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「児童養護施設という私のおうち」を読んで思い込みを捨てられていなかった自分に気がついた

図書館の本棚に並んでいるのを見つけた、
田中れいかさん著
「児童養護施設という私のおうち」

以前から、
子どもの貧困や虐待について書かれた本や、
児童福祉司の方が書かれた本を何冊か読んでいたんですが、


「そういえば、
実際に児童養護施設で育った人自身が書かれた本は読んだことなかったなぁ」
と手に取ってみました。


ぱらぱらとページをめくると、
ある文章が目に止まりました。


ざっくり言うと、
児童養護施設って知ってる?
では、児童養護施設について他に知っていることは?
といった内容。


知っていることは?と問われると、
なんと言っていいのか、うまく言葉が出てこなかったんです。


わたし、本を読んだり考えたりして、
知った気になってただけだなとショックでした。


以前女性の貧困について書かれた本を何冊か読んでいたときに、
情報だけを集めて上部だけを上から目線で書かれた本、
実際に貧困状態から抜け出せない女性から、継続して話を聞いたり行動を共にしたうえで書かれた本、
の2種類がありました。 


そのときから、
「情報だけを集めて見て読んで、知った気になってる人にわたしはならない。
当事者の声をちゃんと聞こう。そういう人が書いた本をしっかり読もう。」
と強く思ったことがあります。

それからしばらく時間が経って、
あやうく私は前者になりかけていたことに気がつきました。


今まで読んできた児童養護施設が出てくる本では、
問題提起や現状を伝えることが目的のものが多かったため、あまり明るい内容ではありませんでしたが、

この本では著者の田中さんが、
施設での幼少期から思春期の、家庭に置き換えれば誰にでもある当たり前の日常を綴ってくれています。


いかに自分が
児童養護施設出身=つらい経験をしてきたんだな
と、偏見の目を持っていたのかと気付かされます。


つらい経験をしてきたことはもちろんそうなんだけど、
ひとりの人間として生きてるんだから、それだけじゃない。

「児童養護施設出身だからつらい経験をしてきたんだろうな」

ではなくて、

「どこ出身だろうとどんな生い立ちだろうと、
生きてたら誰しもつらいことはあるよねぇ」

という大事なことを忘れないようにしたい。


本のサブタイトルに、

「知ることからはじめる
子どものためのフェアスタート」

とあって、

そのためには必要な支援もちろんも大切だけど、
何よりわたしが無意識に抱いてしまっていたような思い込みの目を
無くすことがとっても大切だと感じました。

たとえ支援や制度がそろっても、
社会の意識、社会の目が変わらないとフェアなスタートは切れないですよね。


ただ、やはり児童養護施設出身であるからこそ、
世の中に出てから困ることや不安に感じることが多いのは事実。

社会的養護が必要だった子どもたちが大人になったとき、
具体的に何に困っているのか、
どんな支援があれば嬉しい、助かるのか、
それに向けた取り組みは今どんな状況なのか、

それらをわかりやすく紹介してくれています。


児童養護施設出身の子どもたちのために、
こんな自分にもできることがあるかも!と思わせてくれる一冊でした。


最後まで読んでくださって、ありがとうございました*


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