
【文学フリマ】本は誰でも作れる。未来の出店者に届けたい3つの学び+Vlog
はじめに
『言葉の解釈』というカセットテープ型オリジナル辞書を制作し過去3回文学フリマに出店しました。

カセットテープサイズの豆本
お越しいただいた方ありがとうございます。
今後も活動は続けていくので、『言葉の解釈』爆誕の経緯も振り返りつつ、文学フリマ出店で得た学びを3つほど書き残したいと思います。
基本ばかりですが、自分も初出店時はnoteの知見記事を読み漁っていたので、これが未来の出店者に届けば。全てのクリエイターと関係者に敬意を込めて。
ROMANCE DAWN-出店の夜明け-
2023年11月ごろよりTikTokで『言葉の解釈』の投稿を始めました。
記念すべき初投稿
きょう【今日】
「0からの辞書作り」「言葉に新しい解釈を施す試み」とのことで、キャッチコピーが好きなのと『舟を編む』を観て改めて辞書を買いパラパラしていたことが大きなきっかけです。
それまでもnoteで読書感想文や映画レビューに始まり、『ゼルダ短歌』や『1/fゆらぎ旅』など言葉を中心に興味の赴くまま書いては投稿してきました。
その中でうっすら自分の表現したいことが見えてきたので、『言葉の解釈』ではそれを盛り込んだ上で、見た人読んだ人の心に留まるよう意識しています。
SNS運用や、足りない要素は生成AIで補完するなど、これまでやってきたことが間接的に活かされてるのは積み上げ感があり熱いです。

ChatGPTに感想と返歌をもらう究極の1人遊び
それがゼルダ短歌
本になったら欲しいというコメントも頂き、これまでに無い手応えを感じたので「これだ!」と思い、前々から存在は知っていた文学フリマへの出店を決意したのでした。

①焦りがちな「入稿」と「設営」
出店までの大まかな流れは公式で分かりやすくまとめられているのでまずは熟読ください。
出店申込と入金が完了したら、時間的な締切がある工程は主に「入稿」と「設営」だと思います。
入稿
入稿は、余裕を持って進められると早割と試し刷りが効いてきます。特に試し刷りは新作の場合、色の出方や紙の質感、誤字脱字、落丁乱丁チェックのために絶対したほうがいいと思います。
データ出力時にフォントの埋め込みなどを忘れると、納品後に思わぬ事態が発生し、一発入稿だと最悪取り返しがつかなくなります。

PDFのフラット化を忘れると文字化けが
発生したりします
また『言葉の解釈』はカセットテープサイズ(63mm × 100mm)で製本しているのですが、そういった変則的なサイズは印刷業者に事前相談するほうが無難です。

背表紙など違和感出ないように
ガイドやトリム領域は緻密に設定しました
他にも、フォントや余白の大きさなど、印刷物を見て初めて「あれ?」と思う点は必ずあり、印刷業者がミスに気付いて連絡してくれることもあったので、修正期間まで確保した制作スケジュールを引くのが安心です!
初出店時は一発入稿で会場に配送してもらい、当日初めて作品と初対面したのですが、朝から感動したものの結構リスキーだったなと今は思います!
設営
ブース設営は、とりあえず出店案内(入場証)・お金・作品・備品の準備をパッキングまで前日に終えられると心の余裕が生まれます。
持ち物やToDoリストも誰かがシェアしてくれるのでありがたく活用しましょう。告知も兼ねて自分からシェアするのもいいですね。
前回、当日朝に無配の印刷をしたために、駅からバス停まで全力ダッシュしました。

