だから古典は面白い
"世界は変わっていくものであり、それを捉えるには、現在何が起きているかを敏感に察知しなければなりません(中略)しかし、変化していくものの中に、変化しない核が存在することも事実なのです。それが古典に他なりません。"2020年発刊の本書は「超」整理法シリーズでも知られる経済学者が【功利的な損得論】から古典の魅力を教えてくれる一冊。
個人的には、私自身が高尚な精神論ではなく、ビジネスパーソンの1人として、あくまで【合理的な選択】として古典文学を課題図書とした読書会を毎月主宰していることから手にとりました。
さて、そんな本書ではビジネス(生産者)の論理"刊行数をとにかく増やして売上減を補う"と毎日何百冊も新刊が発刊される中で【平均的な情報の価値が低下している】中、長い淘汰の過程をくぐり抜けてきた古典を読む方が【平均して効率が良い】と、ドラッカーより『聖書』を、ビジネス書より『戦争と平和』を、ノウハウ書より『マクベス』などを忙しいビジネスパーソンは手にとるべき。と【著者なりの作品解説を加えながら述べている】わけですが。古典文学好きな私にとっては、既読の有名作品に対して新たな視点を紹介してくれていて楽しかった。
一方で、最近のベストセラーや話題のビジネス本やノウハウ本ばかりを何百冊も読み【古典文学を古臭いと無視する方】の場合は、簡単な説明があるとはいえ、ある程度本書で紹介される本が既読でないと、さっぱり著者が述べるところの【魅力は伝わらないだろう】とお節介ながら思ってしまいました。
繰り返される歴史の中で、自分なりの知識の軸をつくりたい方へ、また古典文学の魅力を気軽にビジネスパーソンに伝えたい方にもオススメ。