月がきれいなだけの夜
今夜は月がきれいだ。
月がきれいって、それだけで、いい1日だったと思えた。
何かモヤッとしていたことがあった気がするし、ぼんやりと考えてたことがあった気がするけれど、あの月を見たら一瞬で晴れた。
月がきれいなだけの夜の、なんと豊かなこと。
何もかもから解放されて、途方もなく自由な気がした。
まもなく山の向こうに沈みそうな月から視線をあげていくと、星々もまたきれいで。
あんなにきれいな景色ほどスマホのレンズでは映しきれなくて、だからこそ、スマホに映らない景色にこそ真実がある気がした。
月を眺めながら、いつの間にか『ネイティブダンサー』を口ずさんでいた。
きれいな月を見られた多幸感と、まもなく山に隠れてしまった月への名残惜しさと、おわった1日の後味と、明日の気配と、疲労感と満足感と……。
さまざまなものに「いい1日だった」でフタをして、月に見とれながら、ネイティブダンサーと揺れる夜をすごしている。
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