ブース番号は手書きで埋めるようにすると
次回に持ち越せることに気付きました
ブースのレイアウトは、お客さんの反応を見ながら見本の位置を変えたり、付箋でPOP増やしたり、少しずつ模様替えするのが醍醐味だと思ってます。
ただ、開場後もがっつり準備してるとシンプル周りに迷惑かけるので、スムーズに設営できるよう初期配置の練習は家でしておいた方が吉です!要らないものも分かり荷物減るので!
ハサミやペンなど、何かと忘れてしまっても焦らず事務局か隣のブースの方を頼れば解決するはずです。今後もし出店被ったら助け合いましょう!
②運命の一冊になるために
昨年12月に開催された文学フリマ東京39の出店数は過去最大の2,263でした。少なく見積もって一人当たり2~3種類販売していた場合でも、5,000もの出版物(しかも普段見かけないオリジナル)が一堂に会すると思うと圧巻です。
一方で来場者数も10,941と1万越えの大台。皆さんの作品と感性がぴったり合う、それを読むことで人生が変わる方も多く来られる筈です。本の大海に臨む来場者の灯台になるため、「告知」と「ブース」は工夫しましょう。
告知
開催が近づいてくるとnoteで出店告知の投稿が増えます。直近出店した文学フリマ京都9ではお隣さん以外の本も買いたい!と思っていたので、ハッシュタグから多くの記事に目を通していました。
そんな中、「告知」「文学フリマ出店」「ブース番号」だけで構成されたタイトルは中々前のめりにチェックできず、悲しくも埋もれてしまう印象がありました。
一方で、具体的にどんな内容かさらっとタイトルに取り入れられているものは文章も頭に入ってきやすく、結果その中の一冊を当日も購入させて頂きました。
それに気付いた時、自分の告知タイトルはどうだったのだというと、まさに「告知」「文学フリマ出店」「ブース番号」しか書いてなかったので特大ブーメランを喰らいながら修正しました。
あまりにもシンプルな前々回の告知
それに気付いた前回の告知
目立たせることに抵抗がある方は、読んでもらいたい人の姿を想像しながら、世界観や雰囲気が伝わるようにすれば良いのかなと。告知も色々目的ありけりですが、無数の選択肢がある来場者の心を惹くにはユニークなタイトルが必要だと思います!
ブース
お客さん側の気持ちで会場を散歩すると分かりますが、大量のブースから運命の一冊を見つけるのはかなり大変で、目に止めてもらうだけでも工夫が必要です。
特に必要なのは「目線の高さ」と「驚き(わくわく)」だと思います。
目線の高い展示はやっぱり目立つ。遠くからでも目に入る。実際に散策してみると、いきなりブースに近づくのは結構勇気が必要で、出店者から悟られないよう雰囲気を知りたいニーズは大いにあるので、広告的な情報はなるべく高く大きく看板のように設置するのが理想かと思います。
次回はこれ取り入れたい
「驚き(わくわく)」は文学フリマという非日常を彩る演出です。こんな世界があったのかと、私は今まで何をしていたんだと、そう思ってイベントに没頭してもらえた方がコミュケーションが活発になると思います。
作品のコンセプトにあった方法を模索する必要がありますが、例えば『言葉の解釈』では100語の解釈が一ページずつ収録されているので、各語のページをブースに張り付けたり、iPhoneでスライドショーを流したりしました。

まだまだ改善の余地あり
他の方のブースだと、体験型の仕掛けや、本が多いのを逆手に立体物が展示されているブースはわかりやすく興味を惹かれました。
ブースが整うとスイッチも入ります。ただ同時に、個性溢れる演出は近寄りがたさと表裏一体でもあるので、そこは良い塩梅を探っていくトライ&エラーで頑張りましょう!
③クレシェンドコミュケーション
回を重ねるごとに、文学フリマ出店の一番の価値はお客さんとのコミュニケーションだと思うようになってます。
自分は割と作品にはドライというか『言葉の解釈』の内容的にも十人十色の感想を楽しみにしているので、多くの方の反応を間近で感じられるのが嬉しいです。
なのでできるだけ素のやり取りをしたい。ですが見本を読んでおられるときは、すぐには声をかけないようにしています。
理由としては、試し読みもお客さん側からすればけっこうハードル高いと思っており、あまり邪魔せず自由な第一印象を感じて欲しいからです。
間違いなくTikTokのフォロワーと思われる方は普通に嬉しいので話しかけますが、基本は質問頂いたときや、気まずい沈黙が流れた辺り(体感20〜30秒)からお話しします。
話題としてはいきなりコンセプトとか思いを話すのは苦手なので、本の仕様(2冊合計で100語収録してます、生成AIでイラスト作ってます、カセットテープのサイズですなどがスタメン)や、作品関係なくイベント楽しんでますか的な話をするのがスムーズに会話続くような気がしています!
試し読みや購入だけでなく、お客さんと上手くコミュニケーションも交わせたなと思ったときは数倍嬉しいのですが、正直反省点も多くまだまだ正解が分かっていないので頑張ります。
最後に
先日、文学フリマ出店vlogを作りました。ざっくり会場の雰囲気が分かると思うので良ければご覧ください。
動画内で文学フリマを「自己表現の熱気溢れる最高のイベント」と言っていますが本心です。
特に、これは自分じゃ思いつかない、クオリティ高すぎ、もってかれそう、というような作品に出会うと、ここに同志がいたんだと思い勝手に熱くなってます。
あとはやっぱり、自分が0から生み出した本を、良いと思った人が買ってくれて、その人の生活の一部になる、読まれていると思うととてもエモーショナルです。
本は誰でも作れますが、ゴールはその先のはずです。文学フリマは、そういった制作者や出店者としてのモチベーションを大事にしつつ、お客さん視点でチューニングできると納得いく成果が出せるかと思います。お互い頑張りましょう!
『言葉の解釈』BASEでも販売してます!