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現代アート研究

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現代アートを学び始めた外資系IT企業のプリセールス。 難解な現代アートを探求する学びの記録。
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記事一覧

《Nyenyedzi nomwe》Kresiah Mukwazhi

アートバーゼル、バーゼル・イン・バーゼルを見に来た。6/10から始まったアートフェアは6/12からプレビューを開催している。お金で買えるチケットは6/12のホール1.0から公開が始まり、ホール2.0は夕方から入場することができる。 ホール1.0はUnlimitedとして、大型のインスタレーションなどが展示されている。マーク・マンダース、ミリアム・カーン、ロバート・フランク、ウーゴ・ロンディーネ、マルタン・マルジェラ、ライアン・ガンダー、クリストなどの作品が並ぶなかで若手作家

Pierre Huyghe Liminal

5月のはじめ、ピエール・ユイグ(Pierre・Huyghe)の大規模な個展「Liminal」をベネチアのPunta della Doganaで見てきた。ここでは展覧会を見たメモを残しておきたい。 ピエール・ユイグは展覧会の開始にあたって、そこが始まりと言う。多くのアーティストは作品制作を終えてから展覧会の初日を迎えるが、自分はそうではないという。 つまり、ピエール・ユイグの作品は展覧会が始まったタイミングで固定されているものではなく、会期中にも変化していく、どのタイミング

第60回ベネチアビエンナーレ

4月の終わりから5月のはじめにかけてイタリアのベネチアに出かけた。ピエール・ユイグのLiminalを見ることを主な目的としていたけれど、ベネチアビエンナーレが開催されている時期だから、4/20のオープン以降に出かけようと計画していた。 ベネチアビエンナーレは修士の研究時代にも何度かレポートを見ており、実際に見てみないといけないと考えていたため、ちょうどいい機会だった。ピエール・ユイグの展覧会評は別にまとめたいと思う。 作品や作家の解説というよりも、見てきたこと、考えたことを

ラテンアメリカの民衆藝術と名古屋市美術館のコレクション展

大阪への出張、新年度への切り替わりなどがいろいろあって3か月ぶりだった。KYOTOGRAPHIE を見たかったけれど、一週間前に終わっていた。万博公園の太陽の塔も見られるし、国立民族学博物館で開催している「ラテンアメリカの民衆芸術」を見に行こうと考えた。 ラテンとは話す言葉による分類があるという紹介、イタリア、スペイン、フランスなど、そうした人達が入植した中央、南アメリカとカリブ海の島々のあたりを指している。北米はアングロアメリカと言われている。 まずは玩具の展示から始ま

山口尚 「日本哲学の最前線」 読書メモ

いずれ取り組みたいと考えていた日本の哲学、その最前線がまとめられている書籍があった。國分功一郎・青山拓央・千葉雅也・伊藤亜紗・古田徹也・苫野一徳の各氏の思想を紹介する。J哲学と呼称するらしい。 J哲学とは、J-POPからの習いで、Japanese philosophyからの言葉。 以前から日本哲学という領域があったが、輸入と土着の枠組みを超えた思想としてJ哲学として区別している。 J-POPとの対比は、顔の見えるポピュラーミュージックとしての普遍性を追及するという点が共

2022年のアートマーケット

Art Barselのレポート「THE ART MARKET 2023」がリリースされた。毎年楽しみにしているレポート、マーケットの大きさが2019年のパンデミック前まで回復したという。 市場の大きさでは米国が相変わらずのトップ、イギリスと中国が続く。中国はロックダウンの影響があった。フランスのマーケットが4%成長したという。日本は28%の成長、韓国は40%の成長という。韓国の成長率は、Frieze ソウルによる貢献が大きい。日本の販売先の8割は国内向け、1割に満たない数字

新宮一成 『ラカンの精神分析』 読書メモ  その2

前のnoteを書いているときに、"アイデンティティの相対化"とは、どのようなことだろうか、と思案していた。自身の中にある他者あるいは他者性について記載されているが、つまり、関わる人間関係によって、自己が変化していくことではないだろうか、と考えるに至った。空気を読むということに近しい感じもするが、少し違うような気がする。 自身の欲望が他者によってもたらされた。それは無意識下で転移し、気が付いたときには既に意識のもとにあり、なぜ、それをしているのかが分からない。偶然ともいえるが

新宮一成 『ラカンの精神分析』 読書メモ

ラカンをおさえておきたくて、Amazonで検索したら上位に出てきたため入手した。中古本があったので、それを買い求めたところ、結構ボロボロの本が届いた。購入履歴をチェックしてみたら、状態:可とあった。ボロボロだったために、少しがっかりしたが、逆転の発想、書き込みしながら読むことにした。これがとても良かった。少し本の読み方が変わるかもしれない。 とある精神科の患者の事例から始まる。マグロの刺身の話であり、精神科医である筆者がマグロの寿司を食べ損ねた次の日に患者がマグロのお刺身を

<聞く力>を鍛える 読書メモ

話し方の反省、自己啓発の書籍などはあるが、聞く力は話す力ほど重視されていないという。本書は、聞く力こそ基本であり、話をするにも役に立つという。 聞くの報酬、聞くことの効用を10あげているが、それだけに収まらない。聞くことについてどういうことかを丁寧に解説している。冗長ではあるが、聞かずに話ばかりをする人の事例を丁寧に解説し、如何に聞くことが難しく、しかもスキルとして認知されていないのか。確かに、隙あらば自分語りという人を多く見かけるから、聞くというスキルはとても大事。聞く力

ギャラリーストーカー-美術業界を蝕む女性差別と性被害 読書メモ

2023年1月10日に発売されたばかりの本、美術業界に限った話ではないけれど、最近セクハラに関する報道が増えてきた。アートスペースを運営していることもあり、この本は読んでおくべきだと思った。 著者は弁護士ドットコムの編集者、新聞記者などを経験して現職。 ギャラリーストーカーの存在は知っていたし、美大の中でも様々なハラスメントも少なからずあるということは聞いていた。 ストーキングもひとつのリスク、単純に展覧会を見に行き、作品を購入していた時よりも格段に作家とのコミュニケー

エンジニアとアーティスト

カンブリア宮殿のホンダ特集をみた。 エンジンのホンダと言われていたが、脱エンジンであるEVの開発へシフトする。そのシフトにあたってソニーと提携というメッセージから始まり、空飛ぶクルマ(ドローン)の課題を解決する技術開発などが紹介されていた。ここでの課題はバッテリー性能による航続距離の短さで、ホンダは、航続距離を400kmまで伸ばすという。その実現方法として発電しながら飛ぶハイブリッド方式というものを研究開発している。これは小型ジェット機の開発、自動車の開発などの研究ノウハウ

アンラーニング ランゲージ

2022年11月にYCAMで見たアンラーニング ランゲージについてWIREDで記事が公開されていた。改めて振り返っておきたい。ローレン・リー・マッカーシーとカイル・マクドナルドのインタビュー Googleや、Facebookに監視されていると言ったら、「なぜ?」と思うかもしれない。 検索する人は、何らかの購買ニーズを持っているのではないか?そうした仮説から検索結果に広告掲載スペースを作り、新たな市場を作った。ビジネススクールでは、顧客ニーズ(検索者と広告出稿者の両方)と市

アートワールド2022

Artsyのまとめ記事が便利 一つ目のまとめは2022年のオークションについて、ウルトラ・コンテンポラリー・マーケットという表現に目が止まる。プライマリーで若手アーティストをコレクションする人たちが増え、そうしたアーティストの作品がオークションに出始めたらしい。オークションデビューと紹介している。 アーリーキャリアのアーティストがオークションに出始めて、それらアーティストは、展示歴、美術館収蔵品のリスト、そしてコレクターのウェイティングリストを十分に積み上げている。年の後

“Variants” by Pierre Huyghe

トップアーティストを研究することは、現代アートの理解と楽しみを得ることに非常に役に立っている。研究は、作品やアーティストへのインタビューをはじめとして、様々なメディアに掲載された批評や論文、大きな受賞とその理由とコメント等々をソースとして、深く深く潜り、自分の解釈と解釈のための勉強(哲学、科学技術など)から整理してまとめていく。そして自分の言いたいことに辿り着く。ようやく修士論文を書き上げたが、気が付いてみると、それが自分のアートを見るまなざしと思考の基準になった。 現代ア