癇癪の対応②
癇癪に対して、基本は予防が大事です。
癇癪が起こらないように刺激がきっかけをなくします。
とは言っても、完全に防ぐことは難しいです。
起こるものは起こります。
今回は、癇癪自体へのアプローチについても、お伝えしたいと思います。
どういう目的で癇癪を起こすのか
癇癪に対する対応は、どういう目的で癇癪を起こすのかで変わると考えています。
主な癇癪の目的として、以下の3点が多いのではないかと思います。
感情表現、感情表出が激しい
要求を通したい
アピール、かまってほしい
1.感情表現
不安、怖い、悲しい、イライラなど、感情が揺れ動いた時に大きな表現になって、癇癪になることがあります。
凸凹さんは感情コントロールが苦手だったり激しくなりやすい特性があります。
また、言葉で上手く表現できない場合も多いと思います。
気持ちが上手く表現できず、感情表現になっているなら、落ち着いてから支援者が感情を言葉にするようにしてます。「嫌だったね」「悲しかったね」など。
時間はかかりますが、感情を言葉にすることがわかり、気持ちをわかってくれていると感じられると落ち着けるようになります。
イラストなどで表現する方法、物を叩くなど別の方法で発散する方法など、表現を別の方法に替えるようにサポートするのことも必要かもしれません。
感情表現の場合は、癇癪になったら気持ちが落ち着くまでそっとしておく対応になります。
どうしようもないことは暴れてもどうしようもないから。
落ち着いた後に、原因を探して対処します。
感情が揺れ動く時の原因はいろいろありますが、凸凹さんの特性から多いのは、見通し、変化、失敗、苦痛でしょうか。
見通しがない
上手くいかない、できない
思ってた結果と違う
やりたいことができない
不安、苦しい、しんどい、疲れた
ASDの方は、目に見えないことを理解することや変化が苦手です。
そのため、目に見えない見通しがわからないこと、わからないから自分で見通しを作ってそれが思ってたことと違うことで混乱してパニックになることが多いです。
その場合は、予定表やスケジュールなどの視覚支援で見通しがわかるように支援をすることが必要です。
上手くいかない、できないなどで癇癪になる場合は、次は上手くいくようにサポートをすることが必要です。
練習をするとか、上手くいかないのはなぜなのかを探り、ツールを使ったり工夫をしたりします。
2.要求
癇癪が要求になっているなら、癇癪での要求には応じないようにします。
癇癪を起こしたら言うことを聞いてもらえると学習してしまいます。
落ち着いた時に、普段から、適切な意思の伝え方を教えることが必要です。
言葉で伝えること以外に、その人の理解に応じて、ジェスチャー、絵や写真、文字などの視覚的なものを活用することが有効です。
普段言葉で話せていても、実は目に見えない言葉を上手く使えていなかったり、いざという時に出てこなかったりするので、代替手段として別の方法を考えるのもいいと思います。
本人が、癇癪以外で要求し、なおかつ伝わるようにしていきます。
3.アピール、かまってほしい
癇癪が大人に対するアピールになっている場合、注目しないで無視する、消去するとよく言われますが、私の経験上、それでは上手くいかずにどんどんエスカレートして、対応している人が疲れてしまうことがあります。
本人は見てほしいので、見てあげて気持ちを満たさないといつまでもなくなりません。
その見てもらうための方法を変えて、適切に伝えられるようにするのです。
無視するだけでなく、必ず別の適切なアピール方法を教えて、「こうしたら見てもらえる」を学習してもらう必要があります。
普段から些細なことでいいので、良い行動に注目して褒めるようにすれば、良い行動が増えていきます。
そして、無視する時には、その人自体を無視するのではなく行動を無視すること。
癇癪には取り合わず、違う行動を促し、それをできたら褒めたり承認したりします。
癇癪や困る行動で見てもらおうとする人に対しては、満たされていないので、普段から適切な行動や何もない時にでも「そんなことしなくても見てるよ」という気持ちで注目して褒めていく機会を増やしていくことが大切です。