤さんは今回、そんななんで? なんで? と考えるウーフの様子を、ご自身が子どもの頃に読んでいた思い出とともに、描いてくださいました。後藤さんのコメントとともにご紹介します。(絵をクリックすると大きく表示されます。スマホの方は画面を横にするのがオススメです)
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ー後藤美月さんの作品とコメントー
ウーフちゃん。
なんでなんでおもうのなんで?
なんでの気持ちなんて、わたしは知らなかったな。
ああ、ウソだ。思い出した。
ちいさい頃はなんでの気持ち、たくさん知っていたんだった。
知りたいことがたくさんあったはずなのに
知りたい気持ちはどこにいってしまったのかなあ。
それどころか、
泥んこの上の足の裏の感触も、海の浮き輪のにおいも
ちゃんと頭の中にしまってあったはずなのに、
どこかへいってしまったな。いつの間に。
どうかいっしょに探しにいこうよ、ねえウーフちゃん。
かわいいおズボンの中に、たくさん「なんで」を詰め込んでさ、
ああおもたいよう、落っこちないようにつりズボンにしてね。
それからホットケーキをぶつぶつ焼くからね。
なんでって大好きだからだよ。
ウーフのそばには、ツネタとミミも!
なんともいえないウーフのコロンとした体形。
青いつりズボンがトレードマークだけど、赤いチェックもよく似合うね!
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ウーフの前からのシルエットも、横からの丸まった背中も大好きで、選べなかったです……とのことで、両方描いてくださいました。
大人になって児童書を読み返したときの、懐かしいけどほんの少し寂しい気持ち、でもまた出会えてうれしい気持ち……みなさんにも思い当たるエピソードがあるのではないでしょうか。
すてきな作品をありがとうございました!
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★新装版になった「くまの子ウーフの童話集」シリーズ
★オールカラーで読みやすい「くまの子ウーフのおはなし」シリーズ
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