聞香。
夕方、ニュースを娘とふたり、正座で眺めている。
親子でロボトミーでも施されたかのような阿呆面でボーっと。
アナ「今日、一乗谷朝倉氏遺跡で聞香会が開かれました。聞香、香りを聞くとは手のひらにのせた香炉から立ち昇る様々な繊細な香りを鑑賞する事です。香の異同を当てる【組香】も行われました。ナンタラかんたら。」
すっくと立ち上がった私は、娘の前に立ち、一礼して尻風を吹きかける。
娘、一礼して「いいお手前で。」
私「蘭奢待でございます。」
厳かに聞香ならぬ香門が行われた。
夕刻の静寂のなか、チリンと風鈴が鳴った。