【GAFAエンジニアが徹底解説】MBA×エンジニアリング、デュアルディグリーはお勧め?
こんにちは、Polymathのイトクです。私は高校卒業と同時に神奈川の実家を離れ、20年前にアメリカへ渡りました。コロンビア大学のデータサイエンス大学院を卒業し、現在はニューヨークのAmazonでAIの研究開発に携わっています。同時に、皆さんの理系留学や現地での就職サポートも行っています。
7月になり、数人の生徒さんたちがNYUブリッジの8月の出願に向けてエッセイの最終校正をしています。未経験からCS留学を目指すのであれば、数あるブリッジプログラムの中でも、リーズナブルな授業料と充実した内容から、NYU Tandon Bridge Programが現時点での最適解です。詳しくはこちらの記事もご覧下さい。
https://note.com/polymathnyc/n/ne8931c7374dd
MBA×エンジニアリングのデュアルディグリーはお勧め?
最近、多くの方から「MBA×エンジニアリング、デュアルディグリーはお勧めですか?」という質問を頂きます。Polymathのアドバイザーは全員がアメリカのGAFAで働く現役のエンジニアであり、今日はプロ視点からこのプログラムについてデータを見ながら正しい情報を共有したいと思います。
MBAとコンピューターサイエンスのデュアルディグリープログラムは、近年多くの大学が提供するようになった注目のコースです。ハーバード、コロンビア、ウォートン、スタンフォード、ミシガン、ケロッグなど名門大学でも実施されています。このプログラムは、わずか2〜3年でMBAとコンピューターサイエンスの両方の専攻を修了できるという魅力的な特徴を持っています。通常、それぞれの専攻を個別に修了するには、MBAが約2年、コンピューターサイエンスが約2年かかるため、このプログラムは時間とコストを大幅に節約でき、経営の知識と技術的なスキルを同時に習得できると考え、このプログラムに大きな魅力を感じるかもしれません。特に、技術革新が進む現代のビジネス環境では、経営プラスアルファのスキルを得られるという観点からも良いと感じるかもしれません。
実態は大学のマーケティング戦略?
しかし、このプログラムの実態は、大学のマーケティング戦略であると私たちは考えています。デュアルディグリープログラムの華やかな表向きとは異なり、大学側は学問というよりも金儲けとしての側面が強いのです。このデュアルディグリープログラムは、コンピューターサイエンスなどのエンジニアリング学部の学生と同じ授業を履修しますが、MBAプログラムの一部として提供されるため、同じ授業を履修しているにもかかわらず相当割高なMBAの授業料を払うことになります。
例えば私の母校であるコロンビア大学を例に見ていきましょう。コロンビア大学ではデュアルMBA/MSと呼ばれています。デュアルMBAの1年の授業料は$95,294 (執筆時のレートで1504万円)ですが、エンジニアリング学部は$31,008(執筆時のレートで489万円)です。このように、同じ授業を履修するのに、MBAの授業料はエンジニアリング学部の授業料の3倍以上となっており、非常に大きな差があります。したがって、このプログラムに参加する際には、実際の費用対効果や学びの質について慎重に検討する必要があります。
デュアルディグリーがビジネス学部に属す場合授業料が高額になるという点に着目しましたが、ではデュアルディグリーがどの学部に属しているのかを見分けるにはどの様な方法があるのでしょうか?それはURLを見ることが一番の近道です。コロンビア大学のURLは「academics.gsb.columbia.edu/mbaxms」となっており、gbsは「Graduate School of Business」の略です。ハーバード大学だとURLは「hbs.edu/mba/academic-experience/joint-degree-programs」となっており、hbsは「Harvard School of Business」の略です。
前提条件と難易度
さらに、コンピューターサイエンスの様な工学系の授業には、理系の知識が前提となるプレレクジット(前提条件)が多く含まれています。そのため、理系出身でない学生にとっては、通常の履修が難しく、デュアルディグリーでは無理やり履修できるようになっている構成です。しかし、プレレクジットが設定されていることにはしっかりとした意味があり、これを無視して授業についていくことは現実的ではありません。私自身、文系出身で理系に転向した経験から言えることですが、これは、算数しか学んだことのない小学生が高校数学を履修するようなものに感じます。
今の時代、AIを学びたいと思う方も多いのではないでしょうか?コロンビア大学のデュアルディグリープログラムには、「Machine Learning」という選択科目があります。これは工学系の大学生が機械学習を学ぶための基礎となる非常に重要な科目であり、私も実際にこのクラスを履修した経験がありますが、とてもヘビーな授業でした。
実際にこのクラスのプレレクジットを担当教授のサイトで調べてみると、以下のように記載されています。
これらの授業をすべて履修した文系の学生がどれほどいるでしょうか?大学工学部レベルの授業を事前に履修していないと、授業についていけないので、通常は履修が認められません。理系出身のMBA生であれば復習をしながらついていくことが可能かもしれませんが、私の経験上、完全な文系の学生が未経験でついていくことはほぼ不可能です。例えば、MBAと文系学部のデュアルディグリーであれば、異なる分野の知識を相互に補完し合うことができるため現実的な選択肢となりますが、MBAとコンピューターサイエンスなどのデュアルディグリーは、その難易度の高さから現実的に中途半端な理解になってしまうと言えます。
まとめ
最終的に、MBAとコンピューターサイエンスのデュアルディグリープログラムは、技術と経営の両方のスキルを短期間で習得できる魅力的なプログラムのように見えますが、現実には大学のマーケティング戦略としての側面が強い反面もあります。このプログラムは、どちらかの分野に専念できない学生をターゲットにし、通常のMBAプログラムよりも長い2年以上の期間で高額な授業料を通じて大学が収益を上げる戦略の側面もあります。
このデュアルディグリープログラムは、コンピューターサイエンスなどのエンジニアリング学部の学生と同じ授業を履修しますが、MBAプログラムの一部として提供されるため、同じ授業を履修しているにもかかわらず相当割高な授業料を支払うことになります。さらに、理系の知識が前提となるプレレクジットが多く含まれており、文系出身の学生にとっては履修が非常に難しくなります。理系出身のMBA生であれば何とか対応できるかもしれませんが、それでも非常にチャレンジングなプログラムです。自分のキャリアに本当に必要な知識とスキルを見極め、実際の費用対効果や学びの質について慎重に検討した上で、プログラムを選択することが重要です。
デュアルディグリーにご興味のある方の多くは未経験ではないでしょうか?本気でコミットするのであれば、コンピューターサイエンスや工学部を専攻する方が深く学ぶことができるのでお勧めです。さらに授業料もMBAよりも相当抑えることが可能です。簡単ではありませんが、未経験からでもコンピューターサイエンス留学を達成することは可能です。私達Polymathメンバー全員が未経験からのスタートでしたが、今では全員がGAFAで働いています。私たちは、そんな挑戦をする方をサポートするためにPolymathを立ち上げました。理系留学や海外就職の対策を少人数制で提供しています。留学や海外就職についてのご質問や、個別の相談を希望される方は、こちらからお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。
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