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有名歴史マンガ「キングダム」で学ぶ人材育成とプロフェッショナルコミット力

全3回にわたって見てきました会社や仕事の現場で役立つ大人気漫画のキングダム名言・名場面シリーズですが、今回が最終回になります。最終回の今回は働き手不足の市場において、重要な経営課題の一つである人材育成、プロフェッショナル人材を目指すなら持っておきたいコミット力についてご紹介します。

人材育成編

若手にも経営者やトップマネジメント層からの視点を見せてみる

王騎(おうき)将軍: あなたは今、将軍の馬に乗って走っているのです。理解したらゆっくり目を開き、目にするものをよーく見てみなさい。敵の軍を、敵の顔を、そして味方の顔、天を、地を。これが将軍の見る景色です。どうですか?
信(しん): どうって言われても。。
王騎将軍: よく分かりませんか?
信: いや、少しは何か分かった気がする。今の一瞬で全身に力が漲った。
- キングダム(16巻) -

趙の龐煖(ほうけん)将軍との一騎打ちで致命傷を負った王騎将軍を生きて戦場から逃そうとして、信が王騎将軍を支えながら馬に乗っている時の会話。

マッキンゼーの経営コンサルタントと日本支社長を経て、国内MBAスクールのビジネスブレークスルー大学学長を務める大前研一氏も若いうちから経営者やトップマネジメント層と同じ目線で事業を考えられる重要性を説いていますが、若手にも経営者と同じ仕事を任せたり、一緒に仕事を進めるチャンスを与えることで若手もイメージしやすくなるので、経営者人材の育成に良いかもしれません。

育成のためには修羅場をチームで乗り越えさせろ

大将軍の私に教わろうなんて虫が良過ぎますよ。
そういうことは自分で戦場を駆け回って学びなさい。馬鹿者。皆と共に修羅場をくぐりなさい。素質はありますよ、信。
- キングダム(16巻) -

王騎将軍が亡くなる直前に信へ掛けた最後の言葉。


私はこの著雍は呉鳳明と私の対決の場とは見ていない。私はこれから秦軍の武威の一角を担うべき若き才能達が傑物 呉鳳明に挑み、その力と名を中華に響かせる戦いだととらえている。確信はない。だから示してみよと言っているのだ。まずはこの戦で。
- キングダム(36巻) -

秦国の将軍 騰(とう)が若い武将の信と王賁(おうほん)に作戦を任せた真意を語っているセリフ。

仕事や職場で大きく成長するためには、やはり大きな仕事や修羅場を経験して、何とかやり切ることが一番効果的であることを示唆しています。しかし同時に、一人では乗り越えられない修羅場でも、チームメンバーと一緒であれば乗り越えられることをアドバイスしているようにも思えますね。

若手は身近にいるロールモデルの行動を真似るべし

血気盛んな若き将軍 劇辛(げきしん)は燕に来た時から目の前に立ちはだかるこの大きな壁(大将軍の楽毅(がくき)のこと)を超えてやろうと目論んでいた。ではどうやって超える…。
劇辛は楽毅の戦場を可能な限り追って行きその全ての記録をとった。全身全霊をかけて楽毅の戦を盗もうとしたのである。
- キングダム(24巻) -

なりふり構わない野心家であった劇辛将軍がどのようにして、のし上がってきたか解説したもの。

まだ仕事や業務をどのようにして上手く進めれば良いか分からない若手社員は、身近にいるデキる上司や先輩がどのようにして仕事を進めているか、どのように課題を見つけて考えているか、良い点を盗んで真似てみると良いと思います。もし身近にそういう人がいない場合は、書籍やインターネット記事で成功してきた人の習慣ややってきた事を見てみると参考になるでしょう。

中途採用だけでなく社内の人材育成の仕組みづくりが必要不可欠

秦軍の今ある力だけでこの合従軍をはねのけるのは至難の業じゃ。成すためには”中”からの新しい力の台頭が不可欠じゃろう。
- キングダム(26巻) -

秦軍が合従軍(秦国以外の国が一時的に結託して秦国へ侵攻してきた軍)からの攻撃によって苦しい状況の時に麃公(ひょうこう)将軍が言ったセリフ。

会社の大きなゴールを目指すためには、外部から中途人材を採用するだけでは足りず、中にいる社員(特に若手社員)を成長させる仕組みが必要不可欠という教訓として考えられます。

大きい実践経験が人材を急成長させる

大戦は人の成長を強力に促す
- キングダム(26巻) -

趙の軍略家 李牧(りぼく)が人の成長について語った一言。


信は本当に物凄い道を走り続けてここまで来てるよ。
だから、あいつはあんなに強いんだ。
- キングダム(31巻) -

河了貂 (かりょうてん)が、なぜ信が急成長できているかを語った言葉。

王騎将軍がアドバイスしていることにも似ていますが、どちらの台詞も人が急成長を遂げるためには大きな実践経験が必要であることを語っています。逆に考えると急成長したい人は失敗に終わっても良いので、自ら大きい仕事や業務を買って出た方が良いということでしょう。

