ゲームの仕様変更が起きる原因と攻略法
「仕様を一部変更する!」
私の大好きな漫画作品『大東京トイボックス』の作中に登場する有名なセリフであり主人公の決め台詞でもあるのですが、込められているメッセージとしては以下のようなニュアンスがあります。
「今更だけどこのタイミングでゲームの仕様を一部変更するね、それに付き合わされる開発スタッフは残された時間が無い中でまたここから大修正をやることになってもちろん修羅場になるんだけど、喜べ、またこのゲームが面白くなるぞ!」
言葉として並べてしまうと、なんともまぁ開発スタッフにとっては迷惑なハナシですよね。
ただ(残念ながら)実際のゲーム開発の現場でもほぼ100%大なり小なり同じようなことが起きます。
必ず開発途中で『仕様変更』が発生してしまうということです。
「いやいや毎度のことなんだったら次こそは気を付けたらいいじゃん!」と思われるかもしれませんが、やはり残念ながら『仕様変更』は毎回発生してしまいます。
なんならそれこそ毎度のように開発スタッフは「今回はこんなことになってしまったけれど、次こそは!この経験を活かして絶対にこんなことにならないようにするぞ!」と心に深く刻んで固く誓うのです。
「もう大丈夫、絶対にこのことは忘れないから、一度経験したんだから次こそは大丈夫!」って思っていても不思議と毎回同じように仕様変更が発生してしまうのです。
これね、実は正確には“同じように”では無いんです。(これが問題)
ゲームソフトの開発というのは、作るたびに必ず新しい問題が発生してその都度新鮮な気持ちでその問題と向き合うことになるので“同じように”対処することが出来ないのです。
いくら続編やシリーズ作品を作ったとしても完全に同じゲームソフトにはなり得ません。必ずどこかに新しい要素やサービスが実装されていたりしますので、結局はこれまでとはまた異なるタイプの問題に直面することになるのです。
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ゲームソフト開発の仕事を始めた直後は「初めての経験だったんだからそりゃ上手くいかなくても仕方がないよね、けど大丈夫、次はイケる!」と私自身も思っていました。
ところが、その次のゲーム開発でもまた違った問題が発生して同じように仕様変更を繰り返しました。
その次も同じでした。
「なるほど、同じようなアクションゲーム開発だったけど新しいハードに切り替わったから随分と勝手が違ったよね、今回も仕方が無いよ、次こそは大丈夫!」
正直、ゲーム開発会社をやって作り続けてきた25年間の中で何度この思考を繰り返してきたことでしょう。
もうこれだけやって来たので理解してしまいました。
「なるほど、結局何回繰り返してもこうなっちゃうのね」
なんかタイムループモノの主人公のような悟り方ですが、気持ちを端的に要約するとどうしてもこういった言葉が出てきてしまいます。
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「25年間も同じことを繰り返してきたからもう何をやってもどんなに足掻いても無理だから諦めますか?」
では、こう聞かれたら「はい」と答えるしか無いのでしょうか?
「いいえ」答えは断じてNOです。
さすがに25年間も同じ問題と向き合い続けながら何度も何度も(文字通り)死に続けてきたのですから。
『答え』を見つけることは出来ました。
仕様変更を繰り返さないために出来る攻略法はあるのです。
もちろん「それがわかっているのなら実行すればいいじゃん!」とおっしゃりたい気持ちも良くわかります。
まぁ答えを言ってしまうと『わかること』と『出来ること』は違うというシンプルな答えになってしまうのですが、まずはこの『わかること』が大事です。理解してさえいれば必ず少しずつでも次につながりますので。
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まずは順番にお話しします。そもそも「なぜ仕様変更が発生してしまうのか?」という原因を明確にしましょう。それがわかったら次は「そうならないためにどうすればいいか?」という攻略法に繋がります。
さすがにこの『週刊少年松山洋』の読者層のタイプを大別しても“ゲーム開発者<非ゲーム開発者”であることは間違いありません。
一般の方にはなかなかピンと来る話でも無いかもしれません。が、一部の人にとっては喉から手が出る程に欲しい情報だとも思えます。
なのでここから先は本当にこの情報を必要としている人(もしくはどうしても知りたい人)だけ読んでくださいね。
それでは張り切っていきましょう!25年かけて理解したことです。
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