《10回クイズ》のように条件反射してしまう人びと (家で★深読み)
世の中には、
《世界を「敵」と「味方」に二分して考える人びと》
がいます。
以前書いた《Mr. Me First》の人たちは、「個人」として、往々にしてこのタイプです。
こういう人たちに、いったん、
《敵》
と見なされたら、徹底的に攻撃されるので、注意しなければなりません。
こういう人は、病的なところもあり、面倒に巻き込まれないためには、近づかないに限ります。
といっても大統領になったり社長になったりすると、関わり合いにならないわけにもいかず、社会として、あるいは組織として、とっても困ったことになります。
これとは別に、
「組織の一員」として、
《世界を、所属組織の「敵」と「味方」に分けて考える人びと》
がいます。
こういう人びとは、相手が敵対組織のメンバーであれば、ほとんど何を言おうが反対し、攻撃するか、少なくとも反対や攻撃の「ネタ」を一生懸命探します。
そして、「ネタ」が見つかれば、攻撃に移るわけですが、その際には、できるだけ効果的な「比喩・比較」を利用します。
ところが、上記のプロセス:
➀ 敵対組織のメンバーの発言や動向を知る
↓
➁ 反対や攻撃の「ネタ」を発見する
↓
➂ 可能な限り効果的な「比喩・比較」を使う
は往々にして、かなり反射的・自動的に作動するため、➁と➂の関係について、論理的考察がなされないまま、
《発射!》
されてしまうこともしばしばです。
以前の記事に書いた、
「弁舌が巧みな」政敵を、そのことで「ヒトラー」にたとえた、とても《卑怯な》政治家も、自動的にこのプロセスを行っているのでしょう。
そして、この《卑怯な》政治家と同じ組織に属している人たちは、決してこの卑怯な発言を非難しない ── 《味方》の発言だからです。
このたびまた、ある野党の政治家が、護憲派の「憲法大集会」の中で、ロシアによるウクライナ侵攻を批判した上で、次のように述べたそうです。
これは、「弁舌が巧みな」政敵を「ヒトラー」にたとえた《卑怯な》政治家とは異なり、「ロシアより許せないのが……」は、
《その場のノリでうっかり言っちゃった》
のだと思います。本人もそのように弁解しながら謝罪・撤回しています。
ただ、やはり根底にあるのは、
・世界を「敵」と「味方」に分けて考える
・「敵」攻撃には《自動的》に《効果的》な「比喩・比較」を使う
という、哀しくも恥ずかしい《方程式》です。
この《自動的》という点で私が連想したのは、タイトルにもある、
《10回クイズ》
です。
これは例えば、
この他に、「シャンデリア」と10回言わせた後、
「毒りんごを食べたのは?」
と尋ねる例などがあります。
(相手は「シンデレラ」と答えますが、正解は「白雪姫」)
《世界を「敵」と「味方」に分けて考える人びと》
の頭の中では、10回どころか常に、
「奴らは敵だ、奴らは敵だ、奴らは敵だ、……」
と《エコー》しているので、何か新しい「敵」の動向を知ると、
《➀ → ➁ → ➂ プロセス》が自動的に作動して、
《論理的に矛盾があろうがなんだろうが、可能な限り効果的な「比喩・比較」を使って攻撃する》
ということになってしまうんじゃないかなあ ── と思うのです。
今回のような謝罪(しなくてはならない事態)を防ぐためには、
《論理的に考えてから発言する》
というのももちろん重要ですが(たぶん、この政治家はその方向で反省していることでしょう)、
それよりも前、《基本姿勢》である、
「組織の一員」として、《世界を「敵」と「味方」に分けて考える》
ということ自体をやめ、
・個別のテーマごとに、
・ひとりの個人として、
・そのたびに毎回、
・自分のアタマで考えてみてはどうかなあ、
と思うのです。
《注》こんなことは毎回ことわる必要はないのですが、読者の中にも、記事を書いた人間を「敵」と「味方」に分けて考える人がいますので、念のため:
私は、別に与党の支持者でも、この野党の支持者でもなく、テーマごとに自分の頭で理解し、考え、判断していくタイプの人間です。
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