ライバル同士切磋琢磨することで成長が加速する

そして今、英雄を目指す若者二人に英雄になれなかった老人からの金言じゃ。蒙恬と信と王賁、三人で一緒に高みへ登れ。手を取り合う必要はない。時に対立するのも結構。
ただ三人が意識しあい、共に登ってゆけば、その関係は必ず大きな力を生む。六将達がそうであったようにそういう戦友の形もあると思うぞ。
- キングダム(34巻) -

蒙驁(もうごう)将軍が亡くなる直前に信と蒙恬(もうてん)にアドバイスした言葉。

社内メンバー同士でもライバル意識を持たせ、お互い切磋琢磨することで会社全体のレベルが底上げされるのも人材育成の一つの方法であることを説いているようです。少し話が逸れますが、これは市場においても同じで、競合同士がお互いしのぎを削り、サービスや商品の品質や価格を改善していくことで市場全体が活性化し、成長していきます。具体例として、液晶テレビとプラズマテレビが市場に出てきた当初は二つの製品ともに長所・短所がありましたが、競合の多かった液晶テレビはどんどん改善されていく一方で、プラズマテレビは競合がすぐに少なくなったため、なかなか改善が進まず、結果的に液晶テレビ市場は成長し、プラズマテレビ市場は衰退していくことになりました。

”型”でも繰り返し訓練すれば実戦で通用する

理論で作られた”型”を実践に移すには、真に並々ならぬ日々の修練の積算がいる。しかもあの紫伯(しはく)を相手に…だが王賁(おうほん)様はそれを実現させるのだ。
今、身を結ぼうと…これまでのあの修練の日々…たゆまぬ努力の積算で今…
- キングダム(37巻) -

秦国の槍使い王賁が魏国最強の槍使い紫伯を一騎打ちで倒す時に、王賁の強さの源を側近が解説したセリフ。

これまで実際の現場で経験していくことが一番人材育成に効果的であるという記載が多くありましたが、実務でなくてもケーススタディなどでロジカルシンキングの”型”に沿って自分なりの解を導き出す訓練を繰り返していると、いざ現場である課題に遭遇しても解決策を見出しやすいということだと考えられます。

プロフェッショナルなコミット力編

失敗しても何かを得ること

桓騎(かんき)軍はどんなに下手うったとしても、ぜってぇ手ぶらじゃ帰らねぇんだよ!
- キングダム(42巻) -

桓騎軍の武将 雷土(らいど)が桓騎軍の強さを解説した言葉。

事業や商談など仕事とは上手くいかずに失敗の繰り返しだと思いますが、失敗した事でも単に失敗したという事実だけで終わりにせず、なぜ失敗したのか原因を分析したり、次にしっぱしないようにするためにはどのようにすべきか等、今後に活かせる教訓を得ることがプロフェッショナルに必要な要素であると言えそうです。

ゴール達成のための解を探し続けること

あきらめちゃダメだ。たとえ昌平君(師匠)が”無手”と言った状況であっても、そこに道を切り開くのが飛信隊の軍師だ!
- キングダム(42巻) -

攻略が不可能と思われた戦いの戦略を考えている時に自分を奮い立たせるために言い聞かせた河了貂(かりょうてん)のセリフ。

たとえ色々な人が不可能、難しいと言ったビジネスやプロジェクトでもゴールを達成するための解決策を考え続けることがプロフェッショナルとしてコミットすることなのかもしれません。

コミット力に必要なもの、責任感

渕(えん)さん:そもそも私は武人じゃない。元々はただの王宮と信殿の連絡係。それがひょんなことから結成当初の飛信隊の副長になった。最初は楽しかった。信殿を補佐できることが嬉しかった。だが隊がふくれ生粋の武人の楚水殿も加入・副長となり、軍師には河了貂、両人共に代えのきかない働きをし、もう一人の副長羌瘣(きょうかい)殿にいたっては将軍の座すら狙える傑物だ。
そんな中、私の役割はいよいよ小さい。大した武力もなく知力もない…副長という席につりあっていないのだ。これ以上、飛信隊が上に行くのならば私の器ではとてもじゃないがついて行けぬ…いや、飛信隊はもっともっと高みへ行くのだ。だから私はそろそろ身の程をわきまえて…、なのに河了貂と信殿は。

(中略)

河了貂(かりょうてん):我呂(がろ)の言いたいことは分かるよ。でもこれが正しい人選だ!
この渡河には”武力”も”知略”も必要ない。必要なのは”別のもの”だ。そして、それは誰よりも渕さんが強く持ち合わせているものだ。

河了貂・信:責任感だ!たった百人から始まったこの隊の結成当初から副長を七年務めてんだ。信頼を置けるのは武力や知略にだけじゃねぇんだよ。この場を一番に任せられんのは、渕さんだ!

