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【詩】#37 真昼と真夜中をさけて

はじめから過去形だった ままごとだった
栞と付箋とレシートで街を隠してしまう
おれはもうおまえの新しい男ではない
本棚の余白に置き忘れたままの火曜日
前の席の人の待ち受けの景色 
美しいことに甘えている 早くいなくなりたい
生きたと思える日には蛍光ピンク 生きていない日には水色をひいて
ダイアリーが鮮やかに汚れていく
悪い人じゃない 正しい言葉なんだろう くだらない
心が細くなってしまうから またごはんを作ってもらって
さみしい時の背中は たくさん話してしまう
おまえがひとつ年をとるたびに世界もひとつ年をとって
だけどおれたちより先に世界がなくなることはない

冷蔵庫の中にはいっているものをすべて
アスファルトに並べていく
月の灯りで炒めて
夜を運ぶ
おれに寄りかかった時
おまえはもう
間違っていることを気にしていない


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