顧客関係管理からサービス・マーケティングまで【本:マーケティングリサーチの論理と技法】
第1部:マーケティングとマーケティングリサーチのニュートレンド
・コトラー氏『マーケティング・マネジメント』
マーケティングとは、価値を創造し、提供し、他の人々と交換することを通じて、個人やグループが必要とし欲するものを獲得する社会的・経営的過程であると定義している。
・高度成長期後の、小さくなったパイの中で企業が存立していくためには、マーケティングリサーチによって顧客の全体像を把握し、顧客のニーズを知り、ニーズに沿った価値を顧客に提案して、顧客との長期的な関係性を維持していくことが企業にとって得策であるという考えに至る
・高い顧客ロイヤリティ
・McCarthyの4P (1960) Product, Price, Place, and Promotion
・Lautherbornの4C(1990) Customer needs and wants, Customer cost, Convenience, and Communication
・One To One Marketing (1993) by Don Peppers and Martha Roger "The One to One Future"
・CRM: Customer Relationship Management 顧客関係管理
Wikipedia: 大量生産・大量消費を前提としたマスマーケティングの時代から、消費者個別のニーズに合わせた One to Oneマーケティングの時代へという市場環境の変化により、特に製品単体での差別化が難しい業界(金融やリテール)で注目を集めていた経営コンセプトである。顧客あるいは見込み客が体験する企業との人的・非人的対話をより良いものとすることで、顧客の獲得や維持の向上を目指すものである。
・One to One Marketing
例:Amazon
人の心理を良く読み解いている:リコメンデーション機能、顧客のこれまでの顧客履歴や検索履歴のデータを自動的に蓄積、顧客専用のオススメ商品を画面上に提案、クロス・セリング。カスタマーレビュー。Amazonプライムというプログラム。中古品マーケットプレイス。注文状況の確認。欲しいものリスト。
例:Dell
デル・ダイレクト・モデルは直販。流通経費カットし、高い品質・機能に比べ割安な製品価格を実現。調達から製造、物流までの流れを効率化したDellのサプライチェーン・マネジメントの貢献が大きい。顧客の好みに応じて製品の機能・仕様をカスタマイズ。完成品の在庫は持たないので、製品を低価格に抑えた上で、つねに最新技術・最新モデルを即時に製品化できる。顧客はDellスタッフより24時間、年中無休のきめ細かいテクニカル・サポートが受けられる。
2009年時点でのマーケティングを支える近未来の構造予測by博報堂生活総合研究所
・農業の効率化や工業化を意図して農業分野への企業参入が進む
・デジタルコンテンツ市場の拡大、電子新聞や雑誌の普及
・人型ロボットや医療介護ロボットの実用化が進む
・ハイブリット車、電気自動車
・薄型テレビの商戦はさらに激化
・機能性食品の需要が高まる
・環境ビジネスが拡大
・外国人観光客の増加
第2部:マーケティングリサーチの計画
・マーケティング課題「顧客動向」
消費者ニーズ、ライフスタイル、購買動機、ブランドロイヤリティ、使用実態、顧客の満足度や不満点、知覚イメージ、ブランドの浸透
・マーケティング課題「マーケティング戦略」
ブランド、ターゲット、ポジショニング、市場規模など
・調査計画書作成上の5S
1. Strategic: 戦略的であること
2. Scientific: 科学的であること
3. Specific: 具体的であること
4. Specialized: 専門家されていること
5. Sophisticated: 洗練されていること
どのような情報を収集し、どのようなマーケティング上の意思決定をしたいかを要約すること
・調査票の設計手順
・マーケティング背景・課題:Marketing background / problems to be solved
1. Research objectives
2. Research (survey) )method: eg. technique to be employed, test design, test materials to be shown, area to be covered, respondents, sample size, method of sampling, method of approach
3. Research items
4. Analytical points of view
5. Time schedule
6. Cost estimate
・統計的観点からの必要なサンプルサイズnを求める
・認知、理解、行動
・一般的質問から個別質問へ。このような方法はジョウゴ法(funnel approach)と呼ばれる
・順序バイアスをできるだけ避けるように工夫する。
・テーマの大分類から小分類へ
・関連質問は同じ位置で連続して質問する
第3部:マーケティングリサーチの結果分析
第4部:マーケティングリサーチの主な手法
定性調査
調査対象者の数がたとえ300名でも結果を数値化して分析する場合は定量調査で、逆に、わずか30名でも結果を数値化して分析する場合は定性調査である。
・FGI: Focus Group Interview
・司会者の役割
・ひたすら話を聞く受容的な態度
・丁寧かつフランクな振る舞い 親しみを持ってもらう
・テーマの専門性でなくても構わない 委縮させない
・自由に感じたことを言ってもらいたいと伝える
・ディスカッションのイメージを共有してもらう
・質問にバイアスをかけない
・質問のバリエーションを持つ
・間や沈黙を恐れない
・話し上手より聞き上手
・ボディ・ランゲージの活用
・非言語情報を受けとる
・結論づけない、まとめようとしない
・特定の対象者の発言が多すぎるときは、バランスを調整
定量調査:quantitative research
量的事実に基づいて、意思決定者へ最終判断を提供することができる
・定量調査はサーベイ法と観察法に分かれる
サーベイ法
結論を数値の大小で判断したいとき
母集団の構造を数値化して知りたいとき
テストマーケティングを実施するとき等
観察法
店や施設の出入客数を調べたいとき
人や車などの通行量を測定したいとき
店内の顧客の通行ルートや立ち寄りコーナーを知りたいとき等
サービス業にとっての調査
サービス・マーケティングの特徴
「サービスは無形である」
顧客に価値やベネフィット、信頼感、安心感、品格などを届けることであり、製品マーケティングとは異なる特徴がある。また、無形であり、顧客が企業や店舗に対してどういうイメージを持つかが非常に重要になってくる。また、有形財と異なり、需要の変動に備えて在庫(貯蓄)することはできず、消滅する。また、サービス提供者と顧客がサービスの引き渡しの場に同時にいなければならない、インタラクティブ・マーケティングが必要であり、その際、接客要員の質が顧客満足に大きく影響する。その為、フロントに対する接客技能研修や、業務の標準化、モチベーションの向上が不可欠。
3つのマーケティング・フレーズ
企業と顧客:External Marketing
企業とフロント(接客要員):Internal Marketing
フロントと顧客:Interactive Marketing
ホテルの主となるマーケティング視点例:
①品格、ホスピタリティ、利便性、エンターテイメント性、②一般宿泊や結婚披露宴、各種パーティーなどに関する顧客の満足度、改善希望点、③集客戦略、④広告戦略、⑤イベント戦略、⑥客層分析、⑦クレーム処理など
旅行代理店の主となるマーケティング視点例:
①ツアー商品仕様(旅行先・料金・各種条件)の分析(コンジョイント分析など)、②新商品の受容度、③旅行先流行分析、④顧客ニーズ、⑤利便性、信頼性、親近性、安全性などに関する企業イメージ、⑥顧客の旅行後の満足度、改善希望点、⑦広告戦略など
客層分析:新規顧客、既存顧客の人口統計的特性、社会・経済的特性、心理的特性、利用頻度の特性などを明らかにした理、客層の各種セグメンテーション分析を行って対応策を練る。
・市場とブランドに関するマーケティングリサーチ
顧客の満足度が高いということは、一般に、リピート率が高いことを意味し、リピート率が高いということは、企業の収益の安定化につながるという理論は成立する。
・コミュニケーション・スペクトラム
コンタクト・ポイント
DAGMAR: Defining Advertising Goals for Measured Advertising
Unawareness, Awareness, Comprehension, Conviction, Action
AIDMA: Attention, Interest, Desire, Memory, Action
AISAS: Attention, Interest, Search, Action, Share
AISCCAES: Awareness, Interest, Search, Comprehension, Conviction, Action, Evaluation, Share
・社内のマーケティングリサーチの機能と組織
マーケティングリサーチ機能が充分に発揮されず、リサーチ活動が社内に根付かない会社もある。その原因には、次のような原因が考えられる。
・会社の体質がマーケティング志向ではない
・トップマネジメントがマーケティングリサーチに理解を示さない
・各種調査の年間計画がなく予算化もしていない
・マーケティングリサーチを進める人材がいない
この中で根本的な阻害要因は、トップマネジメントのマーケティング全般やマーケティングリサーチに対する理解不足。彼らの理解があれば、調査の予算化や人材の育成は、それほど難しいことではない。
・企業における主なマーケティングリサーチ機能
1.調査の計画と実行
社内の関係部門からの依頼を受けて調査を計画し実行する機能
2.意思決定上の判断リスク軽減のための提言
マーケティング活動の諸段階での意思決定上の判断リスクを軽減するため、調査結果をもとにトップマネジメントに重要な提言をする機能
3.第三者情報の提供
社内において、偏りのない客観的な第三者情報を収集&提供する機能
4.社内の情報センター
各種情報の収集・提供に関して、社内の中核を担う機能
5.データベースの構築
マーケティング関連のデータベースを構築して、収集されたデータを管理し、更新し、社内の関係部門が常時アクセスできる体制を維持する機能
6.新製品開発プロジェクトへの参画
新製品開発のプロジェクト・メンバーとして社に貢献する機能
7.研究活動
マーケティング全般、消費者行動、マーケティングリサーチなどに関して専門的に研究する機能
・調査の目的と背景、調査結果の活用方法、調査予算、そして調査実施タイミングを特に協議し、調査計画書の概要を作成。
・リサーチタイプによって、年に何度か実施する調査もあれば、2~3年に1度のものもある。
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