「スペースを取らなくなった」
なんだかんだと、待ち時間に、スマゲやマンガアプリで費やす。
新聞や雑誌、読書をしていた頃が懐かしいが、あの紙の匂いが、
あの印刷のインクの匂いが時偶懐かしくなってしまう。
ページを捲る度に香る、芳しい匂い。ふわっと、風を孕み膨らむ。
あの何とも言えない瞬間が、たった今、読んでいる実感を感じる。
自己満足で終わっても良い、それが他者の迷惑にならない程度に、
そう、捲る為のスペースも必要になるのだから。
左右に広げたり上下に畳んだり4つ折りにしてみたり、工夫して、
電車の中で読んでいる人を見掛けた。
新聞は車内で読んだことがないのだが、雑誌は車内で読んでいた。
東京-大阪間の出張のお供に、必ず雑誌を買って新幹線の車内で、
読んでいた。
風薫る、俳句の季語にも出てくるが、正に5月の風が吹く頃は、
よく出張で出掛けていた。飽きたら、パタンと閉じる。
雑誌の別の利用方法は、鍋敷にも便利だった。
冷凍の鍋焼きうどんをコンロで温めて、雑誌の上にのせて食べる。
置いた後に、うどんの出汁が付いていい匂いがしたものだ。
今はスマホで見て、飽きたらスリープボタンを押す。
場所も取らない、他人への迷惑も最小限で済ますことができる。
あのインクの匂い、ひょっとしたら沁みたうどんの匂いと、
間違えて記憶してしまっているのかも知れない。
もう、あの日に戻れないので、確かめる術はないのだが。
「◯◯レ◯の鍋焼きうどん、美味しかったなぁ」
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