(中略)

飛信隊の兵士:俺も初めは「何で渕副長?」と思ったよ…。でも、信隊長や羌瘣副長みたいな怪物じゃない渕副長だからこそ見せれる背中もある。
- キングダム(42巻) -

非常に難易度の高い作戦の要となる実行部隊の隊長役を飛信隊の副長 渕さんに任せることになった時のやり取りと心境。

困難な仕事やプロジェクトをやり遂げるにはスキルや経験も必要ですが、それ以上に業務に対する責任感が必要であるという教訓だと考えられます。人事評価についてもスキル面ばかりを評価するのではなく、仕事やプロジェクトに対する責任感もしっかり評価することが、そういう人材を育成していく上で重要になってくるのではないでしょうか。

他の名言・名場面から学べること

ベンチャー企業・ビジネス・新人の台頭

まったく、困ったものですねぇ。いつの時代も最強と称された武将たちは更なる強者の出現で敗れます。中華の戦いはしばらくはその男を中心に回るでしょう。
しかし、それもまた次に台頭してくる武将に討ち取られて、時代の舵を渡す。果てなき男どもの命懸けの戦い。まったく、これだから乱世は面白い。
- キングダム(16巻) -

王騎将軍が亡くなる直前に語ったセリフ。

ビジネス界や会社の中においても、長い間安定したポジションにいると思っていても、新しいサービス・商品が出てきて市場のバランスが変わったり、物凄い新人が現れることで、その人を中心に事業が回り始めたりします。下克上のようで少し残酷な感じもしますが、そのような移り変わりがあるからこそ面白いとも言えそうです。

経験豊富なメンバーがいる安心感

老将には老将にしか務まらぬ役目がある。
才能という面なら王翦(おうせん)や倅の武(ぶ)がおる。じゃが、あの二人では函谷関は守れぬよ。”重み”が足りぬ!国門を守るとはそういうことじゃろうて。
じゃから天才 昌平君(しょうへいくん)もわしら二人を函谷関に上げた。秦将一機転の利く桓騎をそえてな。
- キングダム(27巻) -

蒙驁(もうごう)将軍が函谷関の戦いで張唐(ちょうとう)将軍へ言ったセリフ。

会社やプロジェクトでも優秀であっても血気盛んな若手メンバーだけでは、困難な局面でぎすぎすしたり、心の拠り所がないと不安に陥って本来の力を発揮しきれないことがありますが、そういう時に経験豊富なメンバーがいるとチームが安定して結束することができたりします。もちろん優秀なメンバーがいる方が事業やプロジェクトのスピードも上がるので、その象徴として桓騎将軍の名前を挙げていると考えられます。要はチーム構成のバランスが重要ということですね。

チームを動かすリーダー

ここで敵を止めねば秦国は滅亡する。恐ろしいのは分かる。敵は屈強でこちらは老人・女子供も多い。戦えば多くの血が流れ、多くの者が命を落とすであろう。
だが、そなたらの父もまたその父達も同じように血と命を散らして今の秦国を作り上げた。今の生活はその上に成り立つ。降伏すれば、敗れれば、それらは全て無に帰し、秦の歴史はここで途絶える。秦人の多くは虐殺され、生き残った者も土地を奪われ、列国の奴隷になり下がるであろう。そなたらの子も、また次の子も。それを止められるのはそなた達だけだ。
- キングダム(31巻) -

秦国が窮地に立たされる蕞(さい)の攻城戦前に民衆から兵士を募ろうとして、政(せい)が民衆に語りかけたセリフ。

リーダーやマネージャーは社員やチームメンバーの気持ちに理解を示し、リスクなどもきちんと説明しながらも目標やビジョンを達成することの大切さを共有することが重要な役割と考えられます。また、漫画の中では政の語りかけに対して、最初に奮い立ったのが小さな少年(フォロワー)でしたが、政はそれを温かく歓迎しました。そうすると他の民衆も次々に続き、ついには全員が闘志を漲らせることになります。このように会社や組織でも一番目のフォロワーを歓迎すると、仲間が増えてくるかもしれません。

まとめ

●人材育成
・若手にも経営者やトップマネジメント層からの視点を見せてみる
・育成のためには修羅場をチームで乗り越えさせろ
・若手は身近にいるロールモデルの行動を真似るべし
・中途採用だけでなく社内の人材育成の仕組みづくりが必要不可欠
・大きい実践経験が人材を急成長させる
・ライバル同士切磋琢磨することで成長が加速する
・”型”でも繰り返し訓練すれば実戦で通用する

●プロフェッショナルなコミット力編
・失敗しても何かを得ること
・ゴール達成のための解を探し続けること
・コミット力に必要なもの、責任感

●その他
・ベンチャー企業・ビジネス・新人の台頭
・経験豊富なメンバーがいる安心感
・チームを動かすリーダー


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