文学フリマ東京35の思い出【希里峰の苗床:無料配信】
こんばんは、おつかれさまです、おはようございます。
虎徹書林専属作家の希里峰です。
虎徹書林のTwitterで広報やったり当日実況したりしたので、ご存知の方もおられるでしょう。
去る2022年11月20日に文学フリマ東京35が開催されました。
虎徹書林は二回目の出店となりました今回のイベント、ざっくりと振り返り今後の反省点も洗い出しつつ、読み物としても多少は楽しいレポートを書いてみたいと思います。
また、文学フリマに行ってみたい!なんなら出店してみたい!と思ってくださる方が増えることを願って、このレポートは号外=無料配信にいたします。面白かったらぜひ、ご家族様・ご友人様にもシェアくださいませ。
2022年11月20日がやってきた……
家族には「あーはい、いつものことね」と受け流されたけれど、私はすこぶる不愉快な気分でその朝を迎えた。
どういう精神構造によるものかはさっぱりわからないのだけれど。遠足や修学旅行、夏休み、冬休み、はじめての海外旅行等々、楽しみが大きければ大きいイベントほど、私は当日になるとスゲーめんどくせーと思ってしまうのだ。
前回、はじめての文学フリマ出店の時もそうだった。
とはいえ、どんなにごねても世の中はスケジュール通りに進行するのだし、それは重々承知している。
ぼやきつつも、顔を洗って、髪をセットして、メイクをした。
こてこてと塗りたくりつつ、普段とは少々違う「なにか」が気になった。
鏡の中にはただ眠いだけではない、死んだ魚のように気力の無い目をした私がいた。
なんだろうなあ、ズル休みしたい感がいつものそれの比じゃねえなあ……と訝しんでいたら、いつもより四日も早く生理がきた。
歳をとる、特に体がおばあちゃんになろうとしている年代になると、周期どおりにならなくなると噂には聞いていたけど。よりにもよって文学フリマに当日の朝に来なくてもいいじゃん!とマジに凹んだ。
在学中に大して仲が良くなかったのに、同窓会の幹事を任されたとかいう薄い理由で、教えた覚えがない現行スマホの番号に掛けてくる女みたいだと思った。
しかも私は前回同様、きものを着ようと思ってるのに。
半衿、toranbonさんの超絶カワイイねこ花柄のを前日に付けておいたのに。
ほんとにメンドクセー!なんて日だ!
腹が立ってくると同時に、頭の中にひとつずつ小石が詰められていくように気分が落ち込んだ。手足が自分のものではないような、あの特有の怠さがやってくるのも時間の問題だった。
いったん、洋服を着た。ゆったりと、動きやすくしておくのがセオリーだと思った。
だがしかし!きものを想定して作り込んだ顔は、洋服の上で笑っちゃうくらいにケバかった。はじめてのデートに気合いを入れ過ぎて下手糞な塗り絵みたいに塗りたくった、メイク初心者のあの日の私でさえここまで魔女々々しくはなかった……はずだ。たぶん。
このピンチをきっかけにして、今回の私はある使命を自らに課していたことをジワジワ思い出していた。
生理を理由に休んでも、サポートを買って出てくれた家族が頑張ってくれると思う。私自身が無様な姿を晒そうと、文フリは恙なく終わるだろう。
だが、しかし。
それでいいのか?
今日という日にベストを尽くさず、いつ尽くすというのか?
私は洋服を脱ぎ、予定通りにきものに袖を通した。翌日からはお疲れ様三連休を設定していたから、イチかバチか、燃え尽き覚悟で賭けに出たのだった。
入場、そしてブース設営
しんどい、もう帰りたい……家を出てからというもの数十秒おきにそう呟きながら、東京流通センター第一展示場に到着した。
スタッフさんの誘導で受付を目指しつつ、横目で開場を待つお客様列の長さビビった。
二会場体勢で開催される今回の文学フリマ、ブースは約1400とのことで、自然と動員規模も大きいだろうとは予想していたけれど、実際に目にした迫力と熱気に私はすっかり怖気づいた。
落ち着き払った家族に助けてもらい、私たちの住所であるJ-03に到着した。
荷解きをしたら、設営はあっという間だった。
体調の急変を考慮していたわけではないのだけれど、シンプルに徹したブース設計を心掛けたのが功を奏した。
独立したお品書きを思い切って省き、その代わりに各作品に情報量もりもりの帯を付けた。
前述の使命……フリーペーパー第二号の全数配布のため、それ用の看板を本よりも目立つように配置した。写真を見る限り狙い通りのブースに仕上がったと思うけども、無料配布コーナーのあおり文はもうちょい字を大きく、目立つ色にした方が良かったなあと思う。反省。
怪奇!フリーペーパー貰ってちょーだいオババ、爆誕
出店のテーマは前回同様「虎徹書林を知っていただく」としていた。ゆくゆくはひとり出版社として法人化したいという夢はあれど、未だ独自店舗も無ければ知名度も地を這う如くである。
文学フリマでひとりでも多くの方に虎徹書林の名を覚えてほしい、文学フリマ以外でもこんな活動してますよ!と知って欲しい、それらを今持てる知恵を絞って、フリーペーパー第二号に詰めたつもりだ。
情報量多めを目指して創ったフリーペーパー第二号は、表紙を目次仕様にした。
文学フリマのお客様には活字で訴えるのが何よりの有効打ではないだろうか?……とは、私の趣味嗜好から引っ張り出した仮説だ。けれど、中らずと雖も遠からずだったような気がしている。ブースに足を止めてくださる方々は、皆様熱心に文字情報を拾ってくださっている様子だった。
このフリぺ、実は表紙には書いていない、裏特集ページがある。中綴じの特性、パッと開きやすいど真ん中の見開きページに、ぴょろりんちょさんのクラファン応援広告を入れたのだ!
総ページ数14ページ(表紙抜き)、読み物としての楽しさを第一に構成した。なにより「未だ出逢ってないお客様に知っていただきたいこと」を詰めに詰めた。そこにぴょろりんちょさんの応援記事も盛り込んだのだ。
こいつは、なんとしても、用意した50部全てをお届けせねばと思った。
新刊も既刊も、値札も大きく盛り盛りに並べたけれど、その実、一冊でも売れたら感謝感激!というモチベーションだった。
焦って押し売りは本意ではない。希里峰ぽんぱの作風を嗅ぎ分ける「怖い話、とりわけ厭な話が好きなの……」という生粋の、奇特な怖い話好きな方に心を込めてお届けしたい。これは虎徹書林を立ち上げた時から掲げている、いわば企業理念である。
そんなこんなで、新刊をブースのど真ん中に据えているにも関わらず、新刊そっちのけでフリーペーパーを真っ先におススメするという、なりふり構わぬ売り子オババが爆誕してしまったのだった。え、本を売ってるんじゃないの?と疑問符雨霰だった皆様、大変にお騒がせいたしましたあああ。
そして、今回もまた多くの菩薩様が……
朝、死んだ魚のような目をしていた私は、ゲートがopenしてから一時間もしないうちに、死んだ魚そのものになろうとしていた。
一生懸命、通路を行き交う御客様方にご挨拶してたんだけどね……開幕すぐは皆様、第一お目当てブースに急がれるのでね。
そのうち、一回目の休憩の時間になった。
雨が降りそうな気配いっぱいの、11月の寒空の下で麦茶を飲みながら震えていると、お店番からショートメールが。
なんと飲み仲間でもある地元のお友達が、遊びにきたという!
ホルモンバランスの不良から頭の回転数が上がらず、まったく気の利いたおもてなしもできなかったよね……ほんとにスマン。けれども、この訪問が前半戦の大きな推進剤になった。サッカーのワールドカップに準えるのは安直かもしれないけれど、やはりホームの仲間の応援というのは理屈抜きにマジでビッグなパワーになるのだ!
新刊を買ってくれた後、迷子のお連れさんを探しに、お友達は華麗に雑踏の中に消えていった。
カッコよい背中を見送ったらフリーペーパーの配布に気合いが入り、それに連れるように作品もぼちぼちと売れ始める。ほんとに、なんということ……ブースを訪れるお客様に加え、TwitterやInstagramでの実況報告にも応援してくださる遠方の方々も、ヘロヘロな私の背中を押してくれたのだった。もうね、みんな菩薩様ですッッ!
奇跡の瞬間は文字通り「皆様のおかげ」で訪れる
じっくりと各作品の帯に目を通してくださる方。
存分に立ち読みしてくださる方。
そのまま立ち去ってしまわれたとしても、十二分にありがたかった。
何故なら、それも「知っていただく」ための第一歩なのだから。
フリーペーパーを受け取っていただくためにたくさんの方々に御声掛けしたが、その延長で作品に興味を持っていただけたケースは多かったかもしれない。
無我夢中でお話をして、釣り銭を間違えたり作品のお渡しを忘れたりといったアクシデントもあったけれど(気付けて良かった。ご迷惑おかけしたお客様、これに懲りずまた遊びに来てくださいますように)、リピートで遊びに来てくださった方や電子書籍を読んでの感想をお届けくださった方もいらっしゃって、正直なところ少年漫画の主人公にでもなったように胸が熱くなった。
そして!
15:08に『猫又方途』が、15:22に『気疎譚』が、それぞれ完売したッッ(三冊ずつしか持ってきてなかったけどね!)。
二作品の完売札を震える手で書くことができたのは、とんでもないことだと思う。なんせ一冊でも売れたら、それだけで今の虎徹書林にとっては大きな成長の証となるのだ。それが六冊!
誠にありがたい御縁の巡り会わせ、感謝以外の何があるだろう?
それぞれの作品をお迎えくださった方々が、楽しくゾワワッと産毛を逆立ててくださっていることをお祈りしてやまない……。
その後、それほどの時を待たずに。
この日の使命である「フリーペーパー第二号全数配布」を達成した!
たかが50部と言われる方もいるだろう。
されど、この50部は大きな山であり、登り切ったことによる充足感は何物にも代えられないものであった。
ほんとに……ほんとに……快く受け取ってくださった皆様、ありがとうございます!
前回はりきって100部も作ってしまった第一号も、全数配布はならなかったけれどたくさん貰っていただけた。残り20部だよ!
ありがとうございました。またお会いできますように!
最終的に、新刊『泡沫ノ怪』五冊、イベント等店舗販売限定『コトコの言霊』七冊、それぞれ予想以上の人数の新たな読者の方にお迎えいただくことができた。
フリーペーパーについては第一部、第二部、ともに部数限定でBOOTHにてデータ配布を予定しているけれど、なるべくならば冊子をお手に取っていただきたいので、文学フリマ以外の場所での頒布方法を模索しようと思っている。
ここまでの成果が出せたのは、ひとえに多くの方のお力添えのおかげだ。
運営のみなさま、ボランティアの皆様、お客様、ご近所の出店者様、御迷惑おかけすることもあったけれど、特段の問題なく出店できたのは皆々様の支え合ってこそなのだ。
人見知りで出不精で、ビビりで常にへっぴり腰な私が何時間もお店番を務めることができた、この素晴らしいイベントがこの先も続いていきますように。私ももうちょい肝っ玉を鍛えて、会場を盛り上げる一助になれるよう、これからも精進してまいります……ありがとうございました、またお会いできますように!
希里峰ぽんぱ
【追伸】
次回は来年一月の文学フリマ京都7に出ます。
美味しいパン屋さんや、予約しなくても大丈夫なオススメごはん屋さんをご存知でしたらぜひとも教えてくださいm(__)m
最後までお読みいただきありがとうございます。
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この記事を書いたのはこの人
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※※スキ❤のお返しは、お気持ちだけいただきます。「スキ❤してくれてありがとう」のご挨拶も、お気持ちだけいただきます。
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