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今月の短歌

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前川佐美雄『秀歌十二月』を起点として、各月の短歌を紹介します。『秀歌十二月』読書会の企画です。
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#伊藤左千夫

長塚節の秋の歌(九月の短歌)

長塚節の秋の歌(九月の短歌)

長塚節について長塚節(一八七九~一九一五)は現在の茨城県生まれ。前月の伊藤左千夫(一八六四~一九一三)より生年は下るが没年は二年違いに留まる。貧寒な農村のなかで長塚家は有力な豪家であった。しかし、父源次郎が政界で活躍するにあたり資産を傾け、母たかと節は心労に苛まれる。学校の成績は優秀だったが脳神経衰弱により尋常中学校を中退する。子規の「歌よみに与ふる書」などに感化された節は、一九〇〇年に上京して子

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伊藤左千夫の水害連作(八月の短歌)

伊藤左千夫の水害連作(八月の短歌)


伊藤左千夫について伊藤左千夫(一八六四~一九一三)は現在の千葉県生まれ。おおよそ明治時代を生きた歌人である。親は農家であり、左千夫自身も二六歳で独立して牛乳搾取販売業をはじめた。一九〇〇年、左千夫三六歳の折に正岡子規門下となって作歌に専念する。左千夫らとともに子規庵で行われた歌会に端を発したのが根岸短歌会であり、子規没後は左千夫が中心となった。一九〇三年には根岸短歌会の機関誌「馬酔木」を創刊し、

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