#5 わたしが生んだ!(新川和江)/野の花ちらし寿司
友だちが赤ちゃんを生んだ。
ばんざい!
新しい地平線が切りひらかれるような思いがする。
すぐには会いにいけない今、写真をながめながら、
こんなに小さい指に小さな爪が!と驚いている。
うす紅いろの小さな爪
こんなに可愛い貝がらが
どこかの海辺に落ちていたならば
おしえてください
(中略)
赤ちゃんのすべて
未完成のままに
これほど完璧なものが
ほかにあったら
見せてください 新川和江「赤ちゃんに寄す」一部抜粋。
お耳も。生まれたてなのに、もう精巧だ。
<わたしが生んだ!>
どんな詩人の百行も
どんな役者の名台詞も
このひとことには
適いますまい
おかあさんって、すごいなぁ。どんな詩の言葉もかなわない。
めでたい日にはちらし寿司。ごはんと卵があれば気軽に作れるごちそう。お雛さまの日だけではなく、ちょっと気分をアゲたいとき、お祝い気分のときに。
今日は、野の花をつんで、飾ってみた。(ちなみにカラスノエンドウが食べられるって、知っていました?わたしは最近知りました。)
友人も、子どもがすこし大きくなったら野原で花をつむのかな。
材料(2合分)
【酢飯】※多めにできるので保存。実際に使うのは60mlほど。
米・・・2合
酢・・・180ml
砂糖・・・大さじ5
塩・・・大さじ1
【具】
卵・・・2個
片栗粉・・・小さじ1
いりごま、油、塩・・・適量
家にあるものなんでも。今回は生ハム、絹さや、カラスノエンドウ(豆と花)、カタバミ。
①下準備
米を硬めに炊く。すし酢はすべてまぜておく。食べられるお花をつんで、洗っておく。(たんぽぽ、カタバミ、カラスノエンドウなど)カラスノエンドウは豆をさやから出してさっと煮る。いりごまはフライパンで煎っておく。
②錦糸卵を作る。
卵をときほぐし、塩ひとつまみ、片栗粉小さじ1を入れてまぜる。油をしいて、中火で卵液を入れ、表面が乾いたらすぐにふたをして火を止め、予熱で1分ほど待つ。(フライパンの大きさによるけど、2回に分けてうすく焼く)くるっとフライパン返しで巻きながらまな板に移動させ、冷めてから細かく刻む。
③酢飯を作る。
ごはんにすし酢60mlほどをまぜ、うちわであおいで人肌に冷ます。いりごまとカラスエンドウの豆を入れてまぜる。
④かざりつけ
思い思いの具を飾り付ける。オリーブの実や、ケイパーの実、かまぼこ、カニカマなどなんでも。
六花亭の「まるさんかくしかく」の箱に盛り付けました。
お持たせにもよき。取り分けていただきます。
余談。
京丸うちわを使ってあおいだら、ブォンッッ!!!とすごい勢いで
あおげました。これは、京都のスナックでマスターにいただいた、舞妓さんのご挨拶うちわ!めちゃくちゃいい〜◎
竹がしなってなんとも優しい、ここちの良い風。
ペラペラのうちわとは驚くほど違う。
京丸うちわも作るところが少なくなっているそうです。
「小丸屋」十代目女将さんのインタビューがまた、いいんだ。
うちわは、人間関係に「いい風」を送ってくれます。うちわは心和む道具、癒やしの道具なのです。
今日はこのへんで。友だちにも、赤ちゃんにも会いたいし、京都のマスターは元気かなぁ。美の八重、真ひろさんにも、いつか。
◆作者について
新川和江(しんかわ・かずえ)1929〜
茨城県生まれ。「わたしを束ねないで」など。息子の博さん(詩に読まれた赤ちゃん)は作曲家になって、和江さんの詩を歌にしている。
やっぱすごいなぁ〜〜と個人的に思うのは、親の決めた縁談でも夫と仲睦まじく(ラブラブな詩もある)、お子さんも生まれて円満な生活にありながら、表現者としてありつづけたこと。子育て家事をしている友人たちを見ていると、毎日生きているだけたいへんだと思うんです。でも彼女は詩を発表し続けた。すごいなぁ〜。
◆おすすめの本