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ハロー赤ちゃん|これから出産を迎えるあなたへ|無痛分娩の記録

出産当日 朝6:30

ウィーン…(機械音)フギャーーーーー!(産声)

何度目かの血圧測定の音が響く中、我が子がこの世界に飛び出した。

無痛分娩だったので、赤ちゃんが出てきたという感覚がない。
「え!?今、生まれたの!?」
突然の誕生に、思わず声をあげた。

「今産まれましたよ!おめでとうござい……」
「ちっさーーーーい!!」

助産師さんの言葉を遮るように、思わず叫ぶ。
想像よりも小さい我が子。あんなにお腹がぱんぱんに張っていたのに!
横になることもできないくらい重たかったのに!
こんなに小さい子だったの?可愛すぎる……!!!

頭は冷静なのに、涙が止まらない。
達成感や「やっと会えた」という気持ちよりも、
こんなにも幸せを身体いっぱいに詰め込んだ、小さくて愛おしい存在が誕生したことにただただ感動していた。

「ちっさい、かわいい、ちっさいよ、かわいいよ」
泣きながら、立ち会ってくれた夫に何度も何度も伝えた。

バースデープランでお願いしていた通り、
そのまますぐにカンガルーケアをさせてもらう。

生まれたての赤ちゃんはあたたかく、やわらかく、ふにゃふにゃで、
皮膚を通してたくさんの幸せがなだれ込んでくる。

そして、たった今生まれたばかりなのに、もう私たちにいろんなことを教えてくれる。

肩の産毛がふわふわなこと。
羊水が拭かれた身体は、さわさわと絹のように柔らかいこと。
小さくても吐息を感じられること。
目の下にシワがあること。
生まれたばかりなのに、小さな指でぎゅっと握り返してくれること。
お腹を蹴っていた足は、こんなにも小さくてかわいいこと。

妊娠してお腹が大きくなり、臨月となり、予定日が来て、陣痛がきて。猛スピードで身体は出産に向かっている。
だけどまだ、お腹の子に対して、「めちゃくちゃお腹を蹴ってくる、なんだか不思議な存在」以外の感情がない。

無痛分娩だし、きっと痛みも感じない。
このまま「親になる」という実感が湧かないまま、出産を迎えて大丈夫なのだろうか。

自分の感情が追いつかないまま出産することが、不安だった数時間前のあなたへ。

大丈夫。
生まれた瞬間、その子は一気にあなたの世界の住人になる。
ものすごいスピードで感情がやってきて、あっという間に追いつくよ。
無痛でも、生まれるまでの過程は何も変わらない。痛みはなくても、はじめて我が子を見た時の感動は変わらない。
安心して、今しかない時間を存分に楽しんでね